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3 変わった姿※
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程なくして、ひときわ華やいだ町が広がり、真ん中に城のような石造りの黒い建物が現れ、赤い竜を降ろす。
直樹の長い黒い髪が見えたのか、城から沢山の人間が躍り出て来て、直樹の前にかしずいた。
「今回の黒王様は華奢でお小さくて、なんて可愛らしい」
部屋に通されると、赤王の包んでくれた布を剥がされる。
「お髪も艶やかで、よくお似合いで」
「寝間着のお丈は少し長いですが、明日までに仕立てます」
初めてみる姿見に映る、直樹の……多分、死後の転生した世界での姿。十五の高校生男子にしては、あどけない表情。
十歳位に見える染みも傷もない真っ白な手足の長い、バランスの整った細い肢体。
長い豊かな黒髪と、大きな黒い瞳。小さくて愛らしい唇。何度も鏡を見ているのが、なんだか、辛くなる。生前の醜い自身の姿と真逆なのだ。
「さあ、黒王様」
女たちが騒ぎながら直樹を着飾り髪を高く結わえ簪をさし、流れ作業のように食事を出されたが、食欲はなく長い箸を数回手をつけてから、文官長との顔合わせをした。
そのあと香りのよい湯につけられて、真っ白の浴衣のような寝間着に着替えさせられる。
「お湯を召した赤王様のお腹には、紋様がございました。黒王様もお早くたくさんお召しになり、私たちを安心させてくださいまし」
きゃあきゃあと叫び合う女たちがかしましくて、直樹は髪を流したまま、与えらた寝屋へ転がり込む。
「……疲れた」
「お疲れですか、黒王様。御御足を御揉みいたしましょうか」
寝室の床に淡い黒髪の若い男が座っていた。ひれ伏す男は同じ白の寝間着を着ており、顔を上げるとうっとりと直樹を見ているのが、なにやら恐い。
「今回、お役目を賜りました、文官の……」
「お、お、お役目って……」
直樹は記憶を手繰り寄せて、思い出す。
赤王がされていたこと……をする?
「やっ……」
直樹は無垢だが、無知ではない。直樹と同性間セックスをするために、この見目造作も良い男が選ばれたのだ。
「やめてください」
会ったことも、見たこともない男となんて、いや、女でも、絶対に嫌だった。
泣くものかと必死に堪えながら直樹が、うっとりと寄ってくる文官を寄せ付けないように寝台から後ずさると、窓枠の影から赤王の声がした。
「文官殿、黒王は怯えておいでだ。退出したらどうだ」
「赤王様……いつから」
直樹の問いには答えず、寝室床から文官を立ち上がらせるよう、鞘に入れた剣を向ける。
「しかし、赤王、お務めが……。私が文官長様にお叱りを受けます」
「ならば、白珠を頂けばよいではないか。久々の王の珠は貴重だろう」
王の前で膝を着いていた文官が、赤王の発言に目を潤ませて何度も頷く。
「え?」
「俺も、お前に見られた。これで、あいこだな」
「えっ、ええっ?」
赤王が直樹を後ろから抱き抱え寝台の端に座ると、直樹の寝間着のあわせを開いて、文官に晒した。
「含むなよ、手でいたせ」
文官の指が直樹の前に触れる。
「……っ」
ぞく……と震えが走る。
「い……やっ……」
指は滑らかに動き直樹が初めて知る弱い会陰から裏筋、そして、桃色に彩る張り出しの縁をなぞり、切っ先に指を這わされた。
「あっ……やだっ……」
直樹の敏感な箇所が痛まないように擦り双珠を撫でられ、その指がいとおしそうに奥の襞を擽る。
びくりと腰を引いた。
襞を撫でられるだけで、あっと言う間に溢れ、先走る。
「んっ、んんっ!」
切っ先は真っ赤に彩られ、白濁が溢れ始めた。
「あっ、ああっ!ゃああっ!」
丁寧な手淫で溢れ出す精液を、文官はありがたそうに絡め、陶器の容器に垂らして、床にひざまずき頭を下げた。
「黒王様の白珠、ありがたくいただきます。これを煎じれば、多くの病人が……ありがとうございますっ」
直樹は何を言っているのか分からず、こくりと頷く。
