1 / 18
プロローグ
しおりを挟む
「――はい、傷が塞がったからもう大丈夫だよ」
私は治療していた人物にかざしていた手を離し、そのまま思いきり伸びをする。
この連日は魔物討伐で岩山で野宿したうえに戦場を駆けまわっているし、治癒魔法を酷使し続けたせいで体が重くてしかたがない。
「あ~、疲れた」
聖女だって人間だもの。
たくさん魔法を使えば疲れるのだから、少しは休憩させてほしい。
私は物心がつく頃には孤児院にいて、十歳になった年に神官がやってきて魔力測定をした時に光属性の魔力があるとわかると聖女として神殿に連れていかれ、それからずっとこき使われ続けている。
この国――カロス王国の国民は誰もが魔法を使うことができるのだけど、使える属性魔法は人それぞれ異なるから一定の年齢になると神官に測定してもらうことが義務付けられている。
大多数が一つの属性魔法しか使えないけど、稀に三属性使える人もいるらしい。
(私も三属性使いがよかったなぁ……そうしたら、高給取りの魔導士になれたのに……)
光魔法も十分珍しいのに、私のような孤児院出身の聖女は安月給で働かされる。
神殿で祈りを捧げたり祭典で華々しい演出をする聖女はみんな貴族家出身の聖女だけ。
ちなみに私は一番過酷な配属先と言われている魔物討伐<女神の翼>付きの聖女で、そこに所属している聖騎士たちと一緒に魔物討伐に駆り出される毎日を送っている。
「はぁ……毎日身を粉にして働いているんだから、少しは労わってほしいよ」
ぼやきながら腕を回している私に、先ほど治療したばかりの人物――私と同じ部隊に所属している聖騎士が突然立ち上がると、深々と頭を下げた。
彼――ハロルド・ウェントワースは風変わりな騎士で、銀色の髪をボサボサと伸ばしており、とくに前髪が長くて顔のほとんどが隠れてしまっている。
そんな状態では歩くどころか剣を持って魔物と戦うのは難しいだろうに、出会った時から今までずっとそのスタイルを維持している。
年齢は私と同じくらいらしいけれど、なんせ長い前髪で顔が隠されているせいで見た目では年齢がわからない。
「あ、あの……ヘザー様に無駄な労力をかけてしまって、すみませんでした……」
私のぼやきを聞いて責任を感じたのか、ハロルド様がオドオドとした声で謝罪の言葉を口にする。
ただの呟きだというのに、真剣に受け止めてしまったらしい。
愚痴や文句を言われるのには慣れているけれど、謝られることは滅多にないから調子が狂う。
「謝らないでよ。あなたたち聖騎士を治癒するのが私の仕事なんだから」
「ですが、魔物との戦闘でできた傷ではなかったのでヘザー様に治していただくべきではありませんでした。それに、私なんかのために力を使わせてしまい申し訳ないです……」
教えてくれなくても、その現場を見ていたから知っている。
彼の怪我は魔物ではなく――聖騎士の先輩の仕業でできたものだった。
スラリとして背が高く、手入れをすれば輝きそうな銀色の髪を持っているのに、このぶ厚い前髪の壁と気弱そうな話し方のせいで目をつけられてしまっているのだ。
(それに彼は、『ウェントワース家が神に捧げた生贄』だから……彼に暴力を振っても実家から報復を受けないとわかっているから、平気で傷つけるのね……下劣だわ)
ハロルド様はこの国――カロス王国の宰相であるウェントワース伯爵の庶子で、彼の存在を邪魔に思ったウェントワース伯爵夫人が裏で手を引き、聖騎士団の中でもとりわけ危険な任務を任されるこの<女神の翼>部隊に配属させられたそうだ。
<女神の翼>部隊――私が専属聖女として所属しているこの部隊は、凶悪な魔物の討伐の担うから常に死との隣り合わせで、聖騎士団では最も人気がない部隊だ。
実家から疎まれているハロルド・ウェントワースは聖騎士団の中にいるたちの悪い連中の格好の獲物にされているし、彼らに絡まれているところを見かけても周囲の人間は助けようとしない。
(神官も聖女も聖騎士も、口先では崇高なことを言っているけど中身はただの人間なのよね)
女神の信仰よりも自分たちの明日の生活のことを一番に考えて動いているのだから。
(まあ、私もその人間のうちの一人なのだけど)
私はそっと溜息をついて彼を見上げる。
「……無駄とは思っていないよ。それとも、私に余計な世話だと遠まわしで言っているの?」
「い、いえ、そういうわけでは……」
慌てて頭を横に振った彼の前髪が乱れて、隠れていた水色の瞳がちらりと見えた。
(んんっ?!)
少しだけ垣間見れた素顔に目が釘付けになる。
髪と同じ銀色の長く繊細な睫毛に縁どられている目は、少し目尻が下がり気味だからなのか優しそうな雰囲気がある。
銀色の眉毛は形が整っているし、鼻筋はもすっと通っていて彫りが深い。
(この人……本当はものすごく、イケメンなのでは?!)
せっかくの美貌を隠しているのは勿体ない……と言うのは口実で、隠されているものを見てみたいという好奇心が湧いた。
(それなら暴いてやろうじゃないの!)
私は下げていた鞄の中から鋏を取り出し、彼に向き直る。
にっこりと聖女らしい微笑みを浮かべてみせると、ハロルド様はぶるぶると震える。
「ハロルド様、じっとして! その鬱陶しい前髪を斬ってあげるだけだから!」
「え、ええと……ヘザー様が散髪を?」
「腕は確かだから安心して! この前髪が騎士様の魅力を半減していてもったいないの!」
髪を切るのは慣れている。自分の髪を自分で切っているし、遠征中に聖騎士や協力で来てくれている魔導師たちの髪を切って小遣い稼ぎをしているから、それなりに上手だと自負している。
私は震える聖騎士見習い様を笑顔の圧で大人しくさせて、彼のパサパサの前髪を鋏で切る。
まずは長さを短くして、それから形を整え――最後に毛先を整えた。
顔の半分を覆っていた前髪が短くなると、彼の顔立ちがしっかり見えるようになった。
「うん、我ながらいい出来!」
満足のいく仕上がりになって久しぶりにはしゃいでしまった。
なんせ素顔のハロルド様は――とてつもないイケメンなのだ。
「思った通り、とても綺麗な顔ね」
「そう……でしょうか?」
「ええ、ハロルド様以上の美形を見たことがないって断言する!」
これはお世辞ではなく本心だ。ハロルド・ウェントワースは恐ろしく顔が整っている。
もう少し栄養と自信をつければ国一番の美丈夫になること間違いなしだと思う。
「ハロルド様、これからは背筋を伸ばして胸を張ってよ。あなたは聖騎士の中でも最も過酷な任務を担う<女神の翼>部隊の聖騎士なんだから、堂々としていいんだって。それに、国民を魔物から守るために命を賭して戦っているのなんてカッコいいじゃない!」
「で、ですが……私は大して取柄がないので、堂々とはできません……」
「んもう、取柄ならその顔だよ。本当に美形なんだって! なんなら、私の好みど真ん中なんだからね? だから胸を張ってください。絶対に猫背はダメだよ。はい、約束!」
ずいと彼の目の前に小指を差し出すと、彼は少し逡巡した後、自分の小指を絡ませた。
ハロルド・ウェントワースは照れくさそうに微笑む。
「ありがとうございます。聖女様に励ましていただいたおかげで力が漲ってきた気がします。……このご恩は決して忘れません」
「恩だなんて大袈裟な。私はただ、自分の職場に目の保養が欲しかっただけだし。……まあ、もし恩返ししてくれるのなら、私が窮地に立たされた時に助けてね?」
「はい、命に代えてもあなたを守ります」
別に命までかけてくれなくていいのにと思ったけど、とりあえずスルーした。
「ふう、いい仕事をしたわね」
この時、自分の腕に酔いしれている私はまだ予想すらできなかった。
ハロルド様が後に美貌と自信を手に入れ、魔王の手下のうちの一人を倒してとある地方都市を守り抜き、男爵位と名誉を手に入れるなんて。
そして――。
「――聖女ヘザー様。私は私の全てをあなたに捧げます。だからいつか、あなたに告白する機会をください」
彼が私の後姿に向かってそう呟いていたこともまた、知る由もなかった。
私は治療していた人物にかざしていた手を離し、そのまま思いきり伸びをする。
この連日は魔物討伐で岩山で野宿したうえに戦場を駆けまわっているし、治癒魔法を酷使し続けたせいで体が重くてしかたがない。
「あ~、疲れた」
聖女だって人間だもの。
たくさん魔法を使えば疲れるのだから、少しは休憩させてほしい。
