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4 Side 慧
44 文化祭が終わって
しおりを挟む無事に文化祭が終わり、同時にクラスの空気もいよいよ受験へ向けて変わり始めた頃。
俺と誉史の関係は前向きに進んだものの、教室での距離感は文化祭前と変わっていなかった。――いや、変わらないように俺達は必死に努力していた!
それは、俺達がついに繋がる快楽を知ってしまい、隙あらば無意識に恋人空気を振りまくことを防ぐためだった。
からだを知ったからこそ流れる空気感は独特で、今の俺はしたカップルとしていないカップルを容易く見分けることができてしまう。ということは、同じようにこちらもバレバレということだ。
ニーチェの『深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ』を、まさかこのタイミングで実感するとは思ってもいなかった。
正直、男子高校生にとってあの快楽は刺激が強すぎた。俺は男子のなかでもあまり興味がないほうだと思っていたけど、そんな俺でも毎日したいと思うくらいだからやばい。
一度、体育の後に汗を流す誉史を前に、不意にしたくなって学校で及びそうになったことがある。一回目の件もあり、性欲に支配された俺達が行動に移すのはすぐだった。しかしそれが体育教師に見つかりそうになり、いまはリスクを避けるために学校では距離を保つことにしている。
というわけで、俺達の関係が変わったのは放課後のことだ。
受験勉強を建前に、俺達は互いの家に遊びに行ってはからだを重ねている。
正直、爛れているとは思う。しかしあれを知る前と知ってしまった後では、まるっきり世界は変わってしまった。
あの表面上の気持ちよさだけではない、互いが互いだけに心を許しあなただけが特別なのだと言われてるような、心を満たされる感覚。そして誰かと気持ちが通じ合い、それが同じ方向を向いている事実。
人との付き合いを無用だと思っていた俺は、こんな幸せがこの世にあることを知らなかった。だからそれを教えてくれた誉史に、日々感謝しているというわけだ。
そうして、この時間が永遠に続けばいいと思っていたのに。それを確実に邪魔しようというものが、やってこようとしていた。
俺は、渡された進路希望調査票を見ながら思った。
――誉史は、どうするのだろうか。
クラスは理系特進コースだから卒業まで同じクラスで離れることはない。しかし、そのあと誉史がどうするのか、これまで聞いたことはなかった。
そもそもずっと友達がいなかったので、誰がどこに進学するとか俺は気にしたこともなかった。
けれど誉史は違う。俺にとって特別な存在で、いまとなっては離れることなんてすこしも考えられなかった。
――聞きたい…………けれど無理だ。
それが万が一にも別れに繋がる可能性があるというのなら。
そう思うと、俺は途端に何も話せなくなってしまうのだった。
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