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三章〜クレール・ベルクール編〜
51 報告会①
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予定外の発情期にホテルでの滞在期間が伸びたが、僕たちが番になっているとまでは思ってもいないだろう。
僕の首の噛み痕をみれば、なんと言うだろうか。
喜んでくれるだろうか。それとも急展開に驚かれるだろうか。
僕自信、こんな早くに結ばれるとは思っていなかったし、ましてやあのパーティーで見た光景。ヴィクトール様の華やかな世界に圧倒され、とてもじゃないが自分がいる世界とは違いすぎて怯んでしまった。声をかけることも出来ず、会場を去ってしまった僕が、その後番になるなんて今でも信じられない。嘘のような本当の時間を過ごした。
これをどこまで喋ろうか。
二人が番になった経緯を全て話てしまうのは、勿体無い気もする。
僕とヴィクトール様だけの大切な思い出としてとっておきたい。
ホテルから直接、二人でベルクール家の屋敷へと向かう予定になっている。早速、今晩みんなに集まってもらうよう、約束を取り付けているのだ。
「緊張しているかい?」
「はい、でも、ヴィクトール様がいるから大丈夫です」
「私から説明するから、クレールは何も心配しなくてもいい」
「みんな、認めてくれるでしょうか……」
「きっとね」
それぞれの侍女がホテルに到着し、身支度を整えてくれた。
エリアスお父様は仕事だが、アシルお母様とクララ様は屋敷で既に待機してくれているそうだ。
「ノア様とノラン様は、学校が終わる頃、私がお迎えに上がりますね」
侍女のルイーズがジャケットを羽織らせながら説明していく。そして料理長のお遣いがあるからと部屋を後にした。
「では、私たちもベルクール邸へ直接行くとしよう」
マルティネス家の馬車に乗り込み、帰路に着く。
お母様たちは話に花を咲かせているだろう。
夜にみんなの前で発表しようと思っていたが、アシルお母様のことだ。頸の噛み痕には直ぐに気づきそうだ。
さっきまで普通に喋っていたヴィクトール様が急に無口になった。
どう切り出すか、何から話すのかを考えているのかもしれない。
真剣な表情を見ると、子供の頃の面影は感じられない。僕よりも少し年上と言っても通用しそうなほど、大人びている。
再会の瞬間は二回ともヒートを起こし、まともに顔も見られなかったが、番になってからようやくマジマジと顔が見られるようになった。
アルファなんだなぁ……なんて改めて感じる容姿をしている。
「クレール、そんなに見つめられると触れたくなってしまう」
「っ!! ごめんなさい。無意識でした」
「構わない。もっと私だけを見つめてくれ。さぁ、こっちへおいで」
差し伸べられた手を取ると、ヴィクトール様の隣に座らされた。
緊張していますか? と尋ねると、特には……ということだった。
「僕は緊張しています」
「身内しかいないじゃないか」
「そうですけど……まさか僕に番ができるなんて想像もしていなかったので。どんな言葉で伝えるべきなのか、考え込んでしまうんです」
「改まって場を設けてもらったが、カッコつける必要なんてない。一番私たちの情けない姿を知っている人たちだ。自分の言葉でクレールの気持ちを伝えればいい」
ヴィクトール様は肩を抱き寄せ、僕の頭に顔を傾けた。
「そうですよね……自分の言葉で……」
自分の胸に手を当て深呼吸をする頃、屋敷へと到着した。
エントランスの外で、アシルお母様とクララ様が出迎えてくれている。
僕はリビングに入るなり、言おうと決めていた。
時間が経つと、余計に緊張しそうだから。
「あの、アシルお母様にクララ様。みんなが帰って来る前に、話しておきたいことがあります」
「どうしたの? クレール。そんなに改まって……」
「僕たち番になりました!!」
単刀直入に言い切った。
回りくどいのは得意じゃない。
超特急のボールをお母様に向けて投げた。
