婚約破棄王子は魔獣の子を孕む〜愛でて愛でられ〜《完結》

クリム

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48 新しい生命

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 僕とターク先生とで客室にアルフィートを連れて行く。それから伴侶のライカがアルフィートの座る寝台に乗り上がり背中を抱いて手を握る。

「ターク様、準備が出来ました」

 フェンナがメーテルと同じ女官長服で現れて、バスタオルを何枚か乗せたワゴンを用意していた。

 ターク先生も寝台に上がり、

「あの異世界医師の書き残しが役に立つのが腹立たしいですが、少し見ますね」

アルフィートのドレスシャツをめくって、下半身を開かせた。

「ターク先生、僕は部屋を出た方が……」

「大丈夫です!俺は、見られたりするのもう経験済みだから」

 ライカがアルフィートの手を強く握り吐き捨てるように言った。

「一度目は二人で捕らえられたんだ。パールバルトに食料を買いに行っていた時に……レガリア国の貴族サロンに引き出されて檻の中での『交尾』は、腹実を出すまで続けられて、出た腹実はまるで玩具のように刻まれた」

 それは腹実の死を意味していて、二人は一度目の子供を失っていたのだ。

「最低だな、その貴族文化は」

 僕が吐き捨てるように言うと、ターク先生も頷いた。

「今は、腹実の排出、いえ、出産に全集中です。見てください、性器と肛門の間は会陰部です。サリオン、この部分にマナの道が出来て腹実が出てくるのです」

 ターク先生がアルフィートの項垂れた性器とたまを上に持ち上げると、マナによる光が浮かび上っていた。

「ただ、衰弱していますから、マナもオドも足りていないのでしょう。ライカは手を握っていてください。サリオン、あなたは魔力供給が出来ますよね。ライカに供給してください」

 僕は頷きながら答えた。

「出来ますが、ジェス以外の人では苦痛や吐き気を伴わせるのですが……」

「俺は平気です。殿下、いえ、国王陛下お願いします」

 ライカの言葉に僕は魔力供給を始めた。ライカが眉を顰める。ライカの中で中和したマナは手を通じてアルフィートに流れ込み、アルフィートの腹部は強い光を帯びた。

「マナの道が出来ました。意識してください。腹実が下がりますから」

 アルフィートが、

「痛……い……っ」

と呻いた。

「マナとオドが足りてないのです。サリオン、マナ供給をもっと!」

 僕はライカの両手をアルフィートの下腹へ直に触れさせると、ライカの心臓の裏に手を当て、マナを供給をした。第二の心臓に流し込むやり方だ。心臓に沿うようにあるマナを循環させる第二の心臓に一気に送り、オドとマナを活性化し、ライカの生命力そのものをアルフィートの腹実に送る。

「降りてきましたよ。ーーほら」

 アルフィートの足の間に入ったターク先生の手の中には、大人の拳二つ分の大きさの腹実で、白い厚い膜に覆われていた。

「主様、こちらへ」

「お願いします、フェンナ」

 フェンナに渡された腹実は、膜が光り始めすぐに消え去る。と、同時に、赤子がマナを吸って大きくなる。

「ふみゃあ……」

 一声泣いて眠ってしまった赤子をタオルで包みフェンナが、

「主様、皆様、女のお子様です」

と赤子をアルフィートに渡した。

「俺の……赤ちゃん……っ」

 ぼろぼろ泣き出したアルフィートを背後から、マナ酔いで顔色の悪いライカが抱きしめている。

「ありがとう、アル。ありがとう……」

 ライカの目にも潤むものがあったが、赤子がふにゃふにゃ泣き出したから、僕は乳の実を探した。

「殿下、腹実には乳の実はありませんよ。こうして……」

 アルフィートがドレスシャツの襟ぐりを開いて胸を晒すと、赤子の口を胸につけた。赤子の喉が嚥下しているのが分かる。

「乳の実は腹実と分離して体内に残るんですよ。乳は胸から直接与えます」

 僕は知らない世界を見て驚いた。ターク先生もフェンナも驚いていた。

「この腹実排出直後の初乳は薬のようなもので、それを済ませばライカの乳も与えられますよ。僕の伴侶ですから」

 当たり前のようにライカが頷いて、初乳を飲んだ赤子を抱き上げる。僕は動いている下腹の胎動を感じでそっとお腹を撫でた。

「殿下もあと少しですね。大丈夫ですよ、それだけマナがあるのですから」

 アルフィートの笑顔が眩しくて、ライカが赤子をあやす姿が素敵で、ジェスに今すぐ会いたくなった。

「いいですね、腹実……」

「ターク先生?」

「主様?」

 ターク先生の呟きに、僕とフェンナが振り向いた。ターク先生も寝台から飛び降りると、にっこり笑う。

「なんでもありませんよ。さあ、二人きりにしてあげましょう」

 なんてにこにこしながら部屋を後にした。
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