INFINITY GAMES

黒猫

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3話

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「転送」

    クライムが言葉を発した瞬間ーー俺達の辺り一帯は光に包まれる。俺は光に反射で手をかざせた。するとどういう訳か俺の体は少しマシになってくる。猛烈な痛みがあれほどあったのに今は少し痛いくらいだ。この光には再生効果があるというのだろうか?いや待て……俺のスキルは『再生』って見えたよな。クライムが言った通りだとすれば今の再生は俺のスキル自身で起こしたとのだと考えられる…………俺もにわかにも信じ難いが、あんなものを見せてもらわれては信じれないものも信じれてしまう。一度少し試してみるとしようか。
    ーーとその瞬間、約10秒ほど続いた光は消える。すると読み込むの遅いオープンワールドのゲームのように目の前の景色が徐々に姿を表す。見えた景色はまるで新宿区……いや、見間違えるわけが無いここはまさに新宿区だ。唯一の違いは建物に雲が掛かっているということだろうか。とすればここは空の上?
     するとそんな俺の疑問を解消するかのようにクライムが説明を始める。

「てめぇらここは『チュートリアル』の会場だ!ここから1週間で1000名中30名しか生き残れないバトルロワイヤルを開始してもらう!」

    その瞬間俺の心臓はドキンと音が鳴る。大輝に見せてもらったニュースと重なる点が何点かあるからだ。1000人中30名か………ニュースでは1000人行方不明だったよな?なら、少し違うか。俺は脳裏で考察を飛び交わせる。するとクラスメイトがあらゆる暴言を吐く。

「ふざけんな!やってられるか!」
「何よいきなり!はやく元に戻して!」
「そうだそうだ!」

   クライムに大ブーイング。クラスメイトはこの状況を全く良く思っていないようだ。まぁ、それは俺も同じだがな。
    しかしクライムは全く動じない。むしろ獲物を見つけた虎かのように悪高い笑みを浮かべる。

「良いねぇ……あの光景を見ても臆さないか!!」

    これは何言っても無駄だな……ここに来た時点で俺達はもう戦うしかないのだろう。こめかみに冷や汗をかきながらクライムにチュートリアルの説明を聞いて思ったことを質問する。

「1週間に30名出なかったら?」

「その場合は全員リタイアだ!前回がそうだったようにな!クックック」

   俺の心臓の鼓動は再びピクリと動く。俺の考えはあっていた。あのニュースの被害者はみんな巻き込まれたんだ!おそらく戦うことに抵抗があって戦わず1週間待っていたのだろう……それであんなことに…………

「アドリブ力も大事だ。今から5分後にゲームは開始する!!ちなみに他の参加者同士は現時点では透明で見えていない。さらばだ!!」

    クライムは最後の説明を行い、消えるようにここから去る。この状況に俺達は学級委員のメイを中心にクラスメイト全員で話し合う。本能か何かでこの瞬間俺達はひとつにまとまった気がした。

「私はこれが現実だと思います。あの事件と並行して考えると辻褄が色々合いますし、これを夢だと考えたらいけない気がします。私の結論としてはこのままみんなで固まり、協力するのがベストだと思います」

   さすがはメイだ。この状況でもすぐさま状況を理解し、自分の考えを真っ直ぐとみんなに伝えている。このメイの考えに俺を含め多数が頷く。だが、それでもまとまらない人間というのはいるものだ。

「ふんっ、勝手にしろ。俺達は別行動させてもらおう」

    藤原くんも所属していた一部ヤンチャなグループはこの場を去るという。ほのグループの名は『セイブル』だ。セイブルはヤクザとも関わりのあるという噂がされているほどのワル集団。リーダーの『山形我流』を筆頭にサブリーダーの『菅野大善』と特攻隊長『杉原頼良』や親衛隊長の『大道海』やその他メンバー2人などがこのクラス3年E組に集まっている。そのせいで悪魔のクラスとも言われたかな。

「我流くん!今はみんなといた方が………」

「すまないね。俺たちには俺たちの道があるんだ。悪いが、ここでさようならだ」

    セイブルに所属していなければ俳優にでもなれたんじゃないかと思うほどのかっこいい顔立ちと190cmほどの高身長を持ち合わせ圧倒的喧嘩能力をほこる我流が優しい声色で言葉を掛ける。

「そーいうことだ。お前らこれ以上何か言うと殺すぞ?」

    クラスメイト達がこの一言で恐れる。止めようと思っていたメイもこれ以上何も言えなくなる。そう、セイブルで一番やばいのは眼鏡をつけて、目を前髪で隠しているサブリーダーの菅野大善だ!
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