124 / 235
二章~アシル・クローシャー編~
35 仲良しさん④
翌日、エリアス様は既に起きて仕事にいく身支度を終えていた。
いつの間に帰って来ていたのかも分からないし、彼がきちんと睡眠をとったのかも不明だ。
しかし、いつもと変わらないピシッとした姿勢で起きたぼくに「おはよう」と声をかけた。
「おはようございます。昨夜は先に寝てしまってごめんなさい」
「何も謝る必要はない。私も久しぶりに朝方まで語らっていた。私の方こそ気にかけないですまなかった」
エリアス様は殆ど眠ってはいないが、今日は午前中のうちに街で商談があるマルティネス王子に同行するのだと言った。
以前話していたりんごのお香の生産性を上げるための、殆ど相談に近い、気の知れた商人との話し合いだと言う。
「マルティネス王子の知り合いの調香師が、早速試作を作ってくれてね。私も今日初めて嗅ぐのだ」
「それは楽しみですね」
「今夜のために少し頂いておくよ」
今日の仕事はそれだけだから、午後からはゆっくり体を休めると言って部屋を出た。
ダイニングへ行くと、クレールとヴィクトール様が並んで朝食を食べている。
クララ様の姿が見えないので、近くにいたルシィに声をかけた。
「クララ様は?」
「お疲れのようで、お部屋で休んで頂いています」
「後ほど部屋へ伺っても?」
「少しお食事を召し上がった後、すぐに寝られたので起き次第お声をかけますね」
妊婦での長旅は、自覚するよりも体力を消耗してしまったのかも知れない。
体調が良くなるまで滞在してもらうよう、手配をした。
それにより、ヴィクトール様もベルクール家で過ごす日が増え、クレールとの時間が延長された。クララ様を心配しつつ、クレールとまだ一緒にいられることを二人で喜びあった。
「今日も明日も、クレールお兄ちゃんと一緒に寝られるね」
「その他もずっと一緒にいられますよ。今日はクララ様が元気になれるように、花を摘みにいきましょう。クララ様の好きな花を知っていますか?」
「ピンク!!」
「それなら沢山あります。きっと喜んでもらえますよ」
「クレール、お花のことならルシィが詳しいから声をかけておこうか?」
「アシルお母様、お願いします」
二人の背中を見送っていると、昨日の夢を思い出した。
『僕たちはつがい……?』
もし、そうなら……なんて考えてしまう。まだ二人ともバース性など調べてもいない。
その検査は初等部の卒業間際に行われる。
小さなヴィクトール様の手を引き歩くクレールが、アルファなのだろうか。
「いや、でもあれは夢だし。そんなことを言っていたら、その後自分も妊娠する夢を見たじゃないか」
気を取り直して、クレールの部屋から花壇を覗こうと移動した。
ベッドの上には昨日読んだと思われる本が何冊か置かれている。
きっとクレールが読み聞かせたのだろう。デスク横の本棚に戻すと、一冊の日記帳を見つけた。
「あの子、日記なんて書いていたんだ」
手に取り、何気にページを捲ると、そこに綴られていたのは、クレールではなくコーキが書いたものだった。
いつの間に帰って来ていたのかも分からないし、彼がきちんと睡眠をとったのかも不明だ。
しかし、いつもと変わらないピシッとした姿勢で起きたぼくに「おはよう」と声をかけた。
「おはようございます。昨夜は先に寝てしまってごめんなさい」
「何も謝る必要はない。私も久しぶりに朝方まで語らっていた。私の方こそ気にかけないですまなかった」
エリアス様は殆ど眠ってはいないが、今日は午前中のうちに街で商談があるマルティネス王子に同行するのだと言った。
以前話していたりんごのお香の生産性を上げるための、殆ど相談に近い、気の知れた商人との話し合いだと言う。
「マルティネス王子の知り合いの調香師が、早速試作を作ってくれてね。私も今日初めて嗅ぐのだ」
「それは楽しみですね」
「今夜のために少し頂いておくよ」
今日の仕事はそれだけだから、午後からはゆっくり体を休めると言って部屋を出た。
ダイニングへ行くと、クレールとヴィクトール様が並んで朝食を食べている。
クララ様の姿が見えないので、近くにいたルシィに声をかけた。
「クララ様は?」
「お疲れのようで、お部屋で休んで頂いています」
「後ほど部屋へ伺っても?」
「少しお食事を召し上がった後、すぐに寝られたので起き次第お声をかけますね」
妊婦での長旅は、自覚するよりも体力を消耗してしまったのかも知れない。
体調が良くなるまで滞在してもらうよう、手配をした。
それにより、ヴィクトール様もベルクール家で過ごす日が増え、クレールとの時間が延長された。クララ様を心配しつつ、クレールとまだ一緒にいられることを二人で喜びあった。
「今日も明日も、クレールお兄ちゃんと一緒に寝られるね」
「その他もずっと一緒にいられますよ。今日はクララ様が元気になれるように、花を摘みにいきましょう。クララ様の好きな花を知っていますか?」
「ピンク!!」
「それなら沢山あります。きっと喜んでもらえますよ」
「クレール、お花のことならルシィが詳しいから声をかけておこうか?」
「アシルお母様、お願いします」
二人の背中を見送っていると、昨日の夢を思い出した。
『僕たちはつがい……?』
もし、そうなら……なんて考えてしまう。まだ二人ともバース性など調べてもいない。
その検査は初等部の卒業間際に行われる。
小さなヴィクトール様の手を引き歩くクレールが、アルファなのだろうか。
「いや、でもあれは夢だし。そんなことを言っていたら、その後自分も妊娠する夢を見たじゃないか」
気を取り直して、クレールの部屋から花壇を覗こうと移動した。
ベッドの上には昨日読んだと思われる本が何冊か置かれている。
きっとクレールが読み聞かせたのだろう。デスク横の本棚に戻すと、一冊の日記帳を見つけた。
「あの子、日記なんて書いていたんだ」
手に取り、何気にページを捲ると、そこに綴られていたのは、クレールではなくコーキが書いたものだった。
あなたにおすすめの小説
【完結】転生した悪役令息は、お望み通り近付きません
カシナシ
BL
「お前など、愛す価値もない」
ディディア・ファントム侯爵令息が階段から落ちる時見たのは、婚約者が従兄弟を抱きしめている姿。
(これって、ディディアーーBLゲームの悪役令息じゃないか!)
