38 / 47
8章 厳寒
4 強引に※
しおりを挟むその日、結局須藤と会話をすることはできなかった。
午後からバイトに入っていたので、大学からそのまま出勤し、家に帰ってきたのは夜のこと。
年始の客の多さに疲労を感じながらも、頭にあったのは須藤のことだった。
――須藤さんは大丈夫だろうか?
のっぺりと白いあの顔色の悪さは、きっと休みの間に何か家で問題があったのだと思えた。
だからあのとき手を掴んで呼び止めて、話を聞けばよかった――そう思うも、先生との話を邪魔するわけにもいかなかったと考える
スマホを出してメッセージアプリを開く。未だ須藤からの連絡はなく、最後の連絡は去年のままだった。
優人はそれを眺めながら、ふと思う。
――逆に、これでよかったのかもしれない。
今の自分は須藤に嘘を付いている、裏切り者のようなものだ。だから本来ならば、心配してあげられる立場にすらない。
今日はもう風呂に入って寝よう――そう思って優人が上着を脱いだときだった。
ばたん、とワンルームの扉の外で物音がした。
また同じ階の酔っ払いが部屋を間違えたのだろうか、優人はそう思いおそるおそる扉を開ける。
そこにいたのはなんと須藤だった。
ただ、午前中以上にやつれて顔色が悪く、にも関わらず近寄ると酒の匂いがぷんと漂った。
「……中谷くん」
そう言ってこちらに体重を預けようとするので、優人はすぐに部屋の中へ導き、声をかける。
「須藤さん……何があったんです――んっ」
それは突然の口付けだった。顎を押さえられ、口全体を覆われるような濃厚なキスに優人は驚いた。
これまで須藤からこんな強引に求められたことはあっただろうか。
すべてを忘れさせてくれ――まるでそう主張するように、本能のままに舌を絡め取られ、気持ちが少しもついて行かない。
ただ、須藤との接触はあまりに久しぶりだった。だから心は動揺しているにも関わらず、身体は無意識に反応してしまった。
舌に触れる須藤の熱が快感を思い起こさせ、みるみる下半身に血が流れていく。
――今、話を聞かなくてはいけないのに。
頭ではわかっているのに、止めることはできなかった。
そのまま激しい口付けを何度も交わしリビングに入ると、なんと須藤は自ら服を脱ぎ始めた。
その光景に優人が呆気に取られていると、裸の須藤はこちらを布団の上に押し倒すとともに、服を勝手に脱がせていく。
――やっぱり、何かあったんだ。
こんなに積極的な――どちらかというと乱暴で投げやりな姿に、須藤を抱きしめたい衝動に駆られた。
そんなにも苦しく忘れたいことがあるというのなら、こちらは求められるがままに愛するだけだ――。
すっかり身ぐるみ剥がされた優人は、須藤の腕を掴んで止めると、身体をぎゅっと優しく抱きしめた。
その温もりに安心したのだろうか。
須藤のこわばっていた身体がみるみる脱力していくのを感じながら、優人はそのまま須藤を布団に優しく倒して上に覆い被さる。
そして生まれたままにさらけ出された身体をまじまじと見た。
――よかった。新しい痣は増えていない。
そう安心したあと、唇は自然と須藤の身体に落ちていた。
「んっ」
その反応を皮切りに、全身へくまなく愛撫を始めた。
首筋から肩、そしてふっくらとした胸。その上で赤く立ち上がった乳首にむしゃぶりつくと、須藤はいい声で啼いた。
「あっ……あぁっ……」
すでに彼の股間も大きく上を向いていて、身体を舐めるたびにぴくりぴくりと喜んだ。その先端からはすでに愛液が流れ、腹に小さな水たまりを作っている。
――可愛い。
早く愛してといわんばかりの姿に、優人の熱も次第に高まっていく。
指先に須藤の流した愛液をまとわせると、それを閉ざされた孔へと伸ばした。そこはぴくりとしたものの、まだ解きほぐれていなかったので、優人はおもむろに空いていた口で須藤の肉棒を咥え込んだ。
「ひゃんっ」
そこを愛されるとは、全く想像していなかったのだろう。須藤の昂ったものは舌を這わせるたびに、快感に震えた。
同時に卑猥な嬌声が上がり、びくんびくんと腰をのけぞらせて喜ぶ。
次第に穴は柔らかくなり、触れた優人の指をちゅぱちゅぱと吸うように求めはじめた。それを合図に指を優しく中に進めると、やっと来たと言うように肉壁は指を締め始める。
そろそろだ――そう思った優人は口淫を止め、穴の中の指に集中した。入口を広げながら奥を突くたび、須藤はいい声を上げた。
「ううっ……んっふ……ぁんっ」
そして気付けば須藤の震える手が優人の背中に触れていた。まるで、もう待てないと言うように。
