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幼少期
第3皇子になった日
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「○○○は素晴らしい!これで我が家も…」
「○○○は私達のために…」
「○○○は家の大事な大事な、」
▔▔▔▔▔▔▔▔▔▔▔▔▔▔▔▔
ぱち
「夢…」
「はぁ、また、あの夢か…」
僕の前世の夢。
「シオン~朝よ~起きて!」
ガチャ
「あら、もう起きていたの?おはよう!じゃあ顔洗ってきなさい。朝ごはんもうすぐ出来るから」
「おはよう。分かった」
ふわりと焼きたてのパンの匂いがする。
この匂いはなんだか落ち着く。
ああ、顔を洗ってこないと…
ガチャ
「シオン!丁度良かった。今、朝ごはんができたの」
「さあ座って、食べましょう」
うん…美味しい
思わず頬がほころぶ。ほんの少し口角が上がっただけだけど。
母はそれに気が付いたみたいだ。
「美味しい~?ふふっ今日は結構頑張って作ったのよ」
「そうだったんだ。美味しい」
「ふふふ、良かった~」
一般的に見たら無表情の子供だなんて気持ち悪いだろうに、母は僕の些細な変化に気付いてくれる。
それが嬉しくて、居心地がいい。
「今日も図書館に行ってくるの?」
「うん」
「そっか、私も本読むの好きだったんだよ。よく図書館に通ってたの。今日は店は休みだし、久しぶりに私も行こうかな」
この国にはたくさんの本がある図書館がある。家にも簡単な絵本があり、それを読んで文字を勉強した。
2歳になった時、もう文字を完璧に覚えた。3歳になった時には絵本にも飽きたため、母にもっと他の本が読みたいと言って図書館を教えて貰った。
初めの頃は、週に一回ほど、母と行っていたが今では図書館の司書さんとも面識ができ、1人で通っている。
母と一緒に図書館に行くのは久しぶりだから、少し嬉しい。
「うん。一緒に行こ、お母さん」
「えぇ!じゃあ9時くらいに行きましょう」
「うん。」
「じゃあそろそろ行きましょうか」
コンコンコン
「サフィア殿は居るか」
「あら?何かしら…。ちょっと出てくるわね」
「はい。どちら様でしょうか…」
ガチャ
「っ!…」
「私は皇室近衛のロードナイト・フォン・フエーゴ。皇帝陛下からの使いとして、陛下の子、シオン様を迎えに参った」
「…シオンを…」
「お母さん。お城の騎士様がどうして…」
…皇帝の子、シオン様って僕のこと?
…行きたくない、けど…
母の顔が影に隠れてよく見えない。
「シオン…貴方は皇帝陛下の子供なの。これからはお城で皇子様として暮らすの」
…やだ、行きたくない。お母さんと一緒に居たい。
感情を押し殺して声を紡ぐ。
「…うん。…分かった」
「そう…。騎士様がお迎えに来ているの。私とは、ここでお別れよ」
お母さんの声からは感情を感じることが出来ない。
涙を堪える。ちゃんと、お別れを言う。
ここでいやだ、なんて言っても、お母さんを困らせるだけだから。
「…うん。ば、いば…い。っ…お母さん。」
「うっ…。…うん…。うん。ばいばい。さよなら。シオン…」
「サフィア殿、もうよろしいですか。」
騎士様…騎士が母に声をかける。
「えぇ。シオン、様が、健やかに暮らせる事を祈っております」
母に様付けされるのは、すごく嫌だ。
「そうか。ではシオン様、こちらに…」
思わず、振り払いたくなる。
…。
「うん。…育ててくれて、ありがとうございました。おかぁ…。サフィア、さん」
「………いえ、お元気で…」
「…うん」
「シオン様、こちらへ…足元気を付けてください」
「それでは、後ほど陛下から褒美が与えられる。ではな。」
「っ…。はい」
「シオン様、少し揺れますので気をつけてください。」
「…はい。」
パシンッガラ…
ガラガラガラ…
ガタンッ
