世界が僕に優しくなったなら、

熾ジット

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「オレの作った薬が効かねえわけねえだろ」

 ここまで自信があるということは、この男は医者か薬師なのだろうか。いや、でも格差社会ならば、民間療法に長けただけの可能性もある。どっちだろう。

「体調不良の熱じゃないので、薬じゃどうにもできないんですよ」

 ぽす、と僕はベットに体を預けた。いい加減、起きているのがしんどい。
 けれど、横になったからか、リュストさんはようやく、僕の下半身に気が付いたようだった。

「へー、ほー、なるほどなあ」

 リュストさんは意地悪く僕の下半身を撫でる。やばい、と思い口をとっさにふさいだが、遅かった。「ひ、あっ」と今までにないほど、甲高い声を上げて、吐精してしまった。直接触られたわけでもないのに。
 リュストさん本人も一瞬、ひるんだように目を丸くしていたが、すぐに意地が悪そうな表情に変わる。

「や、やら、ほんとに、あっ、あっ、やぁ、やなのっ!」

 強く竿を握られ、絞り出すように動かされると、一瞬にして体が快楽に支配される。リュストさんの手が動くたび、それに合わせてぴゅ、ぴゅ、と白い液があふれてくる。
 発情期の性行為はどうしても頭が白くなる。ちかちかと目の前が明滅し、たったこれだけのことで意識が飛びそうになった。

 逃れようと動くたび、巣作りのためにかき集めたリュストさんの服にあたり、匂いでさらに欲が加速する。

「も、や、だめ、イって、る、さっきから、あ、あっ」

 身をよじっても逃げられないし、逃げようとするたび、リュストさんの服をつかんでしまう。巣でのセックスがこんなにもすごいものだなんて、知らなかった。

「今日は妙に積極的なくせに何言ってんだ。ほら、自分から腰振ってよォ」

「ちが、ちがうぅ、あ、あーっ、イく、や、――っ!」

 ずぐ、と奥までリュストさんの杭が一気に挿入される。思わず近くにあった服をまとめて抱きしめてしまい、肺がリュストさんの匂いで満たされる。たまらず、悲鳴を上げそうになった。
 ぷしゅ、という音と、射精とは違う感覚。潮が、と思う間もなく、リュストさんは腰の動きを止めない。

 比喩ではなく、動くたびにイっている気がして。もう、何がなんだか分からなかった。
 ただ、それでも、頭のどこかでは、世のオメガは、こんなに気持ちいいセックスを知っていたのか、と思うと羨ましくなるのと同時に。
 両想いで、番との巣作りセックスは、もっと幸せだったのだろうな、と思わずにはいられなかった。

 嘘でも好きって言ってくれればいいのに。

 一瞬だけ思い浮かんだその感情は、あっという間に快楽の海に消えていった。
感想 3

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