INFINITY GAMES

黒猫

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5話

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「でもどうすれば!?」

    その瞬間………建造物の一部が愛子さんに襲いかかる。もうダメだと思った俺は目をぎゅっと瞑る。俺がもう少し冷静に見張っていれば…………仕方がないと言えば仕方がないのだが、それでも自分の落ち度に落胆する。

「スキルを使え。あの女を守ることだけ考えろ」

「!?」

    黒のバンダナを着けていて、目が凶悪過ぎて泣く子も黙るような男が俺の耳元でそう呟いた。しかし何故だか分からないが勝手に俺の体の中でその男の言っていることが全てイメージできた。右手を前に掲げ、力一杯振り絞り愛子さんの周りを覆う岩石を思い描く。その瞬間、俺の体はその瞬間に没頭しており全てが止まって見えた。岩石を思い描き終え、右手に力を溜めるとその瞬間、愛子さんの周りを地面の石から同じ石が瞬時に伸び、綺麗な四角形に囲んだ。

「なんだこれ………」

「キャ!!」

    ドカンドカンッ!!!と鳴り響くと壊れる気配無しに愛子さんを石が守った。

「良かった!助かったんだ!!!」

    俺は拳の力を緩め、体の緊張が溶けた。

「やるじゃないか。想像以上だぞ」

「ッ!?」

    そうだこの男は一体何者なんだ!?いきなり現れたと思ったらスキルのことについて語り始めて…………けどこの人のおかげで愛子さんを救えたから一応礼を言っておこう。

「その……あり 」

「待て待て礼はいらん。もともと開花するはずだったのを早めたに過ぎない」

「何を言ってるんだ?」

「フッ…そのうち分かるさ。今は俺のことを知らなくてもそのうち必ず知ることになる。なぜならそういう運命だったからな」

「?」

    よく分からない。ただの痛い人か?一応恩人な訳だし、とやかく言わないがちょっと病院言った方がいいかもしれない。それよりもこの人俺のスキルのこと知ってたし、もしかして運営側だったりするのか?

「そうだ。あの女の元に早く行ってあげな、あの石を解除するイメージをすれば裕也ならいけるはず。じゃあな」

    そう言って俺から背を向け、どこかに行ってしまう。それよりもあの人俺の名前を知ってたよな?しかもなんだか言い慣れてそうだったし………まぁ、俺達の話し声でも聞こえたのだろう。って早く助けて上げないと!!

    俺は全速力で愛子さんの元に駆け寄り、石を解除するイメージを描く。描き終えると今度は左手から何か信号が伝わった気がする。信号が伝わった瞬間、目の前の石は地面の中に戻るように消え去った。そして中に居た愛子さんはひどく涙を流していた。

「もう大丈夫だよ、愛子さん」

「ううぅ…………ごめんなさいみんなに迷惑かけちゃって…………」

    それで泣いているのか?愛子さんは良い人だな。それに眼鏡を外した瞬間も初めて見たな、こう見ると結構可愛いな………といけない。俺は急になんで………

「そんなことないよ。あんな大人数だから仕方ないさ」

「そうだよ!」

「ん……大輝」

     するとクラスメイト達は自然と俺の元に集まっていた。

「みんな見ていたぜ!お前の勇姿!なんだよあの石の生成!?」

    そうか……あのとき俺はみんな逃げてる中で一人突っ立って右手を前に掲げていたからな、そりゃ目立つか。っていうかそんなことしてたなんてなんだか恥ずかしいな。

「けどいきなりなんであんなことできたんだ?」

「分からない………俺の体が自然とそう誘ってくれたんだ」

「なんだそりゃ!羨ましい………俺もやろうと思ったけど全然上手くいかねぇよ……」

    ーーえ!?
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