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19 漂泊の赤
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赤の深い森で赤王である明は、竜を駆っていた。
人には不思議がられる長刀は日本刀を模して、竜の骨を何度も削り研いだ逸品で歯こぼれしない。木から蹴り降りて、明は足下から風竜のとどめを差した。
「客人っ、お頭っ、土竜がいない!」
「潜られたかっ!ちっ……」
即席の竜討伐隊は、十人程度。
レキがそれをすべて指揮している。
赤の森で定期的に繁殖する竜は四タイプ。風竜、水竜、土竜、火竜、そのうちの土に潜る竜を取り逃がした。
「はー?まあ、仕方ねえなあ。レキのお頭さんよお、何体いる?」
明は刀を肩に置き、隊長であるレキを見上げる。
「その呼び方やめろ、明。風竜二体、火竜一体、水竜三体、まあまあだろ」
「お客人、大活躍だったな。腰細いのに大活躍だったな」
討伐隊の一人が明の肩をバンバンと叩いた。
「ああ、久々に楽しませてもらったよ。しまったなあ、取り逃がすとは……しかたねえな」
明は笑いながら、まだ暴れ足りないと刀を死んだ竜の首に刺し、誰よりも先に竜を分解し始めた。
青い体液を持つ竜は、空気に触れると赤くなり、食肉になる。それを近隣の村に分配し、竜の鱗や骨は農機具や武具に加工するのだ。
余った残りは、国に献上する。
貨幣や文字を持たない五国は、物々交換で互いの特産物を移動させる。
赤国の竜の干肉と竜の鱗は、やせた土地をもつ赤国の唯一の特産だ。竜が出る国……そんな国を作り出したのは、ここにいる明に他ならない。
「明、少し肉を分けろ。奴等に喰わせる」
飲食の必要がない神王になった明には忘れてしまっていることを、レキはしてくれていた。
「わかった」
肉を切り分けると、レキがかがんで唇を舐めて来る。
「暴れ足りないか?明」
「まあな……俺が火竜を仕留めたかった……んっ」
唇を割られ入ってきた舌を噛んでやると、レキが痛そうな顔をして唇を拭った。
「次の狩りでは、討伐隊を減らしておく。お前の取り分を増やせばいいんだろう?」
「んなことすると、文官長に怒られる」
竜討伐隊は村の名誉であり、褒美の分け前もある。死と隣り合わせだが王国公認の仕事なのだ。
「さあ、お疲れ様だったな。火を起こせ、飯にしよう」
レキの声に寄せ集めの討伐隊が歓声を上げ、寄ってきた若い一人が、
「お客人も、喰えよ。さばいてないで、こっちに来い」
と、肩を抱いてくる。
「いや、俺はいい」
その後には野合に誘いたい腹積もりだろうが、明は軽く払いのけ、続きの仕事に戻った。
竜が出る国、赤国。
そんな国を明は何十年も前に、自分の心象から作ってしまった。
死んだ瞬間は、真っ白だった。その後不意に国をやろうと聞こえてきた。はまっていたゲームは仮想空間で狩りをするものだった。出現した明を守るように現れた赤光が竜の瞳のようで、まだそのゲームを終わらせてないな……と思ったのだ。
だから、この国は明が興じていたゲームに似ている。ただ、違うことは、リセットボタンはないことだ。村が襲われ、明の国の人間が死ぬ。竜は竜を喰い大きくなり人を喰わないが、人を蹴散らすように暴れるのが厄介だった。
「くそっ……っ!」
前の国は赤い風車と赤麦がそよぐ静かな国だったと言う。穀物ばかりで動物が少ないのは、王の心象の影響だろうと宮の者は話していた。その王は国に飽きたのだと言って自分の首を刺して死んだ。大量の蓄えをさせたあとで、国はすぐには荒れなかったが、明が出現する頃には王不在の影響が出始めていた。
一番の影響は実りがなくなり、子が成せなくなることだ。この地では男女間でセックスをするだけでは子は孕めない。天帝と繋がる神王が存在てこそ、国の繁栄に繋がるのだ。明が出現してありがたいと話してくれていたが、竜被害に遭う人々を見ていられなくて、王宮を出た。ずっと必死だ。
「くそっ!」
一人で竜を分解していた明は、地面に思い切り刀を突き立てた。
「………あ?」
赤蘚の深い森の土を刺すのではない手応えがあり、明が深々と入れた刀を抜くと、地面から真っ青な竜の血が噴き出し、明は頭からそれを被る。
「げえっ……竜の血?」
「お客人、土竜ですぜ!よかった、土竜が一番旨いんだ。報酬は土竜の肉と爪だ」
