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〜2学期編〜

疑似オメガバース

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僕達をレンタルしてくれた3人の女性は大学生だそうで、向かって左からシホさん、サトミさん、ショウコさんといいます。


「ところで、3人は好きなBLネタとかあんの?」

都華咲が尋ねましたが、僕はBL漫画に触れたことがないのでネタを説明されても多分分かりません。都華咲は分かるんですかね?(部屋にBL要素は無かったですが……)


「わぁ!すっごい恥ずかしいんだけど!!あの……私はヤンキー受けが好きです。いつもオラオラ言ってるのに、行為になった途端、急に可愛くなるのがたまらなくて!!キャーー!!」


や……ヤンキー……で、受け……。はい……。


「私はオメガバースが1番好きです!」

「サトミさん、オメガバースって何ですか?」

「オメガバースって言うのは、男性・女性とは別に第二次性の性別というのが存在していて、それがα・β・Ωって言うんですけど、これがこの世界のカーストも決めててαが1番地位が高くてΩが低いっていう設定で。で、Ωは定期的にヒートって言う発情期が来るんですけど、ヒートになったら無意識にフェロモンが出て、その香りで周りのαを誘惑するんですよ。だから、Ωはαを誘惑する悪い奴だって言われるですよね。それにヒートが始まったら一週間くらいは家から出られないから、まともな職にも付けない。だからΩは社会的地位も低いんですよ。で、これがオメガバースの1番大切なポイントなんですけどΩは男でも妊娠が出来るんです。だからヒートになったら男でもαから狙われるですよ。それでΩはαからレイプされたりもするからαの事が嫌いで……」


は……早口過ぎてついて行けません!!

第二次性?ヒート?妊娠?あ……頭が混乱してきました。


「ふーん……なるほど……」

都華咲、分かるんですか?

「で、αとΩは運命の番になれるんです」

「運命の番って?」

「永久に結ばれるんです!番になったら、ヒートのフェロモンも番のαにしか届かないんです。だからΩも番を見つければ安心して暮らせるようになる!」

番……また新しい用語が飛び出しました。

「じゃあ、番になるにはどうすれば良いんだ?」

……都華咲、やけにグイグイ聞きますね?そんなに興味あるのでしょうか……。

「Ωがヒートを起こしてる時にセックスをして、1つになった時に頸を噛んで歯形を付けるんです。そしたら番になれます」


「へぇ……成る程ね……。だってさ、椿……」

ゾクッ。


へ?都華咲……良からぬ事を考えていませんか?


「キャッ!!都華咲氏の俺様目線、ステキですぞ!!」

「ちょ!!ショウコ、オタク口調隠して!」

「サトミ氏、すまぬ……」

「し……ショウコさんは、どんなのが好みですか?」

運命の番はステキですけど、都華咲が何企んでるか分からないので話題を変えたいです。

「私は本当に地雷がなくて……。BのLなら本当に何でも……。強いて言うなら獣人とか好きであります。モフモフとか……ぐっふー!たまらんです!尻尾愛でたい……」
眼鏡がキラリと光りました。


ショウコさんは……とても個性的な方ですね。


「なーなー!俺、オメガバースやりてぇ!!俺がαで椿がΩな!」


「!!!それって……どういう……」

「だから、椿がヒートってやつ起こしてフェロモン出して、俺がフェロモンに惹かれて椿を見つけて"運命の番だ!!"ってなるっしょ?んで、エッチして頸噛めば……」

「今エッチ出来ないでしょう!!!」

「あっ。そうだった……じゃあ仕方なくタイミング見計らって頸だけ噛むわ!!」

ちょっ!!本当に悪ふざけはやめて下さいって!!

「うぅ……本当に良いんですか?生オメガバース……グスン……」

「サトミ氏、本当にオメガバース好きだもんねぇ!良かったね!!」

「えへへ……。でも、シホも可愛い男の子受けも好きだから丁度いいんじゃない?」

「ちょ!ヤダ!!バラさないでよう!」

「よし、そうと決まれば出発だ!!椿、文化祭を楽しんでる途中でヒート起こせ!あとは俺に任せろ!!」

「キャーーー!!」
3人から拍手が沸き起こりました。

ヒートって……どう起こせばいいのでしょうか??


3人は少し離れて眺めていたいそうで、とにかく自然に振る舞って頂くだけでも尊いので……と言ってくれました。


これでは、僕と都華咲のただの文化祭デートですが……良いんですかねぇ?