妹の笑顔を見るためにやりこんでいたBLゲーム。引くほどレベルを上げた主人公のスキルが、なぜかディディアに転生してそのまま引き継いでいる。
スキルなしとして家族に『失敗作』と蔑まれていたのは、そのスキルのレベルが高すぎたかららしい。
スキルと自分を取り戻したディディアは、婚約者を追いかけまわすのを辞め、自立に向けて淡々と準備をする。
もちろん元婚約者と従兄弟には近付かないので、絡んでこないでいただけます?
十万文字程度。
3/7 完結しました!
※主人公:マイペース美人受け
※女性向けHOTランキング1位、ありがとうございました。完結までの12日間に渡り、ほとんど2〜5位と食い込めた作品となりました!あああありがとうございます……!。゚(゚´Д`゚)゚。
たくさんの閲覧、イイね、エール、感想は、作者の血肉になります……!(o´ω`o)ありがとうございます!(●′ω`人′ω`●)
悪役令息の七日間
リラックス@ピロー
BL
唐突に前世を思い出した俺、ユリシーズ=アディンソンは自分がスマホ配信アプリ"王宮の花〜神子は7色のバラに抱かれる〜"に登場する悪役だと気付く。しかし思い出すのが遅過ぎて、断罪イベントまで7日間しか残っていない。
気づいた時にはもう遅い、それでも足掻く悪役令息の話。【お知らせ:2024年1月18日書籍発売!】
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
推しのために、モブの俺は悪役令息に成り代わることに決めました!
華抹茶
BL
ある日突然、超強火のオタクだった前世の記憶が蘇った伯爵令息のエルバート。しかも今の自分は大好きだったBLゲームのモブだと気が付いた彼は、このままだと最推しの悪役令息が不幸な未来を迎えることも思い出す。そこで最推しに代わって自分が悪役令息になるためエルバートは猛勉強してゲームの舞台となる学園に入学し、悪役令息として振舞い始める。その結果、主人公やメインキャラクター達には目の敵にされ嫌われ生活を送る彼だけど、何故か最推しだけはエルバートに接近してきて――クールビューティ公爵令息と猪突猛進モブのハイテンションコミカルBLファンタジー!
妹を救うためにヒロインを口説いたら、王子に求愛されました。
藤原遊
BL
乙女ゲームの悪役令息に転生したアラン。
妹リリィが「悪役令嬢として断罪される」未来を変えるため、
彼は決意する――ヒロインを先に口説けば、妹は破滅しない、と。
だがその“奇行”を見ていた王太子シリウスが、
なぜかアラン本人に興味を持ち始める。
「君は、なぜそこまで必死なんだ?」
「妹のためです!」
……噛み合わないはずの会話が、少しずつ心を動かしていく。
妹は完璧令嬢、でも内心は隠れ腐女子。
ヒロインは巻き込まれて腐女子覚醒。
そして王子と悪役令息は、誰も知らない“仮面の恋”へ――。
断罪回避から始まる勘違い転生BL×宮廷ラブストーリー。
誰も不幸にならない、偽りと真実のハッピーエンド。
【完結】お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!
MEIKO
BL
本編完結しています。第12回BL大賞奨励賞いただきました。
僕、エリオット・アノーは伯爵家嫡男の身分を隠して公爵家令息のジュリアス・エドモアの従者をしている。事の発端は十歳の時…家族から虐げられていた僕は、我慢の限界で田舎の領地から家を出て来た。もう二度と戻る事はないと己の身分を捨て、心機一転王都へやって来たものの、現実は厳しく死にかける僕。薄汚い格好でフラフラと彷徨っている所を救ってくれたのが完璧貴公子ジュリアスだ。だけど初めて会った時、不思議な感覚を覚える。えっ、このジュリアスって人…会ったことなかったっけ?その瞬間突然閃く!
「ここって…もしかして、BLゲームの世界じゃない?おまけに僕の最愛の推し〜ジュリアス様!」
知らぬ間にBLゲームの中の名も無き登場人物に転生してしまっていた僕は、命の恩人である坊ちゃまを幸せにしようと奔走する。そして大好きなゲームのイベントも近くで楽しんじゃうもんね〜ワックワク!
だけど何で…全然シナリオ通りじゃないんですけど。坊ちゃまってば、僕のこと大好き過ぎない?
※貴族的表現を使っていますが、別の世界です。ですのでそれにのっとっていない事がありますがご了承下さい。
なぜ処刑予定の悪役子息の俺が溺愛されている?
詩河とんぼ
BL
前世では過労死し、バース性があるBLゲームに転生した俺は、なる方が珍しいバットエンド以外は全て処刑されるというの世界の悪役子息・カイラントになっていた。処刑されるのはもちろん嫌だし、知識を付けてそれなりのところで働くか婿入りできたらいいな……と思っていたのだが、攻略対象者で王太子のアルスタから猛アプローチを受ける。……どうしてこうなった?