【完結】ハズレ召喚と言われたSubの俺。実はデミゴッド 〜優美な騎士団長から溺愛される〜

亜沙美多郎

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最悪のコマンド

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 周りとの温度差など気にも止めず、パロミデルは俺に卑猥な視線を送っている。

   自分は無関係とでも思っているのか。

   ジャックスさんは、遂にジェネシスさんに従うと腹を括ったように剣を握った。

「こうなったのが俺の責任とでも言いたそうだな」

  パロミデルがヘラヘラと笑いながら言う。

  そんなパロミデルに、ジェネシスさんは怒りを露に怒鳴った。

「当たり前だ! 会合にも出ず、罪のない人を殺して召喚させる。穢れも浄化できない。森では魔獣が繁殖し続けているじゃないか!! これが騎士団長以外の誰の責任だと言うのか!!」

「やかましいわ!! 知ったことか!! 自分の身くらい、自分で守れってんだ」

「騎士団長……。団員はパロミデル騎士団長の指示なしには動けません。どうか、正確な情報と指示を与えてください」

 ジャックスさんが訴えかける。目には涙を溜めていた。この人が国を守る騎士団長なんて、誰が認められるだろうか。

「黙れ!! ジャックス!! お前ごときが俺に命令するな!!」

 俺に向けられていた視線をジャックスさんに向け、グレアを放つ。ジャックスさんは全身で受けてしまったが、膝をついて完全に倒れるのをどうにか耐えた。


「自分の部下にまでグレアを放つなんて信じられない……」

 掠れた声でサミュエルさんが呟いた。サミュエルさんも立っているのがやっとだ。

 パロミデル一人でこんなにも状況が変わってしまうなんて……。悔しいが、この人がトップに立つに十分な理由を理解してしまった気分になる。

   この圧倒的な存在感とパワーを持って、街を守ってくれていると、国王は信じているのだろう。


「パロミデル騎士団長! 森の魔獣を討伐するだけでも少しは良くなる! 一先ず手を組んでおかないか!?」

 ジェネシスさんが提案したが、聞き入れてもいない。まるで興味すらないようにも伺える。

「断る」

 端的に返事をし、ジェネシスさんの提案を切り捨てた。「面倒なのは苦手でね」と、厭味ったらしく付け加え、改善する余地を見せなかった。

 それどころか跪いているジャックスさんを蹴り飛ばしたのだ! これには居合わせた人全員が驚愕した。

「邪魔だ!! どけ!!」

 悪びれる様子もないパロミデルは明らかに俺を狙っている。

   ジャックスさんの元に駆け寄ったのはジェネシスさんだ。背中を撫で、深呼吸を促す。


  パロミデルはそんな二人をも無視して俺に話しかけてきた。

「そんなことより、なぁ? リアン。また俺とプレイしたいんだろ? また、しゃぶらせてやろうか?」

 しっかりと視線を合わせ、逃げられないよう圧を送る。

 体が震え始めた。サミュエルさんも流れ弾に当たったように、息を切らし始めた。

 ジェネシスさんはこの一言で完全にキレた。

「黙れ!! そんなことさせるものか!!」

「なんだ? お前もコイツとプレイしているのか?」

「コイツなどと呼ぶな!! お前を許さない。Lienにトラウマを与えた。国を崩壊させた。全責任を取って騎士団長を辞任しろ!!」

「五月蝿い!! 隣国のやつが命令するんじゃねぇ!!」

「逆らうのなら、あなたの命も今日までだ」

 ジェネシスさんが剣を抜き、構える。パロミデルは手ぶらだ。斬りかかられれば一瞬で負けることくらいは分かるはずだ。

 それでも強気な姿勢を崩さない。

「お前もただの騎士団長だろ! なんの権限があって俺に命令しているんだ!? 全く、どいつもコイツも!! こんなことならさっさと殺しておけばよかったんだ。こんな役立たず!!」

 パロミデルが俺に向かって放つ圧を強化させた。

「何をする気だ!?」

「お前が来てから、散々な日々が始まった。もっと早くこうしておけば良かったんだ。責任を取るのはお前だ、リアン。“Death死ね”」
「聞くな! !    Lien!!」

 ジェネシスさんが咄嗟に耳を塞いでくれたが、僅かに遅かった。

 パロミデルのコマンドが体内に拡散される。



『死ね。死ね。死ね。死ね。死……』


 
    脳みそが潰れるように痛い。
 心臓が大きく爆ぜた。
 血液が流れるのをやめ、
 視界が真っ白になった。

 ———何も、感じなくなった———
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