私は物心がつく頃には孤児院にいて、十歳になった年に神官がやってきて魔力測定をした時に光属性の魔力があるとわかると聖女として神殿に連れていかれ、それからずっとこき使われ続けている。
この国――カロス王国の国民は誰もが魔法を使うことができるのだけど、使える属性魔法は人それぞれ異なるから一定の年齢になると神官に測定してもらうことが義務付けられている。
大多数が一つの属性魔法しか使えないけど、稀に三属性使える人もいるらしい。
(私も三属性使いがよかったなぁ……そうしたら、高給取りの魔導士になれたのに……)
光魔法も十分珍しいのに、私のような孤児院出身の聖女は安月給で働かされる。
神殿で祈りを捧げたり祭典で華々しい演出をする聖女はみんな貴族家出身の聖女だけ。
ちなみに私は一番過酷な配属先と言われている魔物討伐<女神の翼>付きの聖女で、そこに所属している聖騎士たちと一緒に魔物討伐に駆り出される毎日を送っている。
「はぁ……毎日身を粉にして働いているんだから、少しは労わってほしいよ」
ぼやきながら腕を回している私に、先ほど治療したばかりの人物――私と同じ部隊に所属している聖騎士が突然立ち上がると、深々と頭を下げた。
彼――ハロルド・ウェントワースは風変わりな騎士で、銀色の髪をボサボサと伸ばしており、とくに前髪が長くて顔のほとんどが隠れてしまっている。
そんな状態では歩くどころか剣を持って魔物と戦うのは難しいだろうに、出会った時から今までずっとそのスタイルを維持している。
年齢は私と同じくらいらしいけれど、なんせ長い前髪で顔が隠されているせいで見た目では年齢がわからない。
「あ、あの……ヘザー様に無駄な労力をかけてしまって、すみませんでした……」
私のぼやきを聞いて責任を感じたのか、ハロルド様がオドオドとした声で謝罪の言葉を口にする。
ただの呟きだというのに、真剣に受け止めてしまったらしい。
愚痴や文句を言われるのには慣れているけれど、謝られることは滅多にないから調子が狂う。
「謝らないでよ。あなたたち聖騎士を治癒するのが私の仕事なんだから」
「ですが、魔物との戦闘でできた傷ではなかったのでヘザー様に治していただくべきではありませんでした。それに、私なんかのために力を使わせてしまい申し訳ないです……」
教えてくれなくても、その現場を見ていたから知っている。
彼の怪我は魔物ではなく――聖騎士の先輩の仕業でできたものだった。
スラリとして背が高く、手入れをすれば輝きそうな銀色の髪を持っているのに、このぶ厚い前髪の壁と気弱そうな話し方のせいで目をつけられてしまっているのだ。
(それに彼は、『ウェントワース家が神に捧げた生贄』だから……彼に暴力を振っても実家から報復を受けないとわかっているから、平気で傷つけるのね……下劣だわ)
ハロルド様はこの国――カロス王国の宰相であるウェントワース伯爵の庶子で、彼の存在を邪魔に思ったウェントワース伯爵夫人が裏で手を引き、聖騎士団の中でもとりわけ危険な任務を任されるこの<女神の翼>部隊に配属させられたそうだ。
<女神の翼>部隊――私が専属聖女として所属しているこの部隊は、凶悪な魔物の討伐の担うから常に死との隣り合わせで、聖騎士団では最も人気がない部隊だ。
実家から疎まれているハロルド・ウェントワースは聖騎士団の中にいるたちの悪い連中の格好の獲物にされているし、彼らに絡まれているところを見かけても周囲の人間は助けようとしない。
(神官も聖女も聖騎士も、口先では崇高なことを言っているけど中身はただの人間なのよね)
女神の信仰よりも自分たちの明日の生活のことを一番に考えて動いているのだから。
(まあ、私もその人間のうちの一人なのだけど)
私はそっと溜息をついて彼を見上げる。
「……無駄とは思っていないよ。それとも、私に余計な世話だと遠まわしで言っているの?」
「い、いえ、そういうわけでは……」
慌てて頭を横に振った彼の前髪が乱れて、隠れていた水色の瞳がちらりと見えた。
(んんっ?!)