口付けを交わしながら、快感に震え横たわる須藤の身体を優しく起こす。そして優人は自分の秘部を見せるように胡座をかくと、その上に須藤を優しく迎え入れた。
須藤の下の口が肉棒に触れたあと、波のように訪れたのは快感だった。
「――――っ」
「はあぁぁ……」
そうして須藤が身体を震わせ、ぴたりと腕の中に収まったとき。その肌の温もりと身体の重さに、優人は泣きそうになった。
――ああ、須藤さんがここにいる。
顔は見えなかった。
しかし自分の全ての感覚が須藤を感じ、全身で主張していた。この人を守りたい、ずっとこの腕の中にいてほしい、と。
優人は腕に力を込め、腰を動かしはじめながら思った。
――この人を幸せにすることができないとわかっている。それでも。
今、この人を幸せにできるのは、自分しかいないのだ、と。
20
あなたにおすすめの小説
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
経理部の美人チーフは、イケメン新人営業に口説かれています――「凛さん、俺だけに甘くないですか?」年下の猛攻にツンデレ先輩が陥落寸前!
中岡 始
BL
社内一の“整いすぎた男”、阿波座凛(あわざりん)は経理部のチーフ。
無表情・無駄のない所作・隙のない資料――
完璧主義で知られる凛に、誰もが一歩距離を置いている。
けれど、新卒営業の谷町光だけは違った。
イケメン・人懐こい・書類はギリギリ不備、でも笑顔は無敵。
毎日のように経費精算の修正を理由に現れる彼は、
凛にだけ距離感がおかしい――そしてやたら甘い。
「また会えて嬉しいです。…書類ミスった甲斐ありました」
戸惑う凛をよそに、光の“攻略”は着実に進行中。
けれど凛は、自分だけに見せる光の視線に、
どこか“計算”を感じ始めていて……?
狙って懐くイケメン新人営業×こじらせツンデレ美人経理チーフ
業務上のやりとりから始まる、じわじわ甘くてときどき切ない“再計算不能”なオフィスラブ!
氷の婚約者様に破談を申し出たら号泣された
楽矢
BL
目が覚めると、レースの牢獄のような天蓋付きベッドの上だった。
何も覚えていない出来損ない下級貴族ミラ。無能だクズだと冷酷な罵詈雑言を浴びせてくる氷の騎士セティアス。
記憶喪失から始まる、2人のファンタジー貴族ラブコメディ。
----------
※注)
かっこいい攻はいません。
タイトル通りそのうち号泣しますのでご注意!
貴族描写は緩い目で雰囲気だけお読みいただけると幸いです。
ハッピーエンドです。
激重感情をこじらせた攻→受な関係がお好きな同志の方、どうぞよろしくお願いします!
全16話 完結済み/現在毎日更新予定
他サイトにも同作品を投稿しています。
様子を見ながらそのうち統合するかもしれません。
初めての一次創作でまだよく分かっておらず、何かおかしなことをしでかしていたら申し訳ないです!
冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される
マンスーン
BL
王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。
泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。
入社1ヶ月のワンコ系男子が、知らずのうちに射止めたのはイケメン社長!?
monteri
BL
CM制作会社の新入社員、藤白純太は入社1ヶ月で教育係の先輩が過労で倒れたため、特別なクライアントの担当を引き継ぐことになる。
そのクライアントは、女子禁制ミーハー厳禁の芸能事務所だった。
主人公の無知で純なところに、翻弄されたり、骨抜きにされるイケメン社長と、何も知らない純太がドキドキするお話です。
※今回の表紙はAI生成です
※小説家になろうにも公開してます
執着
紅林
BL
聖緋帝国の華族、瀬川凛は引っ込み思案で特に目立つこともない平凡な伯爵家の三男坊。だが、彼の婚約者は違った。帝室の血を引く高貴な公爵家の生まれであり帝国陸軍の将校として目覚しい活躍をしている男だった。
僕たち、結婚することになりました
リリーブルー
BL
俺は、なぜか知らないが、会社の後輩(♂)と結婚することになった!
後輩はモテモテな25歳。
俺は37歳。
笑えるBL。ラブコメディ💛
fujossyの結婚テーマコンテスト応募作です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる