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二章~アシル・クローシャー編~
27 転生者③
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コーキは、自ら命を絶った伊角洸希の頃からの説明を始めた。
日本という国から転生したことや、元の世界にも第二次性は存在していて、オメガだった自分は妊娠できなかったことが原因で自殺を試みた。
すると、何故か違う世界の人間に転生した。それがアシル・クローシャーという人だった。
「アシルの妊娠が判明した直後、彼が階段から突き飛ばされ転げ落ちる途中からは僕だったんです」
その時、アシルの意識は完全に失われていたと付け加える。
エリアス様からもコーキからも視線を逸らさないでいた。どちらも真剣そのものだ。
エリアス様は口を挟むこともなく、コーキの話に耳を傾けている。
「僕は自分が誰なのかも、ここが何処なのかも分からなかった。そんな時、あなたからアシルだと言われ、ようやく自分が転生したと知った。そして咄嗟の判断で記憶を失ったフリをしました」
「———なるほど。確かにあの時、部屋にはアシルの他には私しかいなかった。それを知っているのは私たちの他にはいないと言うことだ」
エリアス様は信用していないというよりも、全ての話を聞いた上でコーキがどうしたいのかを聞きたいのだろうと思った。
そして、異国からきたコーキ自身にも興味を持っている。
『転生』という聞き慣れない言葉の真相も知りたいと、全てにおいて余すことなく話してほしいと言わんばかりの姿勢だ。
コーキはそれを真正面から受け止め、その後、ぼくが意識を取り戻したこと、そして頭の中で会話ができたことなど、順を追って説明していく。
「蘇ったアシルも、結局は断片的に記憶を失っていました。なので、全てのことを思い出すふりもできず、ずっと記憶喪失を演じていたのです」
アシルの魂は蘇ったものの、体を乗っ取っている状態のコーキとは入れ替われなかった。
エリアス様は当時を振り返り、そういえばアシルがらしくない発言をしていると感じたことが何度もあると呟いた。
「それは、喋っていたのが僕だったからです。アシルと会話をしていくうち、お互いの考えていることや性格なんかは自然と理解していきました。なので、アシルは自分の意見を伝えるのが苦手なのもすぐに分かりました」
「ほう、それで?」
「アシルは、僕にエリアス様との子供を産みたいと言ったのです」
エリアス様がぼくの顔を見て、目を丸くした。
「本当か、アシル……」
「えっと、あの……」
あの時……エリアス様がぼくを正妻として迎え入れると発表したあの時、僕は実は困って返事を引き延ばしにしてしまったのだ。目の前でアンナ様が婚約破棄され、こちらを睨みつけたあの威圧は相当なものだった。
伯爵子息でオメガの自分が、公爵家嫡男であるエリアス様の正妻など、周りに認められる自信もなかった。
なので、エリアス様は一方的にぼくとの婚約を言い渡したものの、それを素直に受け入れることは不可能だった。アンナ様の前でなど、あの頃のぼくにはとてもじゃないが荷が重すぎた。
エリアス様はその後、ぼくの気持ちが固まり次第、正式に婚約しようと一旦話を保留にしてくれていたのだ。
それはアンナ様も誰も知らない。ぼくとエリアス様だけの約束だった。
「僕はそれをアシルから聞いた時、きっとエリアス様には本音を伝えてないのだろうと思いました」
「あぁ、アシルはあの約束の後、すぐに記憶を失ってしまった。しかし記憶を失ったアシルは私と番になりたいと言ってくれた。それはアシルの本心で間違いないのか?」
「アシルは意識を取り戻した時、エリアス様の存在を忘れてなどいませんでした。だから、それは僕が保身の為についた嘘でした。アシルはエリアス様を心から愛していました」
「コーキ!! そんなこと……」
まさか、自分の恋情をコーキからエリアス様に伝えられるなど考えてもいなかった。