少しだけ垣間見れた素顔に目が釘付けになる。
髪と同じ銀色の長く繊細な睫毛に縁どられている目は、少し目尻が下がり気味だからなのか優しそうな雰囲気がある。
銀色の眉毛は形が整っているし、鼻筋はもすっと通っていて彫りが深い。
(この人……本当はものすごく、イケメンなのでは?!)
せっかくの美貌を隠しているのは勿体ない……と言うのは口実で、隠されているものを見てみたいという好奇心が湧いた。
(それなら暴いてやろうじゃないの!)
私は下げていた鞄の中から鋏を取り出し、彼に向き直る。
にっこりと聖女らしい微笑みを浮かべてみせると、ハロルド様はぶるぶると震える。
「ハロルド様、じっとして! その鬱陶しい前髪を斬ってあげるだけだから!」
「え、ええと……ヘザー様が散髪を?」
「腕は確かだから安心して! この前髪が騎士様の魅力を半減していてもったいないの!」
髪を切るのは慣れている。自分の髪を自分で切っているし、遠征中に聖騎士や協力で来てくれている魔導師たちの髪を切って小遣い稼ぎをしているから、それなりに上手だと自負している。
私は震える聖騎士見習い様を笑顔の圧で大人しくさせて、彼のパサパサの前髪を鋏で切る。
まずは長さを短くして、それから形を整え――最後に毛先を整えた。
顔の半分を覆っていた前髪が短くなると、彼の顔立ちがしっかり見えるようになった。
「うん、我ながらいい出来!」
満足のいく仕上がりになって久しぶりにはしゃいでしまった。
なんせ素顔のハロルド様は――とてつもないイケメンなのだ。
「思った通り、とても綺麗な顔ね」
「そう……でしょうか?」
「ええ、ハロルド様以上の美形を見たことがないって断言する!」
これはお世辞ではなく本心だ。ハロルド・ウェントワースは恐ろしく顔が整っている。
もう少し栄養と自信をつければ国一番の美丈夫になること間違いなしだと思う。
「ハロルド様、これからは背筋を伸ばして胸を張ってよ。あなたは聖騎士の中でも最も過酷な任務を担う<女神の翼>部隊の聖騎士なんだから、堂々としていいんだって。それに、国民を魔物から守るために命を賭して戦っているのなんてカッコいいじゃない!」
「で、ですが……私は大して取柄がないので、堂々とはできません……」
「んもう、取柄ならその顔だよ。本当に美形なんだって! なんなら、私の好みど真ん中なんだからね? だから胸を張ってください。絶対に猫背はダメだよ。はい、約束!」
ずいと彼の目の前に小指を差し出すと、彼は少し逡巡した後、自分の小指を絡ませた。
ハロルド・ウェントワースは照れくさそうに微笑む。
「ありがとうございます。聖女様に励ましていただいたおかげで力が漲ってきた気がします。……このご恩は決して忘れません」
「恩だなんて大袈裟な。私はただ、自分の職場に目の保養が欲しかっただけだし。……まあ、もし恩返ししてくれるのなら、私が窮地に立たされた時に助けてね?」
「はい、命に代えてもあなたを守ります」
別に命までかけてくれなくていいのにと思ったけど、とりあえずスルーした。
「ふう、いい仕事をしたわね」
この時、自分の腕に酔いしれている私はまだ予想すらできなかった。
ハロルド様が後に美貌と自信を手に入れ、魔王の手下のうちの一人を倒してとある地方都市を守り抜き、男爵位と名誉を手に入れるなんて。
そして――。
「――聖女ヘザー様。私は私の全てをあなたに捧げます。だからいつか、あなたに告白する機会をください」
彼が私の後姿に向かってそう呟いていたこともまた、知る由もなかった。
23