少し揺れる。
…お母さん。ありがとうございました。
ずっと、大好きです。
一筋、涙が流れる…
「○○○は私達のために…」
「○○○は家の大事な大事な、」
▔▔▔▔▔▔▔▔▔▔▔▔▔▔▔▔
ぱち
「夢…」
「はぁ、また、あの夢か…」
僕の前世の夢。
「シオン~朝よ~起きて!」
ガチャ
「あら、もう起きていたの?おはよう!じゃあ顔洗ってきなさい。朝ごはんもうすぐ出来るから」
「おはよう。分かった」
ふわりと焼きたてのパンの匂いがする。
この匂いはなんだか落ち着く。
ああ、顔を洗ってこないと…
ガチャ
「シオン!丁度良かった。今、朝ごはんができたの」
「さあ座って、食べましょう」
うん…美味しい
思わず頬がほころぶ。ほんの少し口角が上がっただけだけど。
母はそれに気が付いたみたいだ。
「美味しい~?ふふっ今日は結構頑張って作ったのよ」
「そうだったんだ。美味しい」
「ふふふ、良かった~」
一般的に見たら無表情の子供だなんて気持ち悪いだろうに、母は僕の些細な変化に気付いてくれる。
それが嬉しくて、居心地がいい。
「今日も図書館に行ってくるの?」
「うん」
「そっか、私も本読むの好きだったんだよ。よく図書館に通ってたの。今日は店は休みだし、久しぶりに私も行こうかな」
この国にはたくさんの本がある図書館がある。家にも簡単な絵本があり、それを読んで文字を勉強した。
2歳になった時、もう文字を完璧に覚えた。3歳になった時には絵本にも飽きたため、母にもっと他の本が読みたいと言って図書館を教えて貰った。
初めの頃は、週に一回ほど、母と行っていたが今では図書館の司書さんとも面識ができ、1人で通っている。
母と一緒に図書館に行くのは久しぶりだから、少し嬉しい。
「うん。一緒に行こ、お母さん」
「えぇ!じゃあ9時くらいに行きましょう」
「うん。」
「じゃあそろそろ行きましょうか」
コンコンコン
「サフィア殿は居るか」
「あら?何かしら…。ちょっと出てくるわね」
「はい。どちら様でしょうか…」
ガチャ
「っ!…」
「私は皇室近衛のロードナイト・フォン・フエーゴ。皇帝陛下からの使いとして、陛下の子、シオン様を迎えに参った」
「…シオンを…」
「お母さん。お城の騎士様がどうして…」
…皇帝の子、シオン様って僕のこと?
…行きたくない、けど…
母の顔が影に隠れてよく見えない。
「シオン…貴方は皇帝陛下の子供なの。これからはお城で皇子様として暮らすの」
…やだ、行きたくない。お母さんと一緒に居たい。
感情を押し殺して声を紡ぐ。
「…うん。…分かった」
「そう…。騎士様がお迎えに来ているの。私とは、ここでお別れよ」
お母さんの声からは感情を感じることが出来ない。
涙を堪える。ちゃんと、お別れを言う。
ここでいやだ、なんて言っても、お母さんを困らせるだけだから。
「…うん。ば、いば…い。っ…お母さん。」
「うっ…。…うん…。うん。ばいばい。さよなら。シオン…」
「サフィア殿、もうよろしいですか。」
騎士様…騎士が母に声をかける。
「えぇ。シオン、様が、健やかに暮らせる事を祈っております」
母に様付けされるのは、すごく嫌だ。
「そうか。ではシオン様、こちらに…」
思わず、振り払いたくなる。
…。
「うん。…育ててくれて、ありがとうございました。おかぁ…。サフィア、さん」
「………いえ、お元気で…」
「…うん」
「シオン様、こちらへ…足元気を付けてください」
「それでは、後ほど陛下から褒美が与えられる。ではな。」
「っ…。はい」
「シオン様、少し揺れますので気をつけてください。」
「…はい。」
パシンッガラ…
ガラガラガラ…
ガタンッ
少し揺れる。
…お母さん。ありがとうございました。
ずっと、大好きです。
一筋、涙が流れる…
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