討伐隊古参の茶赤の髪の男がげらげら笑いながら、真っ赤な髪に青い体液を被った明を避けて、土竜を掘り起こした。
取り逃がした筈の土竜現れて、歓声が上がったのだった。
人には不思議がられる長刀は日本刀を模して、竜の骨を何度も削り研いだ逸品で歯こぼれしない。木から蹴り降りて、明は足下から風竜のとどめを差した。
「客人っ、お頭っ、土竜がいない!」
「潜られたかっ!ちっ……」
即席の竜討伐隊は、十人程度。
レキがそれをすべて指揮している。
赤の森で定期的に繁殖する竜は四タイプ。風竜、水竜、土竜、火竜、そのうちの土に潜る竜を取り逃がした。
「はー?まあ、仕方ねえなあ。レキのお頭さんよお、何体いる?」
明は刀を肩に置き、隊長であるレキを見上げる。
「その呼び方やめろ、明。風竜二体、火竜一体、水竜三体、まあまあだろ」
「お客人、大活躍だったな。腰細いのに大活躍だったな」
討伐隊の一人が明の肩をバンバンと叩いた。
「ああ、久々に楽しませてもらったよ。しまったなあ、取り逃がすとは……しかたねえな」
明は笑いながら、まだ暴れ足りないと刀を死んだ竜の首に刺し、誰よりも先に竜を分解し始めた。
青い体液を持つ竜は、空気に触れると赤くなり、食肉になる。それを近隣の村に分配し、竜の鱗や骨は農機具や武具に加工するのだ。
余った残りは、国に献上する。
貨幣や文字を持たない五国は、物々交換で互いの特産物を移動させる。
赤国の竜の干肉と竜の鱗は、やせた土地をもつ赤国の唯一の特産だ。竜が出る国……そんな国を作り出したのは、ここにいる明に他ならない。
「明、少し肉を分けろ。奴等に喰わせる」
飲食の必要がない神王になった明には忘れてしまっていることを、レキはしてくれていた。
「わかった」
肉を切り分けると、レキがかがんで唇を舐めて来る。
「暴れ足りないか?明」
「まあな……俺が火竜を仕留めたかった……んっ」
唇を割られ入ってきた舌を噛んでやると、レキが痛そうな顔をして唇を拭った。
「次の狩りでは、討伐隊を減らしておく。お前の取り分を増やせばいいんだろう?」
「んなことすると、文官長に怒られる」
竜討伐隊は村の名誉であり、褒美の分け前もある。死と隣り合わせだが王国公認の仕事なのだ。
「さあ、お疲れ様だったな。火を起こせ、飯にしよう」
レキの声に寄せ集めの討伐隊が歓声を上げ、寄ってきた若い一人が、
「お客人も、喰えよ。さばいてないで、こっちに来い」
と、肩を抱いてくる。
「いや、俺はいい」
その後には野合に誘いたい腹積もりだろうが、明は軽く払いのけ、続きの仕事に戻った。
竜が出る国、赤国。
そんな国を明は何十年も前に、自分の心象から作ってしまった。
死んだ瞬間は、真っ白だった。その後不意に国をやろうと聞こえてきた。はまっていたゲームは仮想空間で狩りをするものだった。出現した明を守るように現れた赤光が竜の瞳のようで、まだそのゲームを終わらせてないな……と思ったのだ。
だから、この国は明が興じていたゲームに似ている。ただ、違うことは、リセットボタンはないことだ。村が襲われ、明の国の人間が死ぬ。竜は竜を喰い大きくなり人を喰わないが、人を蹴散らすように暴れるのが厄介だった。
「くそっ……っ!」
前の国は赤い風車と赤麦がそよぐ静かな国だったと言う。穀物ばかりで動物が少ないのは、王の心象の影響だろうと宮の者は話していた。その王は国に飽きたのだと言って自分の首を刺して死んだ。大量の蓄えをさせたあとで、国はすぐには荒れなかったが、明が出現する頃には王不在の影響が出始めていた。
一番の影響は実りがなくなり、子が成せなくなることだ。この地では男女間でセックスをするだけでは子は孕めない。天帝と繋がる神王が存在てこそ、国の繁栄に繋がるのだ。明が出現してありがたいと話してくれていたが、竜被害に遭う人々を見ていられなくて、王宮を出た。ずっと必死だ。
「くそっ!」
一人で竜を分解していた明は、地面に思い切り刀を突き立てた。
「………あ?」
赤蘚の深い森の土を刺すのではない手応えがあり、明が深々と入れた刀を抜くと、地面から真っ青な竜の血が噴き出し、明は頭からそれを被る。
「げえっ……竜の血?」
「お客人、土竜ですぜ!よかった、土竜が一番旨いんだ。報酬は土竜の肉と爪だ」
討伐隊古参の茶赤の髪の男がげらげら笑いながら、真っ赤な髪に青い体液を被った明を避けて、土竜を掘り起こした。
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