脱力して肩で息をしつつ、寝間着を戻してくれた赤王が、名残惜しそうな文官を追い払うのを見た。
文官の寝間着の下肢の真ん中が持ち上がっていて、目をそらしてしまう。つまり、あの見目良い男性文官は、直樹に欲情していたのだ。
「は……恥ずかし…い」
顔が火照る。
「何言ってやがる、俺なんてケツにぶっこまれてんの、お前に見られたんだぜ?」
赤王が背後から抱き止めたまま、寝台に直樹を抱き上げた。
「厄介なもんだよな。自国民の心を射抜く瞳なんて。王の魅惑の目だとよ。皆が骨抜きになる」
「……あの……」
今までの直樹には身に覚えのない言葉だった。
赤王が剣を枕元に置き、直樹を寝台に寝かせて、横に転がった。
「お疲れさん。黒王、お前、名前は?」
「……直樹、真っ直ぐの直に樹木の樹です」
赤い瞳が嬉しそうに微笑む。
「そうか…日本人か。俺も日本人だった。名前は明だ。日に月と書くやつ。まあ、この世界には文字がないから無意味だが、知っておくのはお互いにいい。直樹、年は?」
「十五でした……死ぬ前は」
「若いな……俺は四十五だ」
「え?」
腕を曲げて枕にした赤王は、どう見ても二十歳前の美青年で、直の父のような年齢には見えない。
「直樹はどうして死んだ?」
直樹は赤王に体を傾ける。
「……屋上から落ちて……。あの、赤王様も死……」
「明でいい。他の王の奴等はそう呼んでいる」
赤王……明は、直樹の長いまっすぐな黒髪を弄ぶように撫でて、
「俺は自衛隊の事故で、ぶっ飛んだ」
髪に唇を寄せながら、明が呟く。
「そう……なんですか」
直樹は精排出もあり、眠くなってうつらうつらしながら聞いていた。
知っていることを寝物語に、と、赤王明が添い寝をしてくれるのは、ありがたい。
他の男が入ってくる不安もあったからだ。
「いいか、直樹。この世界の国は王の心象で作られる。黒国には十程度の村がある。ここは黒宮で、市役所機能を持っている文官、警察機能を持っている武官がいる」
「は……い……それで……僕は……何を」
眠くて眠くて仕方がない。
死んでなお、このように不思議な世界で生かされている。役割……なにか宿命があるのだろうか。
「俺たちの役目はもう半分終わっている。王の心象による自分の国造りだ。直樹、眠ったのか」
眠っていません……と言いたかったのだが、口が回らなかった。
直樹の長い黒い髪が見えたのか、城から沢山の人間が躍り出て来て、直樹の前にかしずいた。
「今回の黒王様は華奢でお小さくて、なんて可愛らしい」
部屋に通されると、赤王の包んでくれた布を剥がされる。
「お髪も艶やかで、よくお似合いで」
「寝間着のお丈は少し長いですが、明日までに仕立てます」
初めてみる姿見に映る、直樹の……多分、死後の転生した世界での姿。十五の高校生男子にしては、あどけない表情。
十歳位に見える染みも傷もない真っ白な手足の長い、バランスの整った細い肢体。
長い豊かな黒髪と、大きな黒い瞳。小さくて愛らしい唇。何度も鏡を見ているのが、なんだか、辛くなる。生前の醜い自身の姿と真逆なのだ。
「さあ、黒王様」
女たちが騒ぎながら直樹を着飾り髪を高く結わえ簪をさし、流れ作業のように食事を出されたが、食欲はなく長い箸を数回手をつけてから、文官長との顔合わせをした。
そのあと香りのよい湯につけられて、真っ白の浴衣のような寝間着に着替えさせられる。
「お湯を召した赤王様のお腹には、紋様がございました。黒王様もお早くたくさんお召しになり、私たちを安心させてくださいまし」
きゃあきゃあと叫び合う女たちがかしましくて、直樹は髪を流したまま、与えらた寝屋へ転がり込む。
「……疲れた」
「お疲れですか、黒王様。御御足を御揉みいたしましょうか」
寝室の床に淡い黒髪の若い男が座っていた。ひれ伏す男は同じ白の寝間着を着ており、顔を上げるとうっとりと直樹を見ているのが、なにやら恐い。
「今回、お役目を賜りました、文官の……」
「お、お、お役目って……」
直樹は記憶を手繰り寄せて、思い出す。
赤王がされていたこと……をする?
