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2話 彼氏が甘えてきます(拒絶不可です)
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「真木さん!手繋いでもいい?」
あの後なんとか高橋くんを泣き止ませ、クラス公認(高橋くんが何やらかすかわからないから認めざるを得ない)カップルになった日(後に『高橋くん大暴走事件』と呼ばれる)から一週間。
高橋くんがすごく甘えてきます。
ぼぼ高橋くんの脅迫だったが、付き合おうかと言ってしまったからにはどんな事情があるにしても仕方ない。
そう腹をくくり、高橋くんと向き合う事にした私を待ち構えていたのは、彼の甘える攻撃だった。
「真木さん・・・ずっと一緒にいてね?」
「僕から離れないで」
「抱きしめてもいい?」
等々。あの日から高橋くんは私の前で表情を繕うことを止めたのか、眉を下げて不安げに聞いてくる。
──迷子の子供みたいな顔で見ないでくれ。
小さい子をいじめているような気持ちになってしまい、私の心が痛む。
私の事に関して不安定な高橋くんを刺激しないように、基本的に甘えられたら応えてはいるが中にはちょっと恥ずかしいものもあるため、
「廊下ではちょっと・・・」
と言って断りかければ、
「何で?何か駄目なの?」
「・・・僕から離れるの?」
と言い無表情になり、暗い瞳をして詰め寄ってくる。しまいにはホロホロと涙を流して私にすがり付いてくるのだ。
私は悟った。これは断れない、断っては駄目なんだと。断れば最後、あの『高橋くん大暴走事件』以上にヤバイ事が起こってしまうと。
クラスメイト達からも何度も釘を刺された。
「高橋から離れるなよ」
「否定したら駄目だよ!受け入れてあげて」
「私は真木さんを応援してるから」
「高橋くんの彼女は真木さんしか居ない」
「何か進展あったらくわしくお願いします」
──皆言いたい放題だな。最後に至っては自分の願望じゃないか。
高橋くんの様子を良く理解している為、クラスでいじめられる心配はしなくていいが、なんだか腑に落ちない。
そんな回想を終えて、大人しくこちらの様子を伺っていた高橋くんに笑いかける。
「いいよ」
そう言って手を差し出せば、高橋くんはパァッと顔に笑みを浮かべて嬉しそうに私の手を握る。背景に花が飛んでる様に見える。
幸せそうにしている彼を見ると、ついつい頭を撫でてしまいそうになってしまう。そこでふと思った。
──付き合っているんだから、頭くらい撫でても大丈夫じゃないか?
と。思い立ったら即行動だ。私は隣で笑う彼の頭をそっと撫でた。
サラサラとした感触が気持ちいい。
夢中で高橋くんの頭を撫でていると、彼が静かなことに気づく。
「高橋くん?」
声をかけると俯いていた彼が、勢いよく顔を上げた。高橋くんは瞳を潤ませて頬を染め、口をパクパクと開閉させていた。
しばらくその様子を見ていると、そっと頭を撫でている私の手にすり寄り、恥ずかしそうに視線を右往左往させながらチラチラと私を見てくる。
パチリ。私と視線が合うと、高橋くんはふにゃりと顔を緩めて笑った。
──可愛いなぁ。
彼のそんな様子を見てそう思うなんて、なんだかんだ彼に絆されてしまっているなぁと感じながらも、私は高橋くんに微笑みかえす。
「真木さん大好き・・・」
するとそう言って彼は私の手を握りしめて、そっと寄り添ってくる。幸せそうな笑顔を浮かべて。
私の彼氏は可愛い甘えん坊です(拒絶できません)
あの後なんとか高橋くんを泣き止ませ、クラス公認(高橋くんが何やらかすかわからないから認めざるを得ない)カップルになった日(後に『高橋くん大暴走事件』と呼ばれる)から一週間。
高橋くんがすごく甘えてきます。
ぼぼ高橋くんの脅迫だったが、付き合おうかと言ってしまったからにはどんな事情があるにしても仕方ない。
そう腹をくくり、高橋くんと向き合う事にした私を待ち構えていたのは、彼の甘える攻撃だった。
「真木さん・・・ずっと一緒にいてね?」
「僕から離れないで」
「抱きしめてもいい?」
等々。あの日から高橋くんは私の前で表情を繕うことを止めたのか、眉を下げて不安げに聞いてくる。
──迷子の子供みたいな顔で見ないでくれ。
小さい子をいじめているような気持ちになってしまい、私の心が痛む。
私の事に関して不安定な高橋くんを刺激しないように、基本的に甘えられたら応えてはいるが中にはちょっと恥ずかしいものもあるため、
「廊下ではちょっと・・・」
と言って断りかければ、
「何で?何か駄目なの?」
「・・・僕から離れるの?」
と言い無表情になり、暗い瞳をして詰め寄ってくる。しまいにはホロホロと涙を流して私にすがり付いてくるのだ。
私は悟った。これは断れない、断っては駄目なんだと。断れば最後、あの『高橋くん大暴走事件』以上にヤバイ事が起こってしまうと。
クラスメイト達からも何度も釘を刺された。
「高橋から離れるなよ」
「否定したら駄目だよ!受け入れてあげて」
「私は真木さんを応援してるから」
「高橋くんの彼女は真木さんしか居ない」
「何か進展あったらくわしくお願いします」
──皆言いたい放題だな。最後に至っては自分の願望じゃないか。
高橋くんの様子を良く理解している為、クラスでいじめられる心配はしなくていいが、なんだか腑に落ちない。
そんな回想を終えて、大人しくこちらの様子を伺っていた高橋くんに笑いかける。
「いいよ」
そう言って手を差し出せば、高橋くんはパァッと顔に笑みを浮かべて嬉しそうに私の手を握る。背景に花が飛んでる様に見える。
幸せそうにしている彼を見ると、ついつい頭を撫でてしまいそうになってしまう。そこでふと思った。
──付き合っているんだから、頭くらい撫でても大丈夫じゃないか?
と。思い立ったら即行動だ。私は隣で笑う彼の頭をそっと撫でた。
サラサラとした感触が気持ちいい。
夢中で高橋くんの頭を撫でていると、彼が静かなことに気づく。
「高橋くん?」
声をかけると俯いていた彼が、勢いよく顔を上げた。高橋くんは瞳を潤ませて頬を染め、口をパクパクと開閉させていた。
しばらくその様子を見ていると、そっと頭を撫でている私の手にすり寄り、恥ずかしそうに視線を右往左往させながらチラチラと私を見てくる。
パチリ。私と視線が合うと、高橋くんはふにゃりと顔を緩めて笑った。
──可愛いなぁ。
彼のそんな様子を見てそう思うなんて、なんだかんだ彼に絆されてしまっているなぁと感じながらも、私は高橋くんに微笑みかえす。
「真木さん大好き・・・」
するとそう言って彼は私の手を握りしめて、そっと寄り添ってくる。幸せそうな笑顔を浮かべて。
私の彼氏は可愛い甘えん坊です(拒絶できません)
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