27 / 91
未来の息子がやってきた!?
27
しおりを挟む
相変わらずの面々に俺は少し安堵する。
「これ、次入学する学生のリストで、こっちは組合に入る卒業生のリスト。」
「……。」
「学園長が入学式には参加しろ、だってさ。」
「……めんどくさい。クリフが行ってきて。俺は身体動かしたいんだけど、どっかで魔物湧いてねぇの?」
「お前が片っ端から片付けるもんだから逆に困ってるんだけど。下の子らの経験を奪わないでくれよ。」
「……。」
「………一つ聞くけど、いつの間にカリナ・バタフライと仲良くなったんだ?」
「あ?…誰?」
「いや、一昨日の建国祭でお前がパートナーにしてた子だよ。」
「あー……、誰だったかな…。」
「カリナ・バタフライ。イリノスの魔法使い。」
「…あんま覚えてない。」
「はぁ…、勘弁してくれ。あの子イリノスの貴族だぞ?」
どうでもよさそうな表情で肘をついて宙を見る『俺』にクリフが項垂れた。
グラン国とイリノス国は隣国でありながら魔力の使い方が違うためあまり仲良くはないのだが、未来ではグラン国の建国祭にイリノスの貴族が来るほど仲良くなったのだろうか。
「あの子、何度か塔にやってきてお前に会いたいって騒いでるんだけど。」
「マジで覚えてねぇ。」
「ヤッたかヤッてないかも?」
「……………一昨日の女ならヤッたカモ…。」
「はぁぁ……。」
クリフが何度目かの大きなため息を吐いた。
「その子が純潔を奪われたから責任を取ってくれだって。いい加減俺もかばえないよ。」
「……消すか?」
「イリノスの貴族だって言ってるだろ?」
「国際問題はごめんだよ。」「自分で撒いた種なんだから自分で何とかしてね。種だけに。」などと下世話なジョークを交えながらクリフはソファーにドカッと座って指を鳴らした。ここで休憩でもするのだろうか食器棚から茶器やティーポットが浮かびローテーブルへと並び始める。
「で…?何を考えてた?」
促されるままに『俺』はクリフの正面のソファに座り紅茶を手に取った。飲むことはせずにじっと紅茶を眺めている。
「……アニッサが…、」
「…?アニッサ?」
「…ソフィアが望んだら搔っ攫うんだと…。」
「……。それについては同感だね。」
「…!」
「エイデン、君の気持ちも分かるけど、こういう状況になって何年だ?パトリックにも申し訳ないと思わないのか?」
「……。」
「ソフィアの気持ちにもなってみなよ。毎日家に帰らず、違う女をとっかえひっかえしている旦那。自分は家から出られずに退屈な日々を過ごしてさ。…正直、ソフィアの力は組合にとって欲しいほどの人材だよ。そろそろ外に出しても良いんじゃないの?」
「外に出して怪我でもしたらどうする。それにソフィアにばれないようにやってる。」
「ソフィアはそこまで弱くはない。あと、女の勘は鋭いよ。」
「…。」
「理由はそれだけじゃないだろ?」
「………ソフィアが離れていくのが嫌だ。」
「…どういう意味?」
「ソフィアが外の世界に出て誰かに惚れたらどうする?俺の傍から離れるなんて考えるだけで無理。」
「何で誰かに惚れる前提なんだよ…。」
「……。」
「パトリックも来年アカデミーに入るんだから、産休・育休を理由にソフィアを家に閉じ込めることはもう出来なくなるよ。」
「じゃあ、今まで通り俺が教える…。」
「それは贅沢な授業だな。でも、そんなこと出来ないって分かってるだろ?組合長さん。」
「…。」
「これ、次入学する学生のリストで、こっちは組合に入る卒業生のリスト。」
「……。」
「学園長が入学式には参加しろ、だってさ。」
「……めんどくさい。クリフが行ってきて。俺は身体動かしたいんだけど、どっかで魔物湧いてねぇの?」
「お前が片っ端から片付けるもんだから逆に困ってるんだけど。下の子らの経験を奪わないでくれよ。」
「……。」
「………一つ聞くけど、いつの間にカリナ・バタフライと仲良くなったんだ?」
「あ?…誰?」
「いや、一昨日の建国祭でお前がパートナーにしてた子だよ。」
「あー……、誰だったかな…。」
「カリナ・バタフライ。イリノスの魔法使い。」
「…あんま覚えてない。」
「はぁ…、勘弁してくれ。あの子イリノスの貴族だぞ?」
どうでもよさそうな表情で肘をついて宙を見る『俺』にクリフが項垂れた。
グラン国とイリノス国は隣国でありながら魔力の使い方が違うためあまり仲良くはないのだが、未来ではグラン国の建国祭にイリノスの貴族が来るほど仲良くなったのだろうか。
「あの子、何度か塔にやってきてお前に会いたいって騒いでるんだけど。」