「やっ……」
直樹は無垢だが、無知ではない。直樹と同性間セックスをするために、この見目造作も良い男が選ばれたのだ。
「やめてください」
会ったことも、見たこともない男となんて、いや、女でも、絶対に嫌だった。
泣くものかと必死に堪えながら直樹が、うっとりと寄ってくる文官を寄せ付けないように寝台から後ずさると、窓枠の影から赤王の声がした。
「文官殿、黒王は怯えておいでだ。退出したらどうだ」
「赤王様……いつから」
直樹の問いには答えず、寝室床から文官を立ち上がらせるよう、鞘に入れた剣を向ける。
「しかし、赤王、お務めが……。私が文官長様にお叱りを受けます」
「ならば、白珠を頂けばよいではないか。久々の王の珠は貴重だろう」
王の前で膝を着いていた文官が、赤王の発言に目を潤ませて何度も頷く。
「え?」
「俺も、お前に見られた。これで、あいこだな」
「えっ、ええっ?」
赤王が直樹を後ろから抱き抱え寝台の端に座ると、直樹の寝間着のあわせを開いて、文官に晒した。
「含むなよ、手でいたせ」
文官の指が直樹の前に触れる。
「……っ」
ぞく……と震えが走る。
「い……やっ……」
指は滑らかに動き直樹が初めて知る弱い会陰から裏筋、そして、桃色に彩る張り出しの縁をなぞり、切っ先に指を這わされた。
「あっ……やだっ……」
直樹の敏感な箇所が痛まないように擦り双珠を撫でられ、その指がいとおしそうに奥の襞を擽る。
びくりと腰を引いた。
襞を撫でられるだけで、あっと言う間に溢れ、先走る。
「んっ、んんっ!」
切っ先は真っ赤に彩られ、白濁が溢れ始めた。
「あっ、ああっ!ゃああっ!」
丁寧な手淫で溢れ出す精液を、文官はありがたそうに絡め、陶器の容器に垂らして、床にひざまずき頭を下げた。
「黒王様の白珠、ありがたくいただきます。これを煎じれば、多くの病人が……ありがとうございますっ」
直樹は何を言っているのか分からず、こくりと頷く。
脱力して肩で息をしつつ、寝間着を戻してくれた赤王が、名残惜しそうな文官を追い払うのを見た。
文官の寝間着の下肢の真ん中が持ち上がっていて、目をそらしてしまう。つまり、あの見目良い男性文官は、直樹に欲情していたのだ。
「は……恥ずかし…い」
顔が火照る。
「何言ってやがる、俺なんてケツにぶっこまれてんの、お前に見られたんだぜ?」
赤王が背後から抱き止めたまま、寝台に直樹を抱き上げた。
「厄介なもんだよな。自国民の心を射抜く瞳なんて。王の魅惑の目だとよ。皆が骨抜きになる」
「……あの……」
今までの直樹には身に覚えのない言葉だった。
赤王が剣を枕元に置き、直樹を寝台に寝かせて、横に転がった。
「お疲れさん。黒王、お前、名前は?」
「……直樹、真っ直ぐの直に樹木の樹です」
赤い瞳が嬉しそうに微笑む。
「そうか…日本人か。俺も日本人だった。名前は明だ。日に月と書くやつ。まあ、この世界には文字がないから無意味だが、知っておくのはお互いにいい。直樹、年は?」
「十五でした……死ぬ前は」
「若いな……俺は四十五だ」
「え?」
腕を曲げて枕にした赤王は、どう見ても二十歳前の美青年で、直の父のような年齢には見えない。
「直樹はどうして死んだ?」
直樹は赤王に体を傾ける。
「……屋上から落ちて……。あの、赤王様も死……」
「明でいい。他の王の奴等はそう呼んでいる」
赤王……明は、直樹の長いまっすぐな黒髪を弄ぶように撫でて、
「俺は自衛隊の事故で、ぶっ飛んだ」
髪に唇を寄せながら、明が呟く。
「そう……なんですか」
直樹は精排出もあり、眠くなってうつらうつらしながら聞いていた。
知っていることを寝物語に、と、赤王明が添い寝をしてくれるのは、ありがたい。
他の男が入ってくる不安もあったからだ。
「いいか、直樹。この世界の国は王の心象で作られる。黒国には十程度の村がある。ここは黒宮で、市役所機能を持っている文官、警察機能を持っている武官がいる」
「は……い……それで……僕は……何を」
眠くて眠くて仕方がない。
死んでなお、このように不思議な世界で生かされている。役割……なにか宿命があるのだろうか。
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