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二章~アシル・クローシャー編~
36 日記帳
『KOKI ISUMI.忘れないで』
最初のページにそう書かれていた。
「なに……これ……」
未来のクレールへのメッセージなのか? それともコーキが自分のために記録している物なのか……。
子供なりに丁寧な字で書かれている文章に目を通す。
『コウキとしての意識をたまに失うようになってきた。もしかすると、クレールの人格が形成されるにつれ、イスミコウキの魂が同化しているのかもしれない。まだ確証はない。ただ、そのような感じがしているだけ。
自分を忘れるのは怖い。でも受け入れる覚悟は決めている。
やっとエリアス様に存在を認めてもらえた。
二人の子供はクレールだ。
だからきっと、僕がどうなっても、二人の子供であることに変わりはない。
そう思いたい。
これからは、コウキとしてではなくクレールとしての人生を歩めと、神様が言っているのかもしれない。それとも転生を繰り返し、イスミコウキの魂に限界が来ているとも考えられる。
今思うのは、やはり、エリアス様にあのタイミングで打ち明けて良かったということだ。記憶の全てを失う前に……。
もし自分を忘れてしまった時のために、この日記を残しておく。
でもクレールが幸せなら、コウキの意識があるうちに、こんな日記は処分するのが正解かも知れない。
まだ悩む時間はありそうだ』
「コーキ……」
そういえば、クレールはとても子供らしくなったように感じる。
コーキが真実を打ち明けたことで、気を張らなくて良くなったからだと思っていた。でもそうじゃないのか……今、ぼくが接しているクレールが、成長過程で形成されていくクレール本来の人格で、コーキはそこに吸収されているかもしれない。
本棚の奥に隠すように入っていた。
例えクレールに見つかったとしても、まだこの内容を彼は理解できないだろう。
コーキは確実に生命力が弱っていて、その自覚症状があるからこうして記録を始めたのだろう。最近書き始めたられていたこの記録は、まだ数ページしか書かれていない。
エリアス様と三人で話し合った後からこの症状が出始めたと思われた。
次のページへと進むと『妊娠するという夢は前世で叶った。出産をして自分が子育てをしてみたかった。でも生まれ変わったらベータがいいな』と、平和を好む彼らしい言葉が書かれている。
出産間近になって、ぼくは自分の体に戻った。そしてクレールを出産した。
コーキが転生した時、一緒に出産を経験できると思っていた。初めての出産で不安だったが、コーキと一緒なら心強いなんて思っていたのに、その前に彼はいなくなってしまったのだ。
その後の出産は難産でかなりの時間苦しんだ。エリアス様がずっと付き添ってくれたけれど、コーキがいない出産は怖った。
コーキは日記帳にクレールへの想いを渾渾と書き綴っていた。それは誰よりも幸せを祈っているという内容であった。そして、最後にもう一度生きるチャンスを与えてくれて感謝しているという言葉も綴られていた。
「コーキ、もしかしてぼくになにも言わずに消えてしまう気でいるの?」
そんなの、悲しすぎる。
勝手に見たのはいけないことだけど、ぼくだけはコーキになっている時が分かるはずだ。
そのタイミングで話を聞こうと思い、日記帳は本棚の奥に戻しておいた。
最初のページにそう書かれていた。
「なに……これ……」
未来のクレールへのメッセージなのか? それともコーキが自分のために記録している物なのか……。
子供なりに丁寧な字で書かれている文章に目を通す。
『コウキとしての意識をたまに失うようになってきた。もしかすると、クレールの人格が形成されるにつれ、イスミコウキの魂が同化しているのかもしれない。まだ確証はない。ただ、そのような感じがしているだけ。
自分を忘れるのは怖い。でも受け入れる覚悟は決めている。
やっとエリアス様に存在を認めてもらえた。
二人の子供はクレールだ。
だからきっと、僕がどうなっても、二人の子供であることに変わりはない。
そう思いたい。
これからは、コウキとしてではなくクレールとしての人生を歩めと、神様が言っているのかもしれない。それとも転生を繰り返し、イスミコウキの魂に限界が来ているとも考えられる。
今思うのは、やはり、エリアス様にあのタイミングで打ち明けて良かったということだ。記憶の全てを失う前に……。
もし自分を忘れてしまった時のために、この日記を残しておく。
でもクレールが幸せなら、コウキの意識があるうちに、こんな日記は処分するのが正解かも知れない。
まだ悩む時間はありそうだ』
「コーキ……」
そういえば、クレールはとても子供らしくなったように感じる。
コーキが真実を打ち明けたことで、気を張らなくて良くなったからだと思っていた。でもそうじゃないのか……今、ぼくが接しているクレールが、成長過程で形成されていくクレール本来の人格で、コーキはそこに吸収されているかもしれない。
本棚の奥に隠すように入っていた。
例えクレールに見つかったとしても、まだこの内容を彼は理解できないだろう。
コーキは確実に生命力が弱っていて、その自覚症状があるからこうして記録を始めたのだろう。最近書き始めたられていたこの記録は、まだ数ページしか書かれていない。
エリアス様と三人で話し合った後からこの症状が出始めたと思われた。
次のページへと進むと『妊娠するという夢は前世で叶った。出産をして自分が子育てをしてみたかった。でも生まれ変わったらベータがいいな』と、平和を好む彼らしい言葉が書かれている。
出産間近になって、ぼくは自分の体に戻った。そしてクレールを出産した。
コーキが転生した時、一緒に出産を経験できると思っていた。初めての出産で不安だったが、コーキと一緒なら心強いなんて思っていたのに、その前に彼はいなくなってしまったのだ。
その後の出産は難産でかなりの時間苦しんだ。エリアス様がずっと付き添ってくれたけれど、コーキがいない出産は怖った。
コーキは日記帳にクレールへの想いを渾渾と書き綴っていた。それは誰よりも幸せを祈っているという内容であった。そして、最後にもう一度生きるチャンスを与えてくれて感謝しているという言葉も綴られていた。
「コーキ、もしかしてぼくになにも言わずに消えてしまう気でいるの?」
そんなの、悲しすぎる。
勝手に見たのはいけないことだけど、ぼくだけはコーキになっている時が分かるはずだ。
そのタイミングで話を聞こうと思い、日記帳は本棚の奥に戻しておいた。
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