「椿、せっかくだから文化祭デート楽しもうぜ」

耳元で囁かれました。


「そうですね……」

文化祭中、一緒に回る時間なんて本来では無かったので、この機会にいっぱい楽しみたいです。


……しかし、都華咲が僕の耳元で喋っただけで後ろから歓喜の声が上がります。

どうするのが正解なのか、分かりません。


「ほら!手!」

「え?でも、人が沢山……」

「今はレンタルBL中だから!演じねぇとな!」

都華咲が僕の手を取り、恋人繋ぎをしてくれました。


再び背後から歓喜の声が……。

今回は、僕も嬉しいです。
繋いだ手をキュッと握ると、やけに都華咲の手の大きさが感じられ、ドキッとしちゃいました。

「ん?……椿、フェロモン出て……」
「出てません!!」

「そうか?」

これ……文化祭終わっても引きずりそう……。


でも、手を繋いでいるのをすれ違い際に揶揄われても「接客の一貫だ」
と都華咲が言うと、万事解決なのでした。

う……嬉しいです!!こんなに堂々と手を繋いで校内を歩けるなんて!!


「そういえば、紫音が生花展見に来いっつってたんだ!ついでに行っていいか?」

「え??……生花展……ですか?」

「なに?ダメ?」

「ダメじゃ……ないですけど……」

「はい、じゃあ決まり~」

僕をグッと引き寄せ、並んで歩きます。

そういえば、写真の事言ってなかったんですよねぇ……。言う時間が無かったと言うか……



都華咲が何の躊躇いもなく音楽室のドアを開けると……

「え?……椿……と磨理王?」

やはり1番に目に入る特大パネルに驚きを隠せない様子です。

「はい……実は紫音君の家に遊びに行っていた時に、カメラマンの巽 耀司郎さんという方が撮って下さって……」

「巽 耀司郎⁉︎⁉︎あの??」

「やっぱり都華咲も知ってるんですね。磨理王も凄い方だと言ってました。まさか、こんな所で使われるなんて思ってもみなくて……」


「……スゲー……」

都華咲が壁際に並べられた写真と生花をグルリと見渡しました。

後から入ってきた3人もビックリして
「これ、椿氏ではごさらんか?」
「本当だ!!こうして見ると、よりキレイ……」
「こっちの黒髪の人にケモミミ付けたくない?」
「「分かるーー!」」
と、独特の感性を語ってくれました。




「椿……キレイだ……」
都華咲が手の甲で僕の頬からサイドの髪を掬い、耳に掛けます。

フッと細めた優しい目……。下腹がキュンッとなります。

キスする前の優しい顔。

都華咲の顔が近づき、唇が触れる寸前……

「俺の……可愛い……Ω……」

……えっ?

都華咲の顔は僕の唇を横切り、頸をカプッと甘噛みしたのです!!

「はぁん……!!」
思わぬタイミングで、膝がガクッと崩れました。


「これで俺たち、番になれたな……」

音楽室の真ん中でギュッと抱きしめられると、周りの関係のない人までもが拍手を贈ってくれました。



都華咲に包み込まれていると、ドサっと誰かが倒れた音が!!急いで音の方を見るとサトミさんが倒れています!

「大丈夫ですか⁉︎」

「サトミ!!サトミ……やばい……最高過ぎて気を失ったかも……」

「私の眼鏡をサーモグラフィーモードに切り替えて見てみるでござるよ……うぬぬ……ハッ!!これは……」

「どう?」

「……完全に……火照っておられる……」

「サトミ……良かったね……」
2人が涙ぐんで、ハンカチで仰いであげてました。


結局、僕はオメガバースが良く分からないまま終わってしまいましたが、お客様には満足して頂けたようで良かったです!



3人を見送った後、都華咲は徠駕さんと演劇部へ向かいました。


少し遅れて天翔君が教室に戻ってきたので、都華咲達が先に向かったと伝えると、天翔君も直ちに教室を出ました。

1人で大丈夫ですか?と声を掛けたのですが、「直ぐに追いつくと思う」と、走って行ってしまいました。

その後直ぐに磨理王が帰ってきたので、説明すると、
「心配だから、俺追いかけて確認してくる!」
と天翔君を追ってくれ、僕はまた接客へ……。




やはり、天翔君を1人にさせたのは間違いでした。





.₊̣̇.ෆ˟̑*̑˚̑*̑˟̑ෆ.₊̣̇.ෆ˟̑*̑˚̑*̑˟̑ෆ.₊̣̇.ෆ˟̑*̑˚̑*̑˟̑ෆ.₊̣̇.ෆ˟̑*̑˚̑*̑˟̑ෆ.₊̣̇

大切なお時間を頂き、ありがとうございます。

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次回もどうぞ宜しくお願いします。



※腐女子のモデルは作者ではありません。





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