【完結】『拝啓、親愛なる王子殿下』代書屋オメガの秘めたる愛を綴ります。

亜沙美多郎

文字の大きさ
82 / 85
第三章

本能のままに

しおりを挟む
「もっと……もっと欲し……エノ様の精が……」
 譫言のように繰り返す。
 腰が揺れるとオメガの液とエルネスト王子殿下の白濁が撹拌されてぐちゅぐちゅと卑猥な音が鳴る。
 それでもまだ足りなかった。
 オーガズムに入った私は繋がっているだけで身体の痙攣が治らない。
 潮を吹いているのか、白蜜を飛沫させているのか、神経が麻痺して自分の状態は把握できなくなっていた。とにかくアルファに満たされたい。それしかなかった。
 
  発情期三日目までは酷いヒートが続く。
 一人で乗り越えていた頃は虚しさと寂しさに苛まれていた。でも今は違う。
 愛する人から触れてもらえる。
 抑制剤も飲まず、本来の性をそのまま受け止め合える。
 ヒートの大きな波に魘され辟易とすることもない。
 エルネスト王子殿下は私を全身で包み込んでくれる。

 何度も熱を放ち、腹の中にアルファの精が溜まっていく。
 しかしオメガ性はもっともっとと欲を増し、さらなるフェロモンでアルファを惑わす。
「エクラ……君のフェロモンが俺をもっと求めている。匂いがどんどん濃くなっている」
 何時間も混ざり合い、体力は限界を超えているはずなのに、それでも私たちはセックスに溺れていた。
 注挿を繰り返している肉壁は擦られ続けているのに感度を衰えさせることはない。
 より鋭敏に刺激を受け、足の指先まで快楽で支配していく。

 昼も夜も関係なく私たちは本能に忠実に過ごした。
 エルネスト王子殿下に何度精を注いでもらったのか分からない程、体内にはたっぷりとアルファの精液が放たれた。
 三日目になり、ようやく本能が満たされ始めた頃、私たちは一つの大きな欲望に囚われていた。

 『番になりたい』
 どんなに酷いヒートにも、理性を飛ばさないできたエルネスト王子殿下だったが、ここにきてラット状態に入った。
 気配が変わった。
 優しさに包まれていたこの空間が、一気に緊迫した空気になる。

 眸がすわっている。
 低く唸り声をあげ、私を捉えている。
 これがアルファの本来の姿……。
 私は息を呑んだ。

 ここから頸を噛まれるまでは、快楽など言ってられないと肌で感じる。
 それでも獰猛なエルネスト王子殿下の動物的な姿に陶酔している自分がいる。
 早く、早くその時を迎え入れたい。

 私もオメガ性を放つ。
 噛んで欲しいとフェロモンでエルネスト王子殿下を誘い込む。

 エルネスト王子殿下が私をうつ伏せにさせると、腰を激しく打ち付けた。
 もう、彼を止めることは出来ない……。
しおりを挟む
感想 27

あなたにおすすめの小説

竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜

レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」 魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。 彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。

魔王を倒した勇者の凱旋に、親友の俺だけが行かなかった理由

スノウマン(ユッキー)
BL
スラム育ちの二人は、スキルを得た事で魔王討伐に旅立つ勇者と彼の帰還を待つだけのただの親友となる。 勇者と親友の無自覚両片想いのじれったい恋愛の物語。

孕めないオメガでもいいですか?

月夜野レオン
BL
病院で子供を孕めない体といきなり診断された俺は、どうして良いのか判らず大好きな幼馴染の前から消える選択をした。不完全なオメガはお前に相応しくないから…… オメガバース作品です。

貧乏子爵のオメガ令息は、王子妃候補になりたくない

こたま
BL
山あいの田舎で、子爵とは名ばかりの殆ど農家な仲良し一家で育ったラリー。男オメガで貧乏子爵。このまま実家で生きていくつもりであったが。王から未婚の貴族オメガにはすべからく王子妃候補の選定のため王宮に集うようお達しが出た。行きたくないしお金も無い。辞退するよう手紙を書いたのに、近くに遠征している騎士団が帰る時、迎えに行って一緒に連れていくと連絡があった。断れないの?高貴なお嬢様にイジメられない?不安だらけのラリーを迎えに来たのは美丈夫な騎士のニールだった。

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

処理中です...