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一章~伊角光希編~
84 語られた全て
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「この計画は、元々はアンナが企てたものだった。ルシィとライリーがヒソヒソと話しているのを、偶然耳にしたのだが、彼女たちは『そんなの怖くて出来ない』と言っていた。ベルクール家にこれまでΩはいなかったし、ルシィもライリーもΩのヒートがどのようなものか、よく知らないといった感じに見受けられた」
「じゃあ、僕はエリアス様から薬を盛られなくても、誰かしらの手によって発情誘発剤を飲まされていた……ということなんですか?」
「そうだと言い切れるだろう。私はその話を聞いた時、きっと用意周到なアンナは、万が一、侍女が失敗した時の対策も考えているだろうと悟った。ならばいっそ、その計画を逆手に取ってはどうかと考えたのだ」
アンナ様との婚約は、なんとしてでも破棄するつもりではいたが、許嫁ともなれば相当な理由がない限りは許されない。それはエリアス様であっても難しい課題だった。
なので侍女のその会話を聞いた時、瞬時に「これは使える」と思ったようだ。
ルシィとライリーの話を聞いたのは、パーティーを明日に控えた時だったと、エリアス様は言う。
当日、ベルクール家の敷地内にあるパーティー会場で、エリアス様は二人に声をかけた。
そしてアンナの企みを知っていると話しかけた上で「何もしなくていい」と言った。
アンナ様は万が一、薬が見つかったとしても知らぬ存ぜぬで押し通せるよう、侍女を脅していた。なのでエリアス様は「もし、予定外の事が起きても、アンナの前で知らないフリをしろ」と、侍女に話した。
侍女はそれは“アシルがヒートを起こさないこと”だと思い込んだ。
代わりに、自分が手に持っていたドリンクをアシルに渡してくれと頼んで手渡す。
「そのドリンクに発情誘発剤が入っていた……」
「……そうだ。ライリーが渡せば、アシルがシャンパーニュを飲めない事を知らなかったが通る。そしてアシルは性格上、侍女が渡してくれたドリンクを断らない」
全ては計画通りだったとエリアス様は言った。
時間を見計らい、アシルに挨拶をするフリをして近付くと、アシルがヒートを起こした。
エリアス様はアシルがヒートを起こしているとオーバーに騒ぎ、会場が混乱を起こしたところをキリアン様に強引に任せ、自分はアシルと共に自室へと移動する。
アンナ様はその一部始終を見て、侍女が薬を飲ませたと思い込んだ。
侍女は“起こるべきこと”が起こってしまい、戸惑ったが、アンナ様の様子を見て自分達が計画を実行したと思い込んでいると判断し、黙りを決め込む。
しかし、エリアス様がアシルを助けたのは、彼女にとって誤算だった。オメガのヒートに当てられないよう、自分を助けてくれると仮定していたのだ。そして、パーティーを台無しにしたアシルを屋敷から追い出す……。
エリアス様が咄嗟にアシルを庇ったのを目の当たりにし、アンナ様は悲しかっただろう。パーティー会場が混乱しているのに、それをキリアン様に押し付けてまでアシルを守ったのだから。
会場を抜け出し、エリアス様の後を追う。
しかし、アンナ様の行動をそこまで読んでいたエリアス様は、予めアンナ様の嫌いな白檀のお香を焚いていたのだ。
アンナ様はドアまで近寄ることさえできず、二人がエリアス様の部屋に入ったことだけを確認すると、またパーティー会場へと戻っていった。
エリアス様はそれを見届けた後、ヒートに苦しむアシルを抱き、妊娠させた。
「じゃあ、僕はエリアス様から薬を盛られなくても、誰かしらの手によって発情誘発剤を飲まされていた……ということなんですか?」
「そうだと言い切れるだろう。私はその話を聞いた時、きっと用意周到なアンナは、万が一、侍女が失敗した時の対策も考えているだろうと悟った。ならばいっそ、その計画を逆手に取ってはどうかと考えたのだ」
アンナ様との婚約は、なんとしてでも破棄するつもりではいたが、許嫁ともなれば相当な理由がない限りは許されない。それはエリアス様であっても難しい課題だった。
なので侍女のその会話を聞いた時、瞬時に「これは使える」と思ったようだ。
ルシィとライリーの話を聞いたのは、パーティーを明日に控えた時だったと、エリアス様は言う。
当日、ベルクール家の敷地内にあるパーティー会場で、エリアス様は二人に声をかけた。
そしてアンナの企みを知っていると話しかけた上で「何もしなくていい」と言った。
アンナ様は万が一、薬が見つかったとしても知らぬ存ぜぬで押し通せるよう、侍女を脅していた。なのでエリアス様は「もし、予定外の事が起きても、アンナの前で知らないフリをしろ」と、侍女に話した。
侍女はそれは“アシルがヒートを起こさないこと”だと思い込んだ。
代わりに、自分が手に持っていたドリンクをアシルに渡してくれと頼んで手渡す。
「そのドリンクに発情誘発剤が入っていた……」
「……そうだ。ライリーが渡せば、アシルがシャンパーニュを飲めない事を知らなかったが通る。そしてアシルは性格上、侍女が渡してくれたドリンクを断らない」
全ては計画通りだったとエリアス様は言った。
時間を見計らい、アシルに挨拶をするフリをして近付くと、アシルがヒートを起こした。
エリアス様はアシルがヒートを起こしているとオーバーに騒ぎ、会場が混乱を起こしたところをキリアン様に強引に任せ、自分はアシルと共に自室へと移動する。
アンナ様はその一部始終を見て、侍女が薬を飲ませたと思い込んだ。
侍女は“起こるべきこと”が起こってしまい、戸惑ったが、アンナ様の様子を見て自分達が計画を実行したと思い込んでいると判断し、黙りを決め込む。
しかし、エリアス様がアシルを助けたのは、彼女にとって誤算だった。オメガのヒートに当てられないよう、自分を助けてくれると仮定していたのだ。そして、パーティーを台無しにしたアシルを屋敷から追い出す……。
エリアス様が咄嗟にアシルを庇ったのを目の当たりにし、アンナ様は悲しかっただろう。パーティー会場が混乱しているのに、それをキリアン様に押し付けてまでアシルを守ったのだから。
会場を抜け出し、エリアス様の後を追う。
しかし、アンナ様の行動をそこまで読んでいたエリアス様は、予めアンナ様の嫌いな白檀のお香を焚いていたのだ。
アンナ様はドアまで近寄ることさえできず、二人がエリアス様の部屋に入ったことだけを確認すると、またパーティー会場へと戻っていった。
エリアス様はそれを見届けた後、ヒートに苦しむアシルを抱き、妊娠させた。
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