顔から火を吹き出しそうなほど恥ずかしい。
しかしエリアス様は当時を思い出し、全身を震わせ僕を引き寄せたのだ。
日本という国から転生したことや、元の世界にも第二次性は存在していて、オメガだった自分は妊娠できなかったことが原因で自殺を試みた。
すると、何故か違う世界の人間に転生した。それがアシル・クローシャーという人だった。
「アシルの妊娠が判明した直後、彼が階段から突き飛ばされ転げ落ちる途中からは僕だったんです」
その時、アシルの意識は完全に失われていたと付け加える。
エリアス様からもコーキからも視線を逸らさないでいた。どちらも真剣そのものだ。
エリアス様は口を挟むこともなく、コーキの話に耳を傾けている。
「僕は自分が誰なのかも、ここが何処なのかも分からなかった。そんな時、あなたからアシルだと言われ、ようやく自分が転生したと知った。そして咄嗟の判断で記憶を失ったフリをしました」
「———なるほど。確かにあの時、部屋にはアシルの他には私しかいなかった。それを知っているのは私たちの他にはいないと言うことだ」
エリアス様は信用していないというよりも、全ての話を聞いた上でコーキがどうしたいのかを聞きたいのだろうと思った。
そして、異国からきたコーキ自身にも興味を持っている。
『転生』という聞き慣れない言葉の真相も知りたいと、全てにおいて余すことなく話してほしいと言わんばかりの姿勢だ。
コーキはそれを真正面から受け止め、その後、ぼくが意識を取り戻したこと、そして頭の中で会話ができたことなど、順を追って説明していく。
「蘇ったアシルも、結局は断片的に記憶を失っていました。なので、全てのことを思い出すふりもできず、ずっと記憶喪失を演じていたのです」
アシルの魂は蘇ったものの、体を乗っ取っている状態のコーキとは入れ替われなかった。
エリアス様は当時を振り返り、そういえばアシルがらしくない発言をしていると感じたことが何度もあると呟いた。
「それは、喋っていたのが僕だったからです。アシルと会話をしていくうち、お互いの考えていることや性格なんかは自然と理解していきました。なので、アシルは自分の意見を伝えるのが苦手なのもすぐに分かりました」
「ほう、それで?」
「アシルは、僕にエリアス様との子供を産みたいと言ったのです」
エリアス様がぼくの顔を見て、目を丸くした。
「本当か、アシル……」
「えっと、あの……」
あの時……エリアス様がぼくを正妻として迎え入れると発表したあの時、僕は実は困って返事を引き延ばしにしてしまったのだ。目の前でアンナ様が婚約破棄され、こちらを睨みつけたあの威圧は相当なものだった。
伯爵子息でオメガの自分が、公爵家嫡男であるエリアス様の正妻など、周りに認められる自信もなかった。
なので、エリアス様は一方的にぼくとの婚約を言い渡したものの、それを素直に受け入れることは不可能だった。アンナ様の前でなど、あの頃のぼくにはとてもじゃないが荷が重すぎた。
エリアス様はその後、ぼくの気持ちが固まり次第、正式に婚約しようと一旦話を保留にしてくれていたのだ。
それはアンナ様も誰も知らない。ぼくとエリアス様だけの約束だった。
「僕はそれをアシルから聞いた時、きっとエリアス様には本音を伝えてないのだろうと思いました」
「あぁ、アシルはあの約束の後、すぐに記憶を失ってしまった。しかし記憶を失ったアシルは私と番になりたいと言ってくれた。それはアシルの本心で間違いないのか?」
「アシルは意識を取り戻した時、エリアス様の存在を忘れてなどいませんでした。だから、それは僕が保身の為についた嘘でした。アシルはエリアス様を心から愛していました」
「コーキ!! そんなこと……」
まさか、自分の恋情をコーキからエリアス様に伝えられるなど考えてもいなかった。
顔から火を吹き出しそうなほど恥ずかしい。
しかしエリアス様は当時を思い出し、全身を震わせ僕を引き寄せたのだ。
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