HEAVENS HEARTS

HI-ROCKS

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SPEED 05 覚醒の光条

SPEED 05-12

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それを合図としたか、柄の先に再び青白き刀身が光臨。

「呪縛を解こう、望むままに……イクぜ!」

言い放つ零士の右足が一気に踏み込まれ、左中段構えからの刀身が始動。

「こんボケェッ!クソ!アホ零士ィッ!」

叫び響く中、刀身はベッドに対して水平に、カルナの両脚ごと拘束具を走り抜ける。

「ヌゥゥゥッ!……」

カルナは、自が両脚を斬られるという衝撃場面(ショック)に出くわし、痛みを相殺すべく奥歯を圧砕する程に食い縛った。

「カル兄ぃ?タマシイ残ってるかぁ?……おっ!大丈夫や、足四本におろされてへん」

驚嘆を含むも興味先行のエルナが拘束具を掴むと、最初(ハナ)からそうであったかのようにカルナの脛に当たる部分のみが蓋の如く外れた。

「……ハァ……グゥッハァ零士……美しい青髪が白髪んなったら……ハァ……シンドォッ」

解放の歓喜をも吹き飛ぶ神経の衰弱に、カルナは再度ベッドに全身を預けた。

「ちょっと度が過ぎるわよゼロ」

「そうでもないみたいだぜ」

零士の視線を月華が辿る。

「零士……お前は確実にシバクリスト、ナンバーワンや。この借りはいずれ返す……が、その前に答えてもらおうか。三つの手品の種が月に依存しとるって内訳を」

射抜く眼差しとなったカルナが零士を抉る。

「そらな。直接身体に問い掛けた方が頭が冴えるんだよ、コイツは」

「アタシも聞きたいな零士さん。特にそのカタナ(ダンビラ)みたいなエモノのことを」

エルナの顔を占領するは興味本位のみ。

「髪を使った提言、アレは東洋に古くから伝わる気功術に似ているかもしれない。縛った気を物質に通すという離れ業(わざ)に」

「それを月のエネルギーで代替実践した?」

「そうよ。そしてあなたが目を輝かせてるアレ、アレはゼロが試験的(ドウラク)に開発し(つくっ)た細工(オモチャ)……LUNATIC BLADE……陳腐に言っちゃえばLP(ルナティック・パワー)増幅装置ね」

「へぇぇぇ、スゴイなぁ……ようわからんけど。じゃあさ、何でカル兄ぃの足だけ無傷なん?」

内容に似つかわしくない無邪気さに拍車を掛けるエルナ。

「それはゼロがLB(ルナティック・ブレード)のグリップ部にカルの毛髪を取り込んだ為よ。LBにはDNA識別機能を付帯させてあるから、そこを経た情報はDNAバンクに蓄積され、同DNA保持者には危害を与えず素通りするって仕組みを取ってるの。アブナイからね」

「スゴ!ようわからんけどスッゴッ!」

「実際に身体ん中を通された訳やから疑う余地はもうナイ……その上であと一つ、あと一つだけ答えてくれ。そのHHCを埋め込めばどれだけのレベルアップが望めんのや?筋力面から見れば零士より俺の方が……」

独自の画策を企てカルナはほくそ笑んだ。
が、瞬時に打ち消すべく零士が口火を切る。

「残念だがHHCに元来の筋力は関係ない。話は前後するが、新陳代謝問題の解決も先の副産物をも、全ては月の大いなる恩恵を受け初めて実現を可能とされた。コレについては実際に製作した俺達ですら未だ信じ難いと言った訳だが、そんなあやふやな状況の中でもわかったことがいくつかある。その効果を最大限に発揮できるのは満月時だということ、逆に新月時には全機能が休眠状態に陥ること。これは針治療に数多くある約束事からの引用になるが、新月の夜は満月時に比べ気や筋肉が痩せ衰える為に針を打ってはならないとある。この記述に倣うことで説明とさせてもらう。そして次がお前をガッカリさせる要因……強大な月の力(ルナティック・パワー)を左右(コントロール)する際に物を言うはHHCを取り込んだ自身の精神力(メンタル・パワー)だってことだ」
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