あなたにおすすめの小説
「聖女は2人もいらない」と追放された聖女、王国最強のイケメン騎士と偽装結婚して溺愛される
沙寺絃
恋愛
女子高生のエリカは異世界に召喚された。聖女と呼ばれるエリカだが、王子の本命は一緒に召喚されたもう一人の女の子だった。「 聖女は二人もいらない」と城を追放され、魔族に命を狙われたエリカを助けたのは、銀髪のイケメン騎士フレイ。 圧倒的な強さで魔王の手下を倒したフレイは言う。
「あなたこそが聖女です」
「あなたは俺の領地で保護します」
「身柄を預かるにあたり、俺の婚約者ということにしましょう」
こうしてエリカの偽装結婚異世界ライフが始まった。
やがてエリカはイケメン騎士に溺愛されながら、秘められていた聖女の力を開花させていく。
※この作品は「小説家になろう」でも掲載しています。
王家を追放された落ちこぼれ聖女は、小さな村で鍛冶屋の妻候補になります
cotonoha garden
恋愛
「聖女失格です。王家にも国にも、あなたはもう必要ありません」——そう告げられた日、リーネは王女でいることさえ許されなくなりました。
聖女としても王女としても半人前。婚約者の王太子には冷たく切り捨てられ、居場所を失った彼女がたどり着いたのは、森と鉄の匂いが混ざる辺境の小さな村。
そこで出会ったのは、無骨で無口なくせに、さりげなく怪我の手当てをしてくれる鍛冶屋ユリウス。
村の事情から「書類上の仮妻」として迎えられたリーネは、鍛冶場の雑用や村人の看病をこなしながら、少しずつ「誰かに必要とされる感覚」を取り戻していきます。
かつては「落ちこぼれ聖女」とさげすまれた力が、今度は村の子どもたちの笑顔を守るために使われる。
そんな新しい日々の中で、ぶっきらぼうな鍛冶屋の優しさや、村人たちのさりげない気遣いが、冷え切っていたリーネの心をゆっくりと溶かしていきます。
やがて、国難を前に王都から使者が訪れ、「再び聖女として戻ってこい」と告げられたとき——
リーネが選ぶのは、きらびやかな王宮か、それとも鉄音の響く小さな家か。
理不尽な追放と婚約破棄から始まる物語は、
「大切にされなかった記憶」を持つ読者に寄り添いながら、
自分で選び取った居場所と、静かであたたかな愛へとたどり着く物語です。
殿下、私の身体だけが目当てなんですね!
石河 翠
恋愛
「片付け」の加護を持つ聖女アンネマリーは、出来損ないの聖女として蔑まれつつ、毎日楽しく過ごしている。「治癒」「結界」「武運」など、利益の大きい加護持ちの聖女たちに辛く当たられたところで、一切気にしていない。
それどころか彼女は毎日嬉々として、王太子にファンサを求める始末。王太子にポンコツ扱いされても、王太子と会話を交わせるだけでアンネマリーは満足なのだ。そんなある日、お城でアンネマリー以外の聖女たちが決闘騒ぎを引き起こして……。
ちゃらんぽらんで何も考えていないように見えて、実は意外と真面目なヒロインと、おバカな言動と行動に頭を痛めているはずなのに、どうしてもヒロインから目を離すことができないヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は他サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID29505542)をお借りしております。
『生きた骨董品』と婚約破棄されたので、世界最高の魔導ドレスでざまぁします。私を捨てた元婚約者が後悔しても、隣には天才公爵様がいますので!
