INFINITY GAMES

黒猫

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1話

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「おい見たか裕也!新宿のニュースやってるぜ!今回はまじやべぇぜ!」

    骨太でガタイがよく、柔道をしていてスポーツ刈りをしている友達の『田中大輝』が勢い良くスマホを俺の前に突き出す。興奮しているのか、スマホの表面が俺の顔面にぶち当たった。だが全く気付く様子は無い。それだけ凄いニュースなのだろうか?
    俺と大輝の仲は長い。幼なじみの腐れ縁で幼稚園から高校3年まで全て一緒だ。そんな俺だから分かるが、この反応をするときは有り得ない現象が起きたときか推しアイドルの『クルミ』ちゃんが電撃をしたときぐらいだ。俺は少し興味を示し、突き出されているスマホの画面に写り出されている記事のタイトルを脳内で再生する。そのとき俺は自分の目を疑った。
 
『東京都新宿区 行方不明1000名の大規模事件。未だ原因不明』

    そして続けて記事の内容を再生する。『12月1日午後18時に東京都新宿区の住民1000名が同時に姿を消した。警察は総力を上げて事件を追っているが、未だ原因不明の模様。周辺の住民に厳重注意を呼びかけています』

    12月1日といえば昨日の事だ。思わず息をゴクリと呑み込む。対して大輝は目を輝かせている。こういうときは大体ワクワクしているときだ。俺らに関係ない話では無いのに何を呑気に…………俺はやれやれとため息をつきスマホから視線を避ける。

「ねぇねぇ!もしかして失踪事件の話かい?お2人方!」

    腐れ縁といえばもう一人。俺と大輝の幼なじみで大輝同様幼小中高全て同じ幼なじみの『天音メイ』だ。だが、俺と大輝と真反対でアイドル顔負けの美貌、勉強も運動もできる完璧少女。気も強くナンパにも負けない彼女は学級委員でクラスのリーダー的存在である。そんなメイと対称に俺はそこら辺に居そうな軽めの黒髪マッシュで身長も平均的、勉強もそこそこ、スクールカーストも真ん中くらいといったところだ。そんな俺に声を掛けてくれているのは幼なじみだからだろう………

   するとメイから意外な言葉が出てくる。

「この事件さ!興味深いよねぇ!一体なぜこうなったのか気になりません?」

   驚いた……大輝と同じ目をしているなんて。思わずクスッと笑い、それを隠すように手で口を覆う。だが、それに気付いたのかメイはムッと口を膨らませる。そんなこんなでホームルーム開始のチャイムが教室に鳴り響く。みんなが席に着くと、担任の新任女教師の中野先生が慌てた様子で教室に入った。

「挨拶なしで!大事な連絡が…………」

「?」

    ホームルームを始めると先生に異変が起こった。まるで酔っ払っているかのようにフラフラとその場で立ちくらむ。体調が悪いのかと思った俺は席を立ち、先生の体に寄り添おうのしたがさきにメイが寄り添っていた。

「大丈夫ですか!?先生!」

   メイはあたふたしつつ先生の体をしっかりと支える。その様子にクラスメイトは感心の意を示して、拍手している。そんな暇があればメイの手伝いをしろよと思ってしまう。

    するとその瞬間、先生は無言で立ち上がる。もう体調が整ったのかとメイやクラスメイトはホッとしていた。しかし様子がおかしい。目が優しい普段の中野先生とは違い、悪魔のような鋭い目付きで生徒を見ている。

「よく聞け!これから選別を行う。『チュートリアル』会場まで案内する!」

「!?」

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