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〜2学期編〜
有為転変
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親衛隊の護衛も3日目になると少し慣れてきました。というよりも考え方を改め、今まであまり話さなかったクラスメイトとの交流だと気持ちを切り替えたのです。
今までなら教室の移動も都華咲と行くのが当たり前だったので、その他の選択肢はなかったのですが今は入れ替わり立ち替わり色んな人と話が出来るのでなんだか新鮮です。
昨日の夜帰ってきた徠駕さんはさっそく佐伯君から僕の親衛隊の話を聞いたようで、内心嫌がるか心配していたのですが隊員カード(仮)を貰うと喜んでくれていました。良かったです。
『椿姫親衛隊 ナンバー003 天馬 徠駕』
「ナンバー付きってのが良いよな!どーせなら1番が良かったけど!」
満足そうにカード(仮)を眺めています。
「っていうか、何で椿の親衛隊は居て俺の護衛は1人も居ねぇんだよ?スターだってのに!佐伯、俺の親衛隊も作ってくれよ!」
「いやいや、天馬は何処でも世渡りしていけそうだから。大丈夫だよ!」
「んぐぅ……!まぁ、俺って器用だし?俺程の人気者になると周りが放っておかないからな!」
徠駕さん、完全に佐伯君に丸め込まれてますよ……。
「椿姫、音楽室への移動は俺が護衛担当だから!」
「はい。では……お願いします……」
佐伯君と2人……これはチャンス⁉︎思い切って何で都華咲と徠駕さんのスケジュールを知ってるか、聞いても良いですよね……。
「クラスのみんなが、姫と会話出来るのが楽しいと言ってるよ!」
「え?本当ですか?特に深い話なんてしてないですけど……」
「内容というよりも、椿姫の方から挨拶や労いの言葉や感謝を伝えてくれるから。みんなはそれに感動してるんだよ」
「一方的に助けて頂いてるので、その位は当たり前です!」
「そんな事ないよ。姫が当たり前にしてる事って、他の人にとっては当たり前ではないからね。思いもよらない温かさにふれて感動してるんだよ」
「それじゃあ、僕の方こそ感動してます!」
半歩先を歩く佐伯君の袖を引っ張りました。
前を向いたまま喋っていた佐伯君が驚いた顔で振り返りました。
「あの……佐伯君のお陰で都華咲が居ない間も楽しく過ごせてます。ありがとうございます!」
佐伯君は驚いた顔のまま少し立ち止まり、頬を薄らと赤く染めました。それを隠すかのように前に向き直し、再び歩き始めます。
「そんな……親衛隊として当然だから……」
結局、僕が聞きたい事は聞けないまま音楽室についてしまいます。
せめて……と思い一つだけ聞いてみました。
「佐伯君、都華咲はいつ帰るか分かりますか?」
「九条なら……もう1週間もしないくらいに戻るんじゃないかな?って、もう知ってるのかと思ってたけど!」
「はい!あの……知ってはいたのですが……なんとなく聞いてみたくて……」
佐伯君は少しキョトンとすると、ふふふ……と小さく笑い、それぞれの席に着きました。
・
・
・
お昼休み、来夢君と磨理王が教室まで迎えにきてくれました。
「椿って、そんなに守られないと過ごせねーの?」
学食への移動中、突然取り巻きが出来た僕に驚いた様子で、徠駕さんが聞いてきました。
「僕から頼んだんじゃないですよぉ!!でもこの状況にも少し慣れました」
「ぉえ~。俺だったら窮屈で耐えられねぇわ!」
「はは……ですよね……でもだんだん楽しくなってきましたし、皆さん優しくしてくれるので都華咲が居ない寂しさが紛れてるのは確かです」
「椿って天性の姫気質だな!前世は本当にどっかの姫だったりして」
「あはは。徠駕さんの発想面白いです」
「ま、でも確かに椿の空元気を見るよりは良いかもな!」
来夢君が後ろから肩に手を掛けました。
「それは言えてる!俺らはどうしてもクラス違うし、佐伯君良い人で良かったね。」
反対側から磨理王が腕を組んできます。
「あ!おい、磨理王!横入りすんなよー」
「へへ。隙あり!」
少し離れた所から佐伯君の視線を感じましたが、気にしないようにしてました。
悪い人じゃないですし、僕が深く考えすぎなのかもしれないですよね。折角、クラスメイトとの交流のキッカケを作ってくれたのだから、佐伯君の好意に甘えても良いのかも……。
「椿!何食べるか決まった?」
「磨理王は何にするんですか?」
「俺は……A定食かな。」
「僕は……今日はC定食に決めます!」
「じゃあ、俺と徠駕で運んでやるから席の確保宜しくな!」
「了解~」
でも結局はこのメンバーが1番落ち着きます。
変わっていく環境と変わらない環境。
これらが同時に流れ始めたことで、更なる流れへと転変させていくことになったのです……。
.₊̣̇.ෆ˟̑*̑˚̑*̑˟̑ෆ.₊̣̇.ෆ˟̑*̑˚̑*̑˟̑ෆ.₊̣̇.ෆ˟̑*̑˚̑*̑˟̑ෆ.₊̣̇.ෆ˟̑*̑˚̑*̑˟̑ෆ.₊̣̇