「マジで覚えてねぇ。」
「ヤッたかヤッてないかも?」
「……………一昨日の女ならヤッたカモ…。」
「はぁぁ……。」
クリフが何度目かの大きなため息を吐いた。
「その子が純潔を奪われたから責任を取ってくれだって。いい加減俺もかばえないよ。」
「……消すか?」
「イリノスの貴族だって言ってるだろ?」
「国際問題はごめんだよ。」「自分で撒いた種なんだから自分で何とかしてね。種だけに。」などと下世話なジョークを交えながらクリフはソファーにドカッと座って指を鳴らした。ここで休憩でもするのだろうか食器棚から茶器やティーポットが浮かびローテーブルへと並び始める。
「で…?何を考えてた?」
促されるままに『俺』はクリフの正面のソファに座り紅茶を手に取った。飲むことはせずにじっと紅茶を眺めている。
「……アニッサが…、」
「…?アニッサ?」
「…ソフィアが望んだら搔っ攫うんだと…。」
「……。それについては同感だね。」
「…!」
「エイデン、君の気持ちも分かるけど、こういう状況になって何年だ?パトリックにも申し訳ないと思わないのか?」
「……。」
「ソフィアの気持ちにもなってみなよ。毎日家に帰らず、違う女をとっかえひっかえしている旦那。自分は家から出られずに退屈な日々を過ごしてさ。…正直、ソフィアの力は組合にとって欲しいほどの人材だよ。そろそろ外に出しても良いんじゃないの?」
「外に出して怪我でもしたらどうする。それにソフィアにばれないようにやってる。」
「ソフィアはそこまで弱くはない。あと、女の勘は鋭いよ。」
「…。」
「理由はそれだけじゃないだろ?」
「………ソフィアが離れていくのが嫌だ。」
「…どういう意味?」
「ソフィアが外の世界に出て誰かに惚れたらどうする?俺の傍から離れるなんて考えるだけで無理。」
「何で誰かに惚れる前提なんだよ…。」
「……。」
「パトリックも来年アカデミーに入るんだから、産休・育休を理由にソフィアを家に閉じ込めることはもう出来なくなるよ。」
「じゃあ、今まで通り俺が教える…。」
「それは贅沢な授業だな。でも、そんなこと出来ないって分かってるだろ?組合長さん。」
「…。」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく
タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。
最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。
家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜
奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。
パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。
健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。
異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
異世界に移住することになったので、異世界のルールについて学ぶことになりました!
心太黒蜜きな粉味
ファンタジー
※完結しました。感想をいただけると、今後の励みになります。よろしくお願いします。
これは、今まで暮らしていた世界とはかなり異なる世界に移住することになった僕の話である。
ようやく再就職できた会社をクビになった僕は、不気味な影に取り憑かれ、異世界へと運ばれる。
気がつくと、空を飛んで、口から火を吐いていた!
これは?ドラゴン?
僕はドラゴンだったのか?!
自分がドラゴンの先祖返りであると知った僕は、超絶美少女の王様に「もうヒトではないからな!異世界に移住するしかない!」と告げられる。
しかも、この世界では衣食住が保障されていて、お金や結婚、戦争も無いというのだ。なんて良い世界なんだ!と思ったのに、大いなる呪いがあるって?
この世界のちょっと特殊なルールを学びながら、僕は呪いを解くため7つの国を巡ることになる。
※派手なバトルやグロい表現はありません。
※25話から1話2000文字程度で基本毎日更新しています。
※なろうでも公開しています。
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる