人生・にゃん生いろいろ

景綱

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猫心と秋の空

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『女心と秋の空』

 そんなことわざがあるのはご存知だろうか。
 女心と秋の空とは、変わりやすい秋の空模様のように、女性の気持ちは移り気だという意味だ。けど、これってもともと『女心』ではなく、『男心』だったって知っているだろうか。
 男は浮気性だってことだね。
 んっ、ちょっと待て。すべての男性が浮気をするとはかぎらない。私は……どうだろう。ノーコメントにさせてもらおう。

「ええ、話さないの」

 そんな声が聞えてきそうだ。浮気、もちろんしませんよ。当たり前のこと。というか私はオヤジだけど独身だ。恋愛は自由だ。

 ただ浮気線が……。
 手相の話だ。いや、この線は違うのだろうか。
 調べてみると、ちょっと違うような気もする。

『浮気線』とは、生命線の内側に並行してある線らしい。やっぱり違う。どうやら勘違いをしていたようだ。違うところにある線を浮気線だと思い込んでいた。ちなみに生命線の内側には私の場合、線じゃなく格子状になっている。これって家庭円満を表すらしい。

 なるほど、ならこの線はいい印ってことか。
 あれ、手相の話をしたいわけじゃないだろう。

『女心と秋の空』『男心と秋の空』

 どっちも諺として存在するってことは、まあ、人の気持ちは移り気だってことかもね。男だろうが女だろうが同じだってことだ。結局、これはあくまでも諺であって人それぞれ違うってことも言えるかもしれない。

 いや、人だけじゃない。
 猫の心も移り気だ。



 移り気というか一瞬で気持ちがわかってしまう。
 私は猫のこんな場面に直面したことがある。
 仲良さそうに身体を擦り付けている猫がいた。まあ、身体を擦り付けること自体が仲良しの証とは言えないけど仲が悪いとは言えない行為だとは思う。
 なのに、突然片方が猫パンチを繰り出した。もう一匹も手をあげて。喧嘩になりそうになって慌てて私が止めた。

 気持ちが変わり過ぎだろう。
 猫あるあるだろうけど。

 だから、私は思う。

『猫心と秋の空』が一番ぴったりなのではないかと。

 そんなことを話したら、猫に睨まれるかもしれないけど。


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