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未来の息子がやってきた!?
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相変わらずの面々に俺は少し安堵する。
「これ、次入学する学生のリストで、こっちは組合に入る卒業生のリスト。」
「……。」
「学園長が入学式には参加しろ、だってさ。」
「……めんどくさい。クリフが行ってきて。俺は身体動かしたいんだけど、どっかで魔物湧いてねぇの?」
「お前が片っ端から片付けるもんだから逆に困ってるんだけど。下の子らの経験を奪わないでくれよ。」
「……。」
「………一つ聞くけど、いつの間にカリナ・バタフライと仲良くなったんだ?」
「あ?…誰?」
「いや、一昨日の建国祭でお前がパートナーにしてた子だよ。」
「あー……、誰だったかな…。」
「カリナ・バタフライ。イリノスの魔法使い。」
「…あんま覚えてない。」
「はぁ…、勘弁してくれ。あの子イリノスの貴族だぞ?」
どうでもよさそうな表情で肘をついて宙を見る『俺』にクリフが項垂れた。
グラン国とイリノス国は隣国でありながら魔力の使い方が違うためあまり仲良くはないのだが、未来ではグラン国の建国祭にイリノスの貴族が来るほど仲良くなったのだろうか。
「あの子、何度か塔にやってきてお前に会いたいって騒いでるんだけど。」
「マジで覚えてねぇ。」
「ヤッたかヤッてないかも?」
「……………一昨日の女ならヤッたカモ…。」
「はぁぁ……。」
クリフが何度目かの大きなため息を吐いた。
「その子が純潔を奪われたから責任を取ってくれだって。いい加減俺もかばえないよ。」
「……消すか?」
「イリノスの貴族だって言ってるだろ?」
「国際問題はごめんだよ。」「自分で撒いた種なんだから自分で何とかしてね。種だけに。」などと下世話なジョークを交えながらクリフはソファーにドカッと座って指を鳴らした。ここで休憩でもするのだろうか食器棚から茶器やティーポットが浮かびローテーブルへと並び始める。
「で…?何を考えてた?」
促されるままに『俺』はクリフの正面のソファに座り紅茶を手に取った。飲むことはせずにじっと紅茶を眺めている。
「……アニッサが…、」
「…?アニッサ?」
「…ソフィアが望んだら搔っ攫うんだと…。」
「……。それについては同感だね。」
「…!」
「エイデン、君の気持ちも分かるけど、こういう状況になって何年だ?パトリックにも申し訳ないと思わないのか?」
「……。」
「ソフィアの気持ちにもなってみなよ。毎日家に帰らず、違う女をとっかえひっかえしている旦那。自分は家から出られずに退屈な日々を過ごしてさ。…正直、ソフィアの力は組合にとって欲しいほどの人材だよ。そろそろ外に出しても良いんじゃないの?」
「外に出して怪我でもしたらどうする。それにソフィアにばれないようにやってる。」
「ソフィアはそこまで弱くはない。あと、女の勘は鋭いよ。」
「…。」
「理由はそれだけじゃないだろ?」
「………ソフィアが離れていくのが嫌だ。」
「…どういう意味?」
「ソフィアが外の世界に出て誰かに惚れたらどうする?俺の傍から離れるなんて考えるだけで無理。」
「何で誰かに惚れる前提なんだよ…。」
「……。」
「パトリックも来年アカデミーに入るんだから、産休・育休を理由にソフィアを家に閉じ込めることはもう出来なくなるよ。」
「じゃあ、今まで通り俺が教える…。」
「それは贅沢な授業だな。でも、そんなこと出来ないって分かってるだろ?組合長さん。」
「…。」
「これ、次入学する学生のリストで、こっちは組合に入る卒業生のリスト。」
「……。」
「学園長が入学式には参加しろ、だってさ。」
「……めんどくさい。クリフが行ってきて。俺は身体動かしたいんだけど、どっかで魔物湧いてねぇの?」
「お前が片っ端から片付けるもんだから逆に困ってるんだけど。下の子らの経験を奪わないでくれよ。」
「……。」
「………一つ聞くけど、いつの間にカリナ・バタフライと仲良くなったんだ?」
「あ?…誰?」
「いや、一昨日の建国祭でお前がパートナーにしてた子だよ。」
「あー……、誰だったかな…。」
「カリナ・バタフライ。イリノスの魔法使い。」
「…あんま覚えてない。」
「はぁ…、勘弁してくれ。あの子イリノスの貴族だぞ?」
どうでもよさそうな表情で肘をついて宙を見る『俺』にクリフが項垂れた。
グラン国とイリノス国は隣国でありながら魔力の使い方が違うためあまり仲良くはないのだが、未来ではグラン国の建国祭にイリノスの貴族が来るほど仲良くなったのだろうか。
「あの子、何度か塔にやってきてお前に会いたいって騒いでるんだけど。」
「マジで覚えてねぇ。」
「ヤッたかヤッてないかも?」
「……………一昨日の女ならヤッたカモ…。」
「はぁぁ……。」
クリフが何度目かの大きなため息を吐いた。
「その子が純潔を奪われたから責任を取ってくれだって。いい加減俺もかばえないよ。」
「……消すか?」
「イリノスの貴族だって言ってるだろ?」
「国際問題はごめんだよ。」「自分で撒いた種なんだから自分で何とかしてね。種だけに。」などと下世話なジョークを交えながらクリフはソファーにドカッと座って指を鳴らした。ここで休憩でもするのだろうか食器棚から茶器やティーポットが浮かびローテーブルへと並び始める。
「で…?何を考えてた?」
促されるままに『俺』はクリフの正面のソファに座り紅茶を手に取った。飲むことはせずにじっと紅茶を眺めている。
「……アニッサが…、」
「…?アニッサ?」
「…ソフィアが望んだら搔っ攫うんだと…。」
「……。それについては同感だね。」
「…!」
「エイデン、君の気持ちも分かるけど、こういう状況になって何年だ?パトリックにも申し訳ないと思わないのか?」
「……。」
「ソフィアの気持ちにもなってみなよ。毎日家に帰らず、違う女をとっかえひっかえしている旦那。自分は家から出られずに退屈な日々を過ごしてさ。…正直、ソフィアの力は組合にとって欲しいほどの人材だよ。そろそろ外に出しても良いんじゃないの?」
「外に出して怪我でもしたらどうする。それにソフィアにばれないようにやってる。」
「ソフィアはそこまで弱くはない。あと、女の勘は鋭いよ。」
「…。」
「理由はそれだけじゃないだろ?」
「………ソフィアが離れていくのが嫌だ。」
「…どういう意味?」
「ソフィアが外の世界に出て誰かに惚れたらどうする?俺の傍から離れるなんて考えるだけで無理。」
「何で誰かに惚れる前提なんだよ…。」
「……。」
「パトリックも来年アカデミーに入るんだから、産休・育休を理由にソフィアを家に閉じ込めることはもう出来なくなるよ。」
「じゃあ、今まで通り俺が教える…。」
「それは贅沢な授業だな。でも、そんなこと出来ないって分かってるだろ?組合長さん。」
「…。」
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