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三章〜クレール・ベルクール編〜
6 勘違い
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その夜、食事の後でエリアスお父様に例の話を持ちかけた。
二人で僕の部屋へと移動し、ルベルーノ研究室の話がどこまで進んでいるのかを尋ねてみた。
「丁度、今日マルティネス王子と話をしていたんだ。研究室側はとても好感触のようだ。やはり、興味があるようだな」
「アシルお母様から聞いた時は、正直一人で隣国へ行って大丈夫なのか、仕事以外のことが心配でした。でも一晩寝て考え直してみると、こんな機会には早々巡り会えないと思い直しました。だから、本当に受け入れてもらえるなら、高等部卒業と共にお世話になりたいです」
「良いだろう。また研究室の室長と話せる機会を設けよう。詳しい話は直接聞くのが一番だ」
「ありがとうございます。それで、一つお願いがあるのですが……」
「なんだ? 言ってみろ」
「僕の学友のイザック、知ってますよね?」
「勿論だ。また我が家に招待してあげるといい」
「はい。それで、そのイザックも一緒に話を聞くことは可能でしょうか?」
エリアスお父様は、イザックも薬学の勉強に励んでいると知っているし、成績も僕とよく似ているとも把握している。
少し考えた後、「あちらの都合もあるだろうから、確認をとっておく」と言ってくれた。
「イザックはそんな待遇、烏滸がましいなんて言うですよ。でも、僕は彼が優秀だと知っています。一緒に研究室に入れば、お互いにもっと成長できると思うのです」
念を押してアピールしておいた。
これで本当にイザックと共に隣国へ行ければ心強い。
と、ここまでは順調だった。
ここで予期せぬ事態が起きたのだ。何やらドアが軋む音がする。そして部屋の外からヒソヒソと誰かの声が聞こえる……これは……。
室内から勢いよくドアを開けると、ノアとノランが雪崩れ込んできたのだ。
「……やっぱり! ノア、ノラン、立ち聞きなんてお行儀が悪いですよ」
流石に注意をしたのだが、ノアはもうすでに泣いていた。
どうしたのかと思いきや、僕が明日にでも隣国へ行くと勘違いをしたらしい。
「お兄ちゃま、いなくなっちゃ嫌だぁぁ」
「え? ノア?」
「クレールお兄様は私たちに何も言わず、この屋敷を出るつもりでいたのですか? だから昨夜はあんな風に、私たちを甘やかして……」
「ノラン? 何を言ってるの?」
ノランも泣きそうなのを我慢して、僕を責め立てる。
「私たちを好きと言ってくれていたのは、嘘だったのですね」
「ノアは、お兄ちゃまと離れたくないぃ」
「ね、二人とも、落ち着いて!?」
エリアスお父様との会話を盗み聞きしたのを叱る予定が、逆に僕の方が責められている。
ノアは「行かないで」と僕にしがみつき、ノランは「どこにも行かせません」と言って、やはりしがみついている。
「どこにも行かないよ!! だって……ほら、学校! 学校もあるし」
「……本当ですか?」
「本当です!! 学校を辞めてしまえば、何も勉強ができなくなってしまう」
「じゃ、今日もお兄ちゃまと一緒に寝られる?」
「うん、いいですよ」
二人とも、ようやく分かってくれたようだ。
もう僕からは注意する気にはなれなかった。
エリアスお父様は微笑ましく眺めて楽しんでいるし、まぁ、いいか。という気持ちになってしまったのだ。
それから眠るまでの間、一秒たりとも二人から離してもらえなかった。
やっぱり、まだ疑われているのか……?
二人で僕の部屋へと移動し、ルベルーノ研究室の話がどこまで進んでいるのかを尋ねてみた。
「丁度、今日マルティネス王子と話をしていたんだ。研究室側はとても好感触のようだ。やはり、興味があるようだな」
「アシルお母様から聞いた時は、正直一人で隣国へ行って大丈夫なのか、仕事以外のことが心配でした。でも一晩寝て考え直してみると、こんな機会には早々巡り会えないと思い直しました。だから、本当に受け入れてもらえるなら、高等部卒業と共にお世話になりたいです」
「良いだろう。また研究室の室長と話せる機会を設けよう。詳しい話は直接聞くのが一番だ」
「ありがとうございます。それで、一つお願いがあるのですが……」
「なんだ? 言ってみろ」
「僕の学友のイザック、知ってますよね?」
「勿論だ。また我が家に招待してあげるといい」
「はい。それで、そのイザックも一緒に話を聞くことは可能でしょうか?」
エリアスお父様は、イザックも薬学の勉強に励んでいると知っているし、成績も僕とよく似ているとも把握している。
少し考えた後、「あちらの都合もあるだろうから、確認をとっておく」と言ってくれた。
「イザックはそんな待遇、烏滸がましいなんて言うですよ。でも、僕は彼が優秀だと知っています。一緒に研究室に入れば、お互いにもっと成長できると思うのです」
念を押してアピールしておいた。
これで本当にイザックと共に隣国へ行ければ心強い。
と、ここまでは順調だった。
ここで予期せぬ事態が起きたのだ。何やらドアが軋む音がする。そして部屋の外からヒソヒソと誰かの声が聞こえる……これは……。
室内から勢いよくドアを開けると、ノアとノランが雪崩れ込んできたのだ。
「……やっぱり! ノア、ノラン、立ち聞きなんてお行儀が悪いですよ」
流石に注意をしたのだが、ノアはもうすでに泣いていた。
どうしたのかと思いきや、僕が明日にでも隣国へ行くと勘違いをしたらしい。
「お兄ちゃま、いなくなっちゃ嫌だぁぁ」
「え? ノア?」
「クレールお兄様は私たちに何も言わず、この屋敷を出るつもりでいたのですか? だから昨夜はあんな風に、私たちを甘やかして……」
「ノラン? 何を言ってるの?」
ノランも泣きそうなのを我慢して、僕を責め立てる。
「私たちを好きと言ってくれていたのは、嘘だったのですね」
「ノアは、お兄ちゃまと離れたくないぃ」
「ね、二人とも、落ち着いて!?」
エリアスお父様との会話を盗み聞きしたのを叱る予定が、逆に僕の方が責められている。
ノアは「行かないで」と僕にしがみつき、ノランは「どこにも行かせません」と言って、やはりしがみついている。
「どこにも行かないよ!! だって……ほら、学校! 学校もあるし」
「……本当ですか?」
「本当です!! 学校を辞めてしまえば、何も勉強ができなくなってしまう」
「じゃ、今日もお兄ちゃまと一緒に寝られる?」
「うん、いいですよ」
二人とも、ようやく分かってくれたようだ。
もう僕からは注意する気にはなれなかった。
エリアスお父様は微笑ましく眺めて楽しんでいるし、まぁ、いいか。という気持ちになってしまったのだ。
それから眠るまでの間、一秒たりとも二人から離してもらえなかった。
やっぱり、まだ疑われているのか……?
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