そうせいの御子は異世界をたのしむ??

大川 孝一

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第一章 黒曜の姫御子×白銀の御子=?

第6話 ぐるぐるぐる

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 「「「「…………」」」」



 ………ふぅ。と、村長こと“カティア”は三人を、ことに現状フリーズ状態の“ミコト”と名乗る見た目明らかに少女、いや女性であろう彼女を見て静かに息をいた。

 この子達、“バラ”と“タフ”は嘘をつく様な子達ではないと、特にバラに至っては師弟の間柄というだけでは無く親子の情を抱く程に深い絆で繋がれているという自負がある。

 何より嘘偽りを語っている“気配”では無い。

 もし私をいつわろうものなら、手痛いお仕置きが待っている事は重々承知しているはずであろう。そりゃもう痛いお仕置きが…。



 ドキリッ……師、村長が不敵な笑みを浮かべている……バラとタフは目配せ合うとキチンと椅子いすに座り直した…。



 …だが正直信じられない。というのが正直な気持ちである。初めは少年であったのであろうこの子が、気付いたら少女へと“転身”していたという。

 まさかっ!?と思いもしたが。

 …確かに女の子であったな。と手の平に残る人肌の温もりその柔らかい感触を思い出す。……わきわき

 「!」

 「何?」

 「いえ…」



 …だがもう一つ気になるのが、性別もだがその容姿であろう。

 目の前にいる少女はつややかな“黒髪”に“緑の瞳”…透き通るかの様な白き肌。正直とても美しくも可愛らしい。

 だが少年の時はまた美しい“純銀髪”であり、同じく“緑の瞳”であったのだという…。

 そのどれもが通常有り得ない。この組み合わせは有り得ない。

 …現状“黒髪”も“純銀髪”もこの世界中どこを探しても存在しない。いや見つかってはいない。と言うべきか。

 なぜならこの二種の髪色はそれぞれが“絶対の存在”からたまわる“祝福”の証明であるからだ。

 “緑の瞳”も“崇高すうこうなる存在”からの加護を現す。だがこちらは現在数名ではあるが存在する。あぁ、みんなデタラメな奴らさ…。

とにかく、転身の法はいまだ創造されず。

 変化の法も一部の高位種族であれば可能であろうが我々人族では不可能。せいぜい髪の色を染料を用いての茶髪、赤毛、金髪等への染色程度だ。染めは髪が傷む上、正直美しく無い。パサパサになるのでオススメはしない。
 
 まぁ、この二種の髪色には天罰を受けかねないので仮に出来たとしても誰もしないでしょうけどね。

 瞳に関しては、…まず一般人では到底有り得ないか。

 …………ブルッ。

 これは楽し、厄介やっかいな事になりそうね。

 ……………………フフフ。



 「…バラちゃん?」

 「は、ハイ!」

 「…バラちゃんは表向き随分ずいぶん落ち着いていたけれど、内心ドキドキだったでしょう?」

 「い、イエ!」

 「タフちゃんはいつ気付いたのかしら?」

 「最初からですよ。」と、自信満々に答えるが、バラのキツイ視線にフイッと顔をそむける。

 「ふぅ~ん…そう。」…カティアにはバレバレであった。

 「バラちゃんいいのよ?隠さなくても。私もね?まさか……」

 「まさかと思ったけれど…」

 カティアは二人に、そしてミコトへと三人に視線を向けた後…


 「……“伝承の御子”……なのではないかしらと思ってしまったもの?」


 「っ」

 「…だからこそ戻り次第、急ぎこの子を私の元へと連れて来た。…違う?」

 「っ……流石さすがお師匠様です。」

 「いいのよ。それが現状とれるかしこい選択よ?あとわかっていると思うのだけれど、しばらくの間はこの事は他言無用よ?」

 「ハイ!」

 「タフちゃんもわかっているわよね?」

 「ハッ!おおせのままに。」

 二人はカティアに対し甲斐甲斐かいがいしくこうべをれた。

 「宜しくね。」とカティアはうなずき返す。

 カティアへの二人の行動は、師弟?旧知の仲?いや村長へ対するものとも違う何かを感じさせるものだった。

 そしてそのまま視線を未だフリーズ状態に近い、ぐるぐると思考を巡らすミコトへと向ける。

 「さて、これ以上のお話は今のこの子を交えては時期尚早じきしょうそうかしらね?」

 「ミコトちゃん?わかるぅ~?」とカティアはミコトの顔の正面で手の平をパタパタと振って意識を確認する。

 ……ぐるぐるぐる……えっ?えっ?…

 「…ダメみたいねぇ~?じゃ今日も夜分それなりのお時間だし、このままグッスリお休みしましょうか。」

 そう言うと、ミコトへとかざしたカティアの右ノ手に魔法陣が浮かび上がり一瞬きらめく。

 “ポゥッ”

 “バシュッ!!!”

 『『『!?』』』

 「…これは驚いたわね…なんの予備動作も無く一瞬で…無効化されるなんてね?」

 「これは…」 

 「マジか…」


 「「「………」」」
 
 



□□□□□□□□

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