僕は言い切ると、その勢いで頭を下げる。
そこで頸の噛み痕が露わになった。
「あっ」とお母様とクララ様の声が漏れた。
僕の首の噛み痕をみれば、なんと言うだろうか。
喜んでくれるだろうか。それとも急展開に驚かれるだろうか。
僕自信、こんな早くに結ばれるとは思っていなかったし、ましてやあのパーティーで見た光景。ヴィクトール様の華やかな世界に圧倒され、とてもじゃないが自分がいる世界とは違いすぎて怯んでしまった。声をかけることも出来ず、会場を去ってしまった僕が、その後番になるなんて今でも信じられない。嘘のような本当の時間を過ごした。
これをどこまで喋ろうか。
二人が番になった経緯を全て話てしまうのは、勿体無い気もする。
僕とヴィクトール様だけの大切な思い出としてとっておきたい。
ホテルから直接、二人でベルクール家の屋敷へと向かう予定になっている。早速、今晩みんなに集まってもらうよう、約束を取り付けているのだ。
「緊張しているかい?」
「はい、でも、ヴィクトール様がいるから大丈夫です」
「私から説明するから、クレールは何も心配しなくてもいい」
「みんな、認めてくれるでしょうか……」
「きっとね」
それぞれの侍女がホテルに到着し、身支度を整えてくれた。
エリアスお父様は仕事だが、アシルお母様とクララ様は屋敷で既に待機してくれているそうだ。
「ノア様とノラン様は、学校が終わる頃、私がお迎えに上がりますね」
侍女のルイーズがジャケットを羽織らせながら説明していく。そして料理長のお遣いがあるからと部屋を後にした。
「では、私たちもベルクール邸へ直接行くとしよう」
マルティネス家の馬車に乗り込み、帰路に着く。
お母様たちは話に花を咲かせているだろう。
夜にみんなの前で発表しようと思っていたが、アシルお母様のことだ。頸の噛み痕には直ぐに気づきそうだ。
さっきまで普通に喋っていたヴィクトール様が急に無口になった。
どう切り出すか、何から話すのかを考えているのかもしれない。
真剣な表情を見ると、子供の頃の面影は感じられない。僕よりも少し年上と言っても通用しそうなほど、大人びている。
再会の瞬間は二回ともヒートを起こし、まともに顔も見られなかったが、番になってからようやくマジマジと顔が見られるようになった。
アルファなんだなぁ……なんて改めて感じる容姿をしている。
「クレール、そんなに見つめられると触れたくなってしまう」
「っ!! ごめんなさい。無意識でした」
「構わない。もっと私だけを見つめてくれ。さぁ、こっちへおいで」
差し伸べられた手を取ると、ヴィクトール様の隣に座らされた。
緊張していますか? と尋ねると、特には……ということだった。
「僕は緊張しています」
「身内しかいないじゃないか」
「そうですけど……まさか僕に番ができるなんて想像もしていなかったので。どんな言葉で伝えるべきなのか、考え込んでしまうんです」
「改まって場を設けてもらったが、カッコつける必要なんてない。一番私たちの情けない姿を知っている人たちだ。自分の言葉でクレールの気持ちを伝えればいい」
ヴィクトール様は肩を抱き寄せ、僕の頭に顔を傾けた。
「そうですよね……自分の言葉で……」
自分の胸に手を当て深呼吸をする頃、屋敷へと到着した。
エントランスの外で、アシルお母様とクララ様が出迎えてくれている。
僕はリビングに入るなり、言おうと決めていた。
時間が経つと、余計に緊張しそうだから。
「あの、アシルお母様にクララ様。みんなが帰って来る前に、話しておきたいことがあります」
「どうしたの? クレール。そんなに改まって……」
「僕たち番になりました!!」
単刀直入に言い切った。
回りくどいのは得意じゃない。
超特急のボールをお母様に向けて投げた。
僕は言い切ると、その勢いで頭を下げる。
そこで頸の噛み痕が露わになった。
「あっ」とお母様とクララ様の声が漏れた。
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