aozora
恋愛
『時代遅れの飾り人形』――。
そう罵られ、公衆の面前でエリート婚約者に婚約を破棄された子爵令嬢セラフィナ。家からも見放され、全てを失った彼女には、しかし誰にも知られていない秘密の顔があった。
それは、世界の常識すら書き換える、禁断の魔導技術《エーテル織演算》を操る天才技術者としての顔。
淑女の仮面を捨て、一人の職人として再起を誓った彼女の前に現れたのは、革新派を率いる『冷徹公爵』セバスチャン。彼は、誰もが気づかなかった彼女の才能にいち早く価値を見出し、その最大の理解者となる。
古いしがらみが支配する王都で、二人は小さなアトリエから、やがて王国の流行と常識を覆す壮大な革命を巻き起こしていく。
知性と技術だけを武器に、彼女を奈落に突き落とした者たちへ、最も華麗で痛快な復讐を果たすことはできるのか。
これは、絶望の淵から這い上がった天才令嬢が、運命のパートナーと共に自らの手で輝かしい未来を掴む、愛と革命の物語。
「お前を愛するつもりはない」な仮面の騎士様と結婚しました~でも白い結婚のはずなのに溺愛してきます!~
卯月ミント
恋愛
「お前を愛するつもりはない」
絵を描くのが趣味の侯爵令嬢ソールーナは、仮面の英雄騎士リュクレスと結婚した。
だが初夜で「お前を愛するつもりはない」なんて言われてしまい……。
ソールーナだって好きでもないのにした結婚である。二人はお互いカタチだけの夫婦となろう、とその夜は取り決めたのだが。
なのに「キスしないと出られない部屋」に閉じ込められて!?
「目を閉じてくれるか?」「えっ?」「仮面とるから……」
書き溜めがある内は、1日1~話更新します
それ以降の更新は、ある程度書き溜めてからの投稿となります
*仮面の俺様ナルシスト騎士×絵描き熱中令嬢の溺愛ラブコメです。
*ゆるふわ異世界ファンタジー設定です。
*コメディ強めです。
*hotランキング14位行きました!お読みいただき&お気に入り登録していただきまして、本当にありがとうございます!
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
お堅い公爵様に求婚されたら、溺愛生活が始まりました
群青みどり
恋愛
国に死ぬまで搾取される聖女になるのが嫌で実力を隠していたアイリスは、周囲から無能だと虐げられてきた。
どれだけ酷い目に遭おうが強い精神力で乗り越えてきたアイリスの安らぎの時間は、若き公爵のセピアが神殿に訪れた時だった。
そんなある日、セピアが敵と対峙した時にたまたま近くにいたアイリスは巻き込まれて怪我を負い、気絶してしまう。目が覚めると、顔に傷痕が残ってしまったということで、セピアと婚約を結ばれていた!
「どうか怪我を負わせた責任をとって君と結婚させてほしい」
こんな怪我、聖女の力ですぐ治せるけれど……本物の聖女だとバレたくない!
このまま正体バレして国に搾取される人生を送るか、他の方法を探して婚約破棄をするか。
婚約破棄に向けて悩むアイリスだったが、罪悪感から求婚してきたはずのセピアの溺愛っぷりがすごくて⁉︎
「ずっと、どうやってこの神殿から君を攫おうかと考えていた」
麗しの公爵様は、今日も聖女にしか見せない笑顔を浮かべる──
※タイトル変更しました
聖女の任期終了後、婚活を始めてみたら六歳の可愛い男児が立候補してきた!
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
23歳のメルリラは、聖女の任期を終えたばかり。結婚適齢期を少し過ぎた彼女は、幸せな結婚を夢見て婚活に励むが、なかなか相手が見つからない。原因は「元聖女」という肩書にあった。聖女を務めた女性は慣例として専属聖騎士と結婚することが多く、メルリラもまた、かつての専属聖騎士フェイビアンと結ばれるものと世間から思われているのだ。しかし、メルリラとフェイビアンは口げんかが絶えない関係で、恋愛感情など皆無。彼を結婚相手として考えたことなどなかった。それでも世間の誤解は解けず、婚活は難航する。そんなある日、聖女を辞めて半年が経った頃、メルリラの婚活を知った公爵子息ハリソン(6歳)がやって来て――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる