INFINITY GAMES

黒猫

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2話

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     中野先生が発した言葉に教室が凍る。まるで時が止まったかのように静まる。普段の先生とは違うギャップか、それとも状況が理解できていないのか。
     俺もこんなことを言っているが、頭の中ははてなマークだ。しかし、そんな俺達に考える隙を与えずに中野先生は話を続ける。

「てめぇらにスキルを与えよう。このスキルは決してランダム・・・・ではない。てめぇらはこのスキルを使い1000人のなかの上位30名に生き残るんだ」

    何を…………と、その瞬間に俺の脳裏に光と文字が同時に再生される。頭が一瞬フラッとしたかと思うと、脳裏に刻まれた文字が鮮明に見える。『スキル:再生』

「今、てめぇらの頭の中に現れた文字がスキルだ。これはたったひとつしか持てないから大切にしろよ」

    いきなりの展開に俺含めクラスメイトは理解が出来ていない。しかしここでクラスのヤンチャ生徒藤原が声を上げる。

「何言ってんだよ先公！しょうもない冗談は頭に来るんだよ！」

    まずい……藤原はキレたら女性だろうとなんだろうと誰これ構わず手を出すクソ野郎だからな。止めに入ろうとしたが、すでに藤原は中野先生のすぐそばまで行っていた。すると中野先生はまるで意に介し無い様子で藤原を見守る。

「そうか……今は俺じゃないんだな。ちょうどいいてめぇらに見本を見せてやるよ！廻天旋風サイクロン！！」

    何を言っているのかと思った瞬間ーー中野先生(？)の目の前にいた藤原は宙に舞っていた。そして台風直撃クラスの風がクラス中にビュービューと吹き、とても人間じゃ耐えれない。あまりの強い風に飛ばされた藤原どころの話ではなく、自分が机に掴まり、吹っ飛ばされないようにすることに必死だった。
    30秒ほど経過した今、ようやく嵐は吹き終わる。ほとんどの生徒が床に張り付いたり、天井で倒れていたりとひどいザマだった。俺はなんとか机にしがみついて倒れるとまではいかなかったが、俺の心臓はバクバクと音を立てていた。それにしても今のはなんだ………台風警報なんてあったか？………いや、まさか！？

「見たかてめぇら！今のがスキルだ。これで鈍感なてめぇらも気付いたろ！！」

「これは現実か！？」

「当たり前だ。そしてこの男のことは良いのかよ？」

    藤原！？俺はその場に駆けつけると目を閉じて横たわっていた…まさかと思った俺は唾をゴクリと飲み込み、心臓の音を確認する。

「と、止まってる………」

   音が聞こえない……つまり藤原は死んだ？そのスキルを使ったこいつが殺したのか！？

   藤原には良い思い出がないが、いくらなんでものことには腹が立った。先生の胸ぐらを掴み、息が荒ぶる。もはや今の俺に冷静などという言葉はなかった。

「落ち着けよ。そんなことしてこいつはもう戻らないんだぜ？廻天旋風サイクロン」

    先生のスキルによって俺は一瞬にして教室の端から端まで飛ばされる。それを心配そうにしてメイが寄り添ってくれる。だけどメイの体もひどく震えている。何か声を掛けようにも傷がひどく、声を発せない。情けない……俺は教室の床を拳で叩きつける。もっと俺に力があればッ！

「良いぞお前……なかなか見込みがあるな。そうだ、名乗っていなかったな俺は……」

    先生の体から他の人体が出てくる。まるで幽体離脱しているかのようだが、実物はちゃんとありその姿は中野先生とは全く違う。服装はスーツを着ており、髪型金髪で短髪。目付きは鬼の形相で、子供なら目を見ただけで泣くだろう。まさかこいつがさっきまで喋っていた奴の正体か！？

「運営サイド四天王の一人『クライム』だ。少し長引いてしまったが、チュートリアルへと案内しよう」

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