【完結】公爵様を寝取った悪役令息に転生しましたが、子供が産まれるので幸せになるために、この事件解決させていただきます。

亜沙美多郎

文字の大きさ
150 / 235
二章~アシル・クローシャー編~

64 賑やかなベルクール家

しおりを挟む
 ノアとノランが産まれてから、クレールはとっても忙しい日々を送っている。
 早朝に起きてはぼくの部屋までやってきて、ミルクを飲ませるお手伝い。首が座ってからは、抱っこであやしてくれている。

「あぁ、二人同時に泣いたら、アシルお母様が困ってしまうでしょ?  今は僕で我慢してください」
 なんて言いながらも、嬉しそうに世話を焼いている。
 朝食も僕とエリアス様の部屋で一緒にとり、ロラが痺れを切らして呼びに来るまでノアとノランと遊ぶ。
「では、学校に行って来ますからね。僕が帰るまで、アシルお母様を困らせてはいけませんよ?」
 二人の手を握って言い聞かせてから登校するのが日課だ。

 ノアとノランも、クレールが大好きなようで、生後三ヶ月を過ぎた頃には、クレールの顔を見ただけで声を上げて笑うようになっていた。

「ノアもノランも、クレールお兄ちゃんが好きなんだね」

 その名前を呼ぶだけで、笑い出す。最近は、本当に認知しているのかもしれないと思い始めた。

 お父様は部屋までは来ないものの、リビングに連れてきてくれと毎日催促の嵐だ。クレールの時からおおよそ七年近くが過ぎているのもあり、久しぶりに触れ合う孫が可愛くて可愛くて仕方がない。人の目尻はこんなにも下がるものなのかと思うほど、ノアとノランに惚れ込んでいる。

「今日はお前たちのベッドのオーダーをしてくるからね」
 生後十ヶ月を過ぎれば親と子供は別の部屋で寝る。最近、ノアとノラン専用の部屋作りを始めていた。
 一番張り切っているのは、勿論お父様だ。エリアス様よりも意見を出しているらしい。
 ぼくはクレールの時と同様、出来上がってから見たいと言って、尋ねられた時にだけ意見を述べる程度にしか関わっていない。
 というよりも、二人同時の育児は想像以上に大変で、ルシィやロラに助けてもらってようやく手が回っている。何気に、学校からクレールが帰ってくるのをこっそり待ち侘びている。

「そうだ。ノアとノランのベッドなんだが、それぞれに作るのがいいか……それとも二人一緒になられるのがいいか悩んでいるんだ。アシルはどう思う?」
 お父様が真剣に頭を悩ませて言う。
 今、デザインを五パターン作らせているそうだ。
「小さいうちは、一緒に寝られるのがいいと思います。クレールも、ヴィクトール様と一緒に寝るのが好きでしたし」
「そうか! 良い意見をもらえた。ではそれで作らせよう。後は……」
 まるで自分の子供が産まれたようだ。
 エリアス様は意見する暇もないのではないだろうか。
 想像すると面白い。

「お父様、午後からは商談の予定が入っていますよ?」
 突然ドアが開いたと思いきや、エリアス様が息を切らして飛び込んできた。
「あれ? お父様は今からベッドの……」
 言いかけて口を閉じた。エリアス様は、ぼくが言いかけた言葉で全てを理解し、お父様をギロリと見た。

「……いや、今日のはエリアスだけでも大丈夫だろうと思ってな」
「そういうわけにはいきません。さぁ、早く支度してください」
 お父様は渋々立ち上がる。

 エリアス様はやれやれ……と額の汗を拭うと、ノアとノランの顔を覗き込んだ。
「機嫌がいいようだ」
「はい、お父様がたくさん遊んでくださったので」
「そうか、もうすぐクレールが帰って来るから、それから休ませてもらうといい」
「ありがとうございます」

 エリアス様は「また夜に」と言って、触れるだけのキスをすると、再び仕事に戻っていった。

 想像通りの賑やかな毎日を送っている。
 みんなとても楽しそうに、笑いの絶えないベルクール家になっていた。
 ノアもノランもすくすくと育っていて、これからが楽しみである。
しおりを挟む
感想 200

あなたにおすすめの小説

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

妹を救うためにヒロインを口説いたら、王子に求愛されました。

藤原遊
BL
乙女ゲームの悪役令息に転生したアラン。 妹リリィが「悪役令嬢として断罪される」未来を変えるため、 彼は決意する――ヒロインを先に口説けば、妹は破滅しない、と。 だがその“奇行”を見ていた王太子シリウスが、 なぜかアラン本人に興味を持ち始める。 「君は、なぜそこまで必死なんだ?」 「妹のためです!」 ……噛み合わないはずの会話が、少しずつ心を動かしていく。 妹は完璧令嬢、でも内心は隠れ腐女子。 ヒロインは巻き込まれて腐女子覚醒。 そして王子と悪役令息は、誰も知らない“仮面の恋”へ――。 断罪回避から始まる勘違い転生BL×宮廷ラブストーリー。 誰も不幸にならない、偽りと真実のハッピーエンド。

【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました

  *  ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。 BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑) 本編完結しました! おまけのお話を時々更新しています。 きーちゃんと皆の動画をつくりました! もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。 インスタ @yuruyu0 絵もあがります Youtube @BL小説動画 プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら! 本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。

婚約破棄で追放された悪役令息の俺、実はオメガだと隠していたら辺境で出会った無骨な傭兵が隣国の皇太子で運命の番でした

水凪しおん
BL
「今この時をもって、貴様との婚約を破棄する!」 公爵令息レオンは、王子アルベルトとその寵愛する聖女リリアによって、身に覚えのない罪で断罪され、全てを奪われた。 婚約、地位、家族からの愛――そして、痩せ衰えた最果ての辺境地へと追放される。 しかし、それは新たな人生の始まりだった。 前世の知識というチート能力を秘めたレオンは、絶望の地を希望の楽園へと変えていく。 そんな彼の前に現れたのは、ミステリアスな傭兵カイ。 共に困難を乗り越えるうち、二人の間には強い絆が芽生え始める。 だがレオンには、誰にも言えない秘密があった。 彼は、この世界で蔑まれる存在――「オメガ」なのだ。 一方、レオンを追放した王国は、彼の不在によって崩壊の一途を辿っていた。 これは、どん底から這い上がる悪役令息が、運命の番と出会い、真実の愛と幸福を手に入れるまでの物語。 痛快な逆転劇と、とろけるほど甘い溺愛が織りなす、異世界やり直しロマンス!

番解除した僕等の末路【完結済・短編】

藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。 番になって数日後、「番解除」された事を悟った。 「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。 けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

処理中です...