ネオン街で会いましょう

星川過世

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 ......というのが一年前の話だ。
 俺はまんまとホストクラブに、というか零夜くんにハマり、紗雪抜きで店に通い、そこそこの額を零夜くんに使っていた。
 おかげでそこそこのポジションに納まっているが、そこそこのポジションに納まったところで客は客。こんな不毛なことは一日でも早くやめなくてはいけない。
 そうわかっていてもやめられないのが人間ではなかろうか。
 例え今、零夜くんが俺にもたれ掛かりながら他の客にメッセージを返していても。
 「今日泊っていってもいい?」
 「......いいよ」
 こうやって一緒にいてくれるし。なんなら最近ずっと俺の家に入り浸っていて半同棲状態だし。
 買い物とかしてきてくれるし、家事もやってくれるし。
 ホストにハマる人の典型的な道を順当に歩いている自覚は、ある。
 「じゃ、一緒に寝ていい?」
 スマホを置いた零夜くんが首を傾げて聞いてくる。かわいい。
 「い、いいよ」
 零夜くんが俺の髪を耳に掛けて、触れるだけのキスをした。
 「......」
 こういう雰囲気には、未だに慣れない。
 「シャワー浴びてくるね」
 しかしその発言の意図がわかるくらいには付き合いが長い。
 「うん。いってらっしゃい......」
 

 「......あの、零夜くん」
 「なぁに?」
 「......そろそろ、寝ない?」
 明日は休みだが、六回戦目はちょっときつい。
 「あ、疲れちゃった? ごめんね」
 零夜くんは何箇所かに軽くキスをしてから起き上がった。零夜くんも疲れてはいるらしく、顔に疲労が滲んでいることが照明を落とした部屋でもわかる。
 「シャワー浴びる?」
 「いい」
 「じゃ、体拭いてあげる」
 のに、世話をしてくれる。こういうところは雑にしない。優しい。
 丁寧に俺の体を拭いてくれて......
 「え......?」
 いる途中に寝落ちた。
 嘘だろ。
 なんというか、すごい。色々な意味で。やはり零夜くんも疲れていたのだ。そんなに無理することないのに。
 とりあえず自分でざっと拭いてから零夜くんを動かしてきちんと眠る姿勢にした。一度眠るとそう簡単には起きないのだ。
 そのまま横に寝ころんで零夜くんと自分に布団を掛け、照明を完全に消す。
 零夜くんからは当然ながら俺と同じシャンプーの匂いがした。いつもの香水の匂いも好きだけれど、このシャンプーの匂いがする間だけは俺だけのものという気がして幸せだ。
 「おやすみ、零夜くん」
 隣にあり、体にも残る零夜くんのぬくもり。
 いつかこのぬくもりが無いベッドを寒いと感じる日が来るのが、怖い。
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