兎並学園~私達姉妹の物語~

華愁

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第四話††新任教師はまたしても天使……

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産休に入った鷹尾先生の
代わりに来た先生は“天使”。
普通の人間にはわからないだろうけど
私達は別だ。

♬✧*。♬*.+゜♬✧*。♬*.+゜♬✧*。

「あいつが人間界に
降りて来るなんて珍しいな」

昼休み、空き教室で涼音とお弁当を
食べていたらそんなことを呟いた。

「知り合い?」

年は涼音と同じくらいに見えたけど。

「天界では仲がよかったんだ。

あいつの天使名は“サリエル”だから
天界でも少し遠巻きにされていてな……」

邪視の持ち主か‼

「誤解されていたんだね」

月を支配し、仲間を堕天させ 
(しかも、罪の重さを量ってたし)
死者の魂を狩り死を司っているのが
誤解されやすい要因だろうね。

「螢は知ってたのか?」

だけど、彼は本当は優しい天使だ。

「うん、だって、自分が堕天させてしまった
仲間のために血の涙を流せる彼自身が
堕天使なわけなもん」

邪視だって決して悪い物じゃない。

真実を見抜き、悪を正すための物だし
そんな、辛い役目を引き受けてくれている
彼にありがとうと言いたい。

「遊馬先生、入ったきたらどうです?」

私がドアの方に向かって声をかけると
涼音が笑った。
「何で、俺がいるってわかった?」

ドアを開けて入って来た遊馬先生は
心底驚いている。

「螢はちょっと特殊な力を持っていてな」

ありゃ、私が答える前に
涼音が答えちゃったよ。

「特殊な力?」

いきなり、“特殊な力”があるなんて
言われてもピンとこないと思う。

ましてや、天使にしてみれば
私達人間なんて赤子くらいの年だろうし。

「私は人外な者を見分けられるんです。

二年の新崎蛍で涼音の恋人ですよ」

大方、涼音の後をついて来て
此処に入るのを見たんだろう。

涼音は気付いていながら
気付かないフリをして
空き教室に入ったに違いない。

私に会わせたかったんだろうね。

遊馬先生がドアを閉めたのを
確認して、空いてる席を勧めた。

「涼音、遊馬先生が此処まで
ついて来てるの知ってたんでしょ?」

私の質問に涼音はまたしても笑った。

確信犯だね。

「ほら、螢はこいつに
言いたいことがあるんだろう」 

話をすり替えたね(苦笑)

*゜*゜*゜*゜*゜*゜*゜*゜*゜

天使だからのか単に感がいいのか
時々、心を読んだようなことを言う。

「ありがとうございます」

突然お礼を言った私に
遊馬先生は驚いている(苦笑)

「え?」

それもそうだ。

「遊馬先生が“サリエル”だと涼音から聞きました。
邪視は真実を見抜くための物ですし
無闇矢鱈に仲間を堕天させていた
わけじゃないことはわかっています。

だから、そんな辛い役目を
背負ってくれている遊馬先生に
お礼を言いたかったんです」 

人間に言われても嬉しくないだろうけど
私は言いたかった。

「変な人間だな(苦笑)」

まぁ、普通に考えて“天使”にお礼言う
人間は私くらいだろうね(笑)

だけど、事情を知れば
茜も同じ事を言うと思うけどなぁ。

「ありがとうございます」

さっきとは違う意味でお礼を言った。

結局、昼休みが終わるギリギリまで
三人で沢山、話をした。

※天界のこと
※私達姉妹のこと
※学園にいる人外な者のこと。

此処は色々な者達が入り交じっている場所だ。

「私は先に教室に戻るね」

教師二人にそう告げて空き教室を出た。
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