サーファー先生 イチブガゼンブ

大きな川のような奇跡

　サーファー先生の知り合いの友人のお隣さんのお父さんはかく語りき。

　世の中に境界と言うものはないのです。境界と言うものは人間が勝手に決めつけているだけなのです。例えば、水面という境界。水面と言うのは、空気の分子の集まりと、水の分子の集まりの境目だと思われているかもしれませんが、空気の中にも水の分子はありますし、水の中にも空気の分子はあります。そして、水の中から空気中に絶えず水の分子は飛び出しており、何処が境目なのかは人間がここだと決めない限りもの凄く曖昧なのです。
　人間が『川』と呼ぶ物があります。しかし、何に対して川と呼んでいるのでしょうか？水が集まって流れて行く地面を川と呼ぶのでしょうか？流れている水の分子自体を川と呼ぶのでしょうか？水の分子は川の流れている方向に移動していると思っている人が多いのではないのでしょうか？しかし、水の分子一つ一つはひたすら自由なのです。川の流れに逆らって移動している水の分子もあれば、空気中に飛び出す水の分子もある。全ての水の分子の動きを平均すると川の流れになるのです。一つ一つの水の分子は何処へ行きたいのでしょう？おそらく地球の中心の方へ行きたいのでしょう。しかし簡単には地球の中心には向かえません。途中には障害があり、水の分子は横に弾かれます。同じ様な物質は同じ様な所を通る事になり大渋滞します。さらに同じ様な固有振動数を持つもの同士は集まりやすくなり、さらに同じ様な物同士で集まります。
　あなたが今、川と呼んでいる水の分子は数時間後には海になっいるかもしれません。あなたが今、川と呼んでいる水の分子は、数時間前には空中を漂っていたかもしれません。その前はあなたが掻いた汗だったかも知れません。あなたの一部だったかもしれません。そのずっとずっと前にはさやかの一部だったかもしれないのです。さやかが食べたクッピーラムネイチゴ味の水分だったかもしれないのです。