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番外編② 訪問(瑠璃子視点)
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「ごめんください」
玄関に出て来たのは品のいい女性、室生先生の奥様のとみ子さん。
「突然の訪問失礼いたします。
西園寺先生にお取り次ぎをお願いできますでしょうか…… 姪の瑠璃子と申します」
「あなたが……初めまして、犀星さんの妻のとみ子です。どうぞ、上がってお待ちになって。
龍之介さんと犀星さんは書斎で仕事中ですの」
とみ子さんは二階に上がって行った。
数分後、家主である室生先生と叔父様が降りて来た。
「瑠璃子かい? 大きくなったね」
「龍之介叔父様、いえ、西園寺先生、お久しぶりです。突然の訪問をお許しください。
本日は私が中学校の教員になったご報告に参りました。
新原や芥川のその後はご興味ないでしょうから、あえてそちらの話しはいたしません」
「教職とは、少しばかり僕に似たのかな?
僕も少しだけ教鞭を執っていたけど、神経質な僕には不向きな職業だったね」
叔父様は苦笑して言った。
「もう一つご報告したいことがありまして、教員採用試験に受かった際に結婚したので、
私は新原ではなく“四十沢”瑠璃子という名前で教鞭を執っています。」
夫の四十沢慶勝は友人の兄だった。
「そうか、瑠璃子も新しい人生を歩んでいるのならよかった。
教育の場に立つのなら、一つ、心に留めておくといい。
“言葉”は人を傷付けることもあるが人を救うこともあるのだとね。
中学生は多感だ、言葉一つで傷付きやすい年頃だからね、
それだけは覚えておきなさい」
「はい、叔父様、いえ、西園寺先生の言葉を胸に刻み、教壇に立ちます」
私は夕飯の誘いを辞退して室生家を後にした。
玄関に出て来たのは品のいい女性、室生先生の奥様のとみ子さん。
「突然の訪問失礼いたします。
西園寺先生にお取り次ぎをお願いできますでしょうか…… 姪の瑠璃子と申します」
「あなたが……初めまして、犀星さんの妻のとみ子です。どうぞ、上がってお待ちになって。
龍之介さんと犀星さんは書斎で仕事中ですの」
とみ子さんは二階に上がって行った。
数分後、家主である室生先生と叔父様が降りて来た。
「瑠璃子かい? 大きくなったね」
「龍之介叔父様、いえ、西園寺先生、お久しぶりです。突然の訪問をお許しください。
本日は私が中学校の教員になったご報告に参りました。
新原や芥川のその後はご興味ないでしょうから、あえてそちらの話しはいたしません」
「教職とは、少しばかり僕に似たのかな?
僕も少しだけ教鞭を執っていたけど、神経質な僕には不向きな職業だったね」
叔父様は苦笑して言った。
「もう一つご報告したいことがありまして、教員採用試験に受かった際に結婚したので、
私は新原ではなく“四十沢”瑠璃子という名前で教鞭を執っています。」
夫の四十沢慶勝は友人の兄だった。
「そうか、瑠璃子も新しい人生を歩んでいるのならよかった。
教育の場に立つのなら、一つ、心に留めておくといい。
“言葉”は人を傷付けることもあるが人を救うこともあるのだとね。
中学生は多感だ、言葉一つで傷付きやすい年頃だからね、
それだけは覚えておきなさい」
「はい、叔父様、いえ、西園寺先生の言葉を胸に刻み、教壇に立ちます」
私は夕飯の誘いを辞退して室生家を後にした。
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