大切なお時間を頂き、ありがとうございます。
お気に入り登録、しおり等投稿の励みになります。
次回もどうぞ宜しくお願いします。
今までなら教室の移動も都華咲と行くのが当たり前だったので、その他の選択肢はなかったのですが今は入れ替わり立ち替わり色んな人と話が出来るのでなんだか新鮮です。
昨日の夜帰ってきた徠駕さんはさっそく佐伯君から僕の親衛隊の話を聞いたようで、内心嫌がるか心配していたのですが隊員カード(仮)を貰うと喜んでくれていました。良かったです。
『椿姫親衛隊 ナンバー003 天馬 徠駕』
「ナンバー付きってのが良いよな!どーせなら1番が良かったけど!」
満足そうにカード(仮)を眺めています。
「っていうか、何で椿の親衛隊は居て俺の護衛は1人も居ねぇんだよ?スターだってのに!佐伯、俺の親衛隊も作ってくれよ!」
「いやいや、天馬は何処でも世渡りしていけそうだから。大丈夫だよ!」
「んぐぅ……!まぁ、俺って器用だし?俺程の人気者になると周りが放っておかないからな!」
徠駕さん、完全に佐伯君に丸め込まれてますよ……。
「椿姫、音楽室への移動は俺が護衛担当だから!」
「はい。では……お願いします……」
佐伯君と2人……これはチャンス⁉︎思い切って何で都華咲と徠駕さんのスケジュールを知ってるか、聞いても良いですよね……。
「クラスのみんなが、姫と会話出来るのが楽しいと言ってるよ!」
「え?本当ですか?特に深い話なんてしてないですけど……」
「内容というよりも、椿姫の方から挨拶や労いの言葉や感謝を伝えてくれるから。みんなはそれに感動してるんだよ」
「一方的に助けて頂いてるので、その位は当たり前です!」
「そんな事ないよ。姫が当たり前にしてる事って、他の人にとっては当たり前ではないからね。思いもよらない温かさにふれて感動してるんだよ」
「それじゃあ、僕の方こそ感動してます!」
半歩先を歩く佐伯君の袖を引っ張りました。
前を向いたまま喋っていた佐伯君が驚いた顔で振り返りました。
「あの……佐伯君のお陰で都華咲が居ない間も楽しく過ごせてます。ありがとうございます!」
佐伯君は驚いた顔のまま少し立ち止まり、頬を薄らと赤く染めました。それを隠すかのように前に向き直し、再び歩き始めます。
「そんな……親衛隊として当然だから……」
結局、僕が聞きたい事は聞けないまま音楽室についてしまいます。
せめて……と思い一つだけ聞いてみました。
「佐伯君、都華咲はいつ帰るか分かりますか?」
「九条なら……もう1週間もしないくらいに戻るんじゃないかな?って、もう知ってるのかと思ってたけど!」
「はい!あの……知ってはいたのですが……なんとなく聞いてみたくて……」
佐伯君は少しキョトンとすると、ふふふ……と小さく笑い、それぞれの席に着きました。
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お昼休み、来夢君と磨理王が教室まで迎えにきてくれました。
「椿って、そんなに守られないと過ごせねーの?」
学食への移動中、突然取り巻きが出来た僕に驚いた様子で、徠駕さんが聞いてきました。
「僕から頼んだんじゃないですよぉ!!でもこの状況にも少し慣れました」
「ぉえ~。俺だったら窮屈で耐えられねぇわ!」
「はは……ですよね……でもだんだん楽しくなってきましたし、皆さん優しくしてくれるので都華咲が居ない寂しさが紛れてるのは確かです」
「椿って天性の姫気質だな!前世は本当にどっかの姫だったりして」
「あはは。徠駕さんの発想面白いです」
「ま、でも確かに椿の空元気を見るよりは良いかもな!」
来夢君が後ろから肩に手を掛けました。
「それは言えてる!俺らはどうしてもクラス違うし、佐伯君良い人で良かったね。」
反対側から磨理王が腕を組んできます。
「あ!おい、磨理王!横入りすんなよー」
「へへ。隙あり!」
少し離れた所から佐伯君の視線を感じましたが、気にしないようにしてました。
悪い人じゃないですし、僕が深く考えすぎなのかもしれないですよね。折角、クラスメイトとの交流のキッカケを作ってくれたのだから、佐伯君の好意に甘えても良いのかも……。
「椿!何食べるか決まった?」
「磨理王は何にするんですか?」
「俺は……A定食かな。」
「僕は……今日はC定食に決めます!」
「じゃあ、俺と徠駕で運んでやるから席の確保宜しくな!」
「了解~」
でも結局はこのメンバーが1番落ち着きます。
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これらが同時に流れ始めたことで、更なる流れへと転変させていくことになったのです……。
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