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「零夜くん? こっちじゃないよ」
零夜くんが家と違う方に行ったので声を掛けると、零夜くんが首を傾げる。
「零夜くんの家、そっちでしょ?」
酔っているのだろうか。さっきまで普通に見えたが。
「あれ? 俺の家来る?」
「いや、俺は行かないけど」
そういえば零夜くんの家にはあまり行ったことがない。いつも零夜くんが来てくれるから。
「えー、じゃあ今日はアユムの家泊まりたい」
「え、でもさっき帰るって」
「アユムの家に帰るー。だめなの?」
いきなり手を握られた。体温はいつも通りだが、やはり何か変だ。
「いいけど、俺の家じゃ休めなくない?」
「アユムの家じゃなきゃヤダ」
「そう? じゃあ行こうか」
放してくれないので手を歩きやすいように握り直す。どうせ暗いから見えないだろう。
「零夜くん、何かあったの?」
話してくれるとは思わなかったけど、そう尋ねた。零夜くんは少しためらった後、やはり「特にない」と答える。
「明日休みだよね? 一緒に寝ていい?」
「いいよ」
シャワーを浴びに行った零夜くんを、自分の髪を乾かしながら待つ。紗雪から雄飛さんとの楽しそうな写真が送られてきていた。
もう解散したのだろうか、それとも今頃自分たちみたいに......。そこまで考えて慌てて頭を振る。姉弟同然の相手のそういうものは考えたくない。
ただ、他のホストが他の客にどうしているのかは気になるところでもある。零夜くんが他の客にどうしているのか、も。
そこに答えは無いと知りながらも、出来心で数回だけ覗いたホストクラブに関する掲示板を開く。他愛もない会話が繰り広げられていた。
掲示板自体は馴染んだ場所だ。ノリはどこも同じなのだなと、誉め言葉も中傷に近いものも受け流してスクロールしていく。
別に本気で何かの情報を求めていたわけではなかった。ただ軽い気持ちで、自分と同じような状況の人が紡いだ言葉を読みたいと思っただけ。だからその書き込みに息が止まりそうになった。
『零夜ってあの男の客と付き合ってるの?』
絶対俺のことだ。だって零夜くんに他に男の客はいない。多分。
俺のことだとして答えはノーなのだから何も恐れる必要はないのだが、今までネット上で誰かに話題にされることのない人生だったので心臓がバクバク言っている。何か俺に関する何かマイナスなことが書いてあるのではなかろうか。
前後の文章を真剣に読んでいくと、案の定『あんなのと付き合ってるわけない』『自演乙w』と書かれていた。見も知らぬ誰かが余計なことを言った所為で俺に自演の疑いが掛かっている。
「おまたせ、アユム」
「あ、うん」
慌ててスマホを置く。明日もうちょっと見てみようと思いながら。
零夜くんが一瞬だけ、置かれたスマホに目をやった。
「何見てたの?」
「え、あ、け、掲示板」
咄嗟に嘘が吐けなくて本当のことを言ってしまった。
しかし零夜くんもホスト掲示板については知っているだろう。ふぅん、とだけ言うとそのままのしかかってきた。
零夜くんが家と違う方に行ったので声を掛けると、零夜くんが首を傾げる。
「零夜くんの家、そっちでしょ?」
酔っているのだろうか。さっきまで普通に見えたが。
「あれ? 俺の家来る?」
「いや、俺は行かないけど」
そういえば零夜くんの家にはあまり行ったことがない。いつも零夜くんが来てくれるから。
「えー、じゃあ今日はアユムの家泊まりたい」
「え、でもさっき帰るって」
「アユムの家に帰るー。だめなの?」
いきなり手を握られた。体温はいつも通りだが、やはり何か変だ。
「いいけど、俺の家じゃ休めなくない?」
「アユムの家じゃなきゃヤダ」
「そう? じゃあ行こうか」
放してくれないので手を歩きやすいように握り直す。どうせ暗いから見えないだろう。
「零夜くん、何かあったの?」
話してくれるとは思わなかったけど、そう尋ねた。零夜くんは少しためらった後、やはり「特にない」と答える。
「明日休みだよね? 一緒に寝ていい?」
「いいよ」
シャワーを浴びに行った零夜くんを、自分の髪を乾かしながら待つ。紗雪から雄飛さんとの楽しそうな写真が送られてきていた。
もう解散したのだろうか、それとも今頃自分たちみたいに......。そこまで考えて慌てて頭を振る。姉弟同然の相手のそういうものは考えたくない。
ただ、他のホストが他の客にどうしているのかは気になるところでもある。零夜くんが他の客にどうしているのか、も。
そこに答えは無いと知りながらも、出来心で数回だけ覗いたホストクラブに関する掲示板を開く。他愛もない会話が繰り広げられていた。
掲示板自体は馴染んだ場所だ。ノリはどこも同じなのだなと、誉め言葉も中傷に近いものも受け流してスクロールしていく。
別に本気で何かの情報を求めていたわけではなかった。ただ軽い気持ちで、自分と同じような状況の人が紡いだ言葉を読みたいと思っただけ。だからその書き込みに息が止まりそうになった。
『零夜ってあの男の客と付き合ってるの?』
絶対俺のことだ。だって零夜くんに他に男の客はいない。多分。
俺のことだとして答えはノーなのだから何も恐れる必要はないのだが、今までネット上で誰かに話題にされることのない人生だったので心臓がバクバク言っている。何か俺に関する何かマイナスなことが書いてあるのではなかろうか。
前後の文章を真剣に読んでいくと、案の定『あんなのと付き合ってるわけない』『自演乙w』と書かれていた。見も知らぬ誰かが余計なことを言った所為で俺に自演の疑いが掛かっている。
「おまたせ、アユム」
「あ、うん」
慌ててスマホを置く。明日もうちょっと見てみようと思いながら。
零夜くんが一瞬だけ、置かれたスマホに目をやった。
「何見てたの?」
「え、あ、け、掲示板」
咄嗟に嘘が吐けなくて本当のことを言ってしまった。
しかし零夜くんもホスト掲示板については知っているだろう。ふぅん、とだけ言うとそのままのしかかってきた。
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