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4 Side 慧
45 これからのこと
しおりを挟む放課後、俺は隣の教室で帰ろうとしていたほなみを捕まえた。はっきりと嫌な顔をされたものの、彼女は渋々席に座ってため息をついた。
「はあ……なんでまたわたしに相談するかな」
「ほなみ、いつも助かってる!」
そう言い、俺がいま迷っていることを赤裸々に話すと、彼女は苦々しく笑う。
「だから、そういうことは本人に相談しなって。前悩んでた時も、結局本人と話して無事元に戻ったんでしょ?」
「……ああ、そうなんだが」
「それが結局一番早かったでしょ?そう思わない?」
「………………そのとおりです」
小さな声で下を向く俺の頭に、ほなみの鋭い視線が向けられている気がした。俺は目を合わせられずにゆっくりと聞く。
「ほなみ様、俺は一体どうしたらいいのでしょうか?」
「……え?慧が本人と話したくないっていうのなら、もうどうしようもないでしょ。諦めなよ」
その淡々とした返答に、
「……そういうところ、ドライだな」
と俺は思ったまま口にしてしまったことに気づくも、ほなみはまったく気にしていないようだった。
「だってさ、やりたいことあるなら高校から進路決めてるでしょ?染谷君の家って家業とかあるんだっけ?」
家業、そう言われて誉史の家を思い出すも、普通の一軒家でそういう気配はなかったはずだ。
「ないと思う。ただ、母親が医学系だったはず。これまで進路とかそういう話は誉史としたことないんだ」
「そっか。なるほどね」
そうしてほなみはしばし沈黙したので、俺は期待して待った。
しかしほなみはにっこりと笑って、
「うん。まあ慧、それも青春のうちよ」
と言っただけだった。
「はあ?結論はそれか?俺のことからかってるだろ!」
「……いいじゃん。そうやって悩むのも今だけってこと。慧らしくなくていいでしょ」
そうして俺はまた振り出しに戻ってしまった。廊下をひとり歩きながら考える。
――やはり、本人に聞かなくてはいけない。
自分でもそれが一番だということはわかっていた。しかし、それをどうやって自然に切り出すかが難しいのだ。
「……はあ」
俺はため息を付きながらスマホを確認する。今日は、珍しく誉史から連絡が来ていなかった。
そうして廊下をとぼとぼと歩いていると、例の――学校でしようとしたら見つかりそうになったあの体育教師が前から歩いてきた。
さようなら、そう互いにあいさつを交わしたときだった。通りすぎようとするとき、不意に先生から声をかけられた。
「待った。星野、そういえばお前染谷と仲良かったよな」
「……はい。まあ」
「これ、渡しておいてくれないか」
そうして手渡してきたのは、色のついた大きな封筒だった。
その見覚えのある形状に嫌な予感がした瞬間、端に書かれていた専門学校の名前が目に入ってしまう。
それは地元の学校法人の名前で、途端俺の頭のなかでよぎったのは、誉史と一緒にいられないかもしれない未来だった。
俺はそれを受け取った。そして返事をしたかもわからないまま、自分の激しい鼓動の音だけを感じていたのだった。
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