上 下
3 / 15

空と君のあいだ

しおりを挟む
 あるときの、サーファー先生はこう語った。

 遠くに山が見えるだろ。その上には空が広がっているだろ。空と山の間にある境界線の長さはどれぐらいだと思う?

 よく解らないけど、だいたいの感で10キロぐらいですか?

 では、この葉っぱ一枚を空に重ねたとき、葉っぱと空の境界線の長さはどれぐらいなのか計算するとする。葉っぱには、毛も生えているし、埃も付いている。葉っぱと空の境界線はとても複雑な形をしている。正確に計算するにあたって、その付近に原子が何個あるのか?原子の外周の長さがどれぐらいなのか知る必要がある。
 まず原子の外周の長さを計算する。原子の外周が円であれば話しは終るのだけど、残念な事に原子にも内部構造がある。真ん中に原子核があり、その周りに電子がある。原子核も電子も波で出来ていて波は時間の流れの中にしか存在出来ないので時間の長さも考慮しなけばならない。もはや外周の長さを測ることは非常に困難だ。しかし無理やり、しかも簡単に計算することが出来る。
 その方法は、ある概念を利用すればよい。その概念というのは、“フラクタル”という概念だ。いまここで、フラクタルを説明しようとは思わないので、詳しく知りたいのであれば、インターネットでぐぐって下さい。フラクタルの概念を利用すると、原子の外周の長さは、無限大だといえる。
 もう一度、質問する。空と山の境界線の長さはどれぐらい?

 先生!無限大ですね!
しおりを挟む

処理中です...