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三章〜クレール・ベルクール編〜
33 優しい人たち
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僕がヒートを起こした後、ノアとノランにも手紙を送っていたが、とうとう返事は届かなかった。代わりに、アシルお母様へ手紙を書いていたらしく、その内容をこっそり教えてくれていた。
二人とも僕がヒートを起こしたことよりも、ヴィクトール様には届いた僕の匂いが、自分たちには全く届いていなかったことに対してのショックが大きかったようだ。
特にノランの落ち込みようは酷く、しばらく食欲も失っていたと、アシルお母様から聞いていた。
僕の周りの人は決まって同じようなことを言う。イザックと喧嘩をした時も、彼は「ベータの僕ではクレールを助けてあげられないと思ったのか?」と言った。
そして、ノアとノランも「クレールお兄様の匂いを感じない僕たちは、万が一の時にもお兄様を助けに行けない」そう打ち明けていた。
ノアとノランは僕の匂いを嗅いで育ってきたから、それが落ち着く要素なのだろうと思っていた。
しかし二人揃って僕を守ろうとしてくれていたとは、とても意外で驚いた。
あんなにも甘えていた二人なのに……。
「ね、クレールは愛されているでしょう?」
アシルお母様は僕を励ますように繰り返し言う。皆んな、僕がオメガだから言っているんじゃない。好きだから守りたいと思うんだよと。
僕はこの二人の気持ちを知らないことにはなっているが、次に会う時は、新薬は飲まないと決めている。二人に僕の匂いが届かないことがいかに彼らを傷つけるかを、思い知らされたから。
そして、次こそ一緒に眠るまで沢山話をしようと思ったのだった。
今週末にノアやノランが屋敷に来る時は、アシルお母様も来てくれる。久しぶりの一家団欒を楽しみにしているのは、きっと僕だけじゃないはずだ。先日作ったお菓子でみんなをもてなそうと、腕を振るう。
ノアとノランも、食欲が完全に戻ってくれるといいが……。
焼きたての甘い香りが広がる。
こっちに来てからの料理長も、なかなかに腕の立つ人であった。
お菓子を焼くときの窯の火加減の調節なんかも一発で成功した。食材の知識もベルクール家の料理長に負けず劣らず素晴らしいものを持っている。
信頼できる人に恵まれ、難なく作りたい菓子をいくつか準備することができた。
「これできっとみんな喜んでくれる」
「良いレシピだ。全てのバランスが研究され尽くしている」
「ベルクール家の料理長考案なんです」
「なるほど、納得がいく。他のも見せてくれるかい?」
「勿論です。是非作ってください」
アシルお母様の助言から、また僕は子供の頃の趣味を再開し始めた。薬の開発に携わりたいというキッカケにもなった薬草やいろんな食材の知識を教えてくれた、料理長やロラのことを思い出す。
菓子を作りながら、そんな思い出を料理長に聞いてもらった。
「何か欲しい食材あれば、声をかけてください。伝手があるので他よりも探しやすいですよ」と、心強い言葉をかけてもらった。
早速いくつかの物を頼んでみる。また、ヴィクトール様にも食べてほしいと選んだ物である。
二人とも僕がヒートを起こしたことよりも、ヴィクトール様には届いた僕の匂いが、自分たちには全く届いていなかったことに対してのショックが大きかったようだ。
特にノランの落ち込みようは酷く、しばらく食欲も失っていたと、アシルお母様から聞いていた。
僕の周りの人は決まって同じようなことを言う。イザックと喧嘩をした時も、彼は「ベータの僕ではクレールを助けてあげられないと思ったのか?」と言った。
そして、ノアとノランも「クレールお兄様の匂いを感じない僕たちは、万が一の時にもお兄様を助けに行けない」そう打ち明けていた。
ノアとノランは僕の匂いを嗅いで育ってきたから、それが落ち着く要素なのだろうと思っていた。
しかし二人揃って僕を守ろうとしてくれていたとは、とても意外で驚いた。
あんなにも甘えていた二人なのに……。
「ね、クレールは愛されているでしょう?」
アシルお母様は僕を励ますように繰り返し言う。皆んな、僕がオメガだから言っているんじゃない。好きだから守りたいと思うんだよと。
僕はこの二人の気持ちを知らないことにはなっているが、次に会う時は、新薬は飲まないと決めている。二人に僕の匂いが届かないことがいかに彼らを傷つけるかを、思い知らされたから。
そして、次こそ一緒に眠るまで沢山話をしようと思ったのだった。
今週末にノアやノランが屋敷に来る時は、アシルお母様も来てくれる。久しぶりの一家団欒を楽しみにしているのは、きっと僕だけじゃないはずだ。先日作ったお菓子でみんなをもてなそうと、腕を振るう。
ノアとノランも、食欲が完全に戻ってくれるといいが……。
焼きたての甘い香りが広がる。
こっちに来てからの料理長も、なかなかに腕の立つ人であった。
お菓子を焼くときの窯の火加減の調節なんかも一発で成功した。食材の知識もベルクール家の料理長に負けず劣らず素晴らしいものを持っている。
信頼できる人に恵まれ、難なく作りたい菓子をいくつか準備することができた。
「これできっとみんな喜んでくれる」
「良いレシピだ。全てのバランスが研究され尽くしている」
「ベルクール家の料理長考案なんです」
「なるほど、納得がいく。他のも見せてくれるかい?」
「勿論です。是非作ってください」
アシルお母様の助言から、また僕は子供の頃の趣味を再開し始めた。薬の開発に携わりたいというキッカケにもなった薬草やいろんな食材の知識を教えてくれた、料理長やロラのことを思い出す。
菓子を作りながら、そんな思い出を料理長に聞いてもらった。
「何か欲しい食材あれば、声をかけてください。伝手があるので他よりも探しやすいですよ」と、心強い言葉をかけてもらった。
早速いくつかの物を頼んでみる。また、ヴィクトール様にも食べてほしいと選んだ物である。
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