五国王伝〜醜男は美神王に転生し愛でられる〜〈完結〉

クリム

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47 師匠と弟子

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「では、元武官長ガラン様はあの赤の森に埋葬でよろしいのですね。今は武官長がガラン様に付き添っています」

 夜の幕屋の中で湯浴びをした赤王明は、いつも高く結っている髪を背に流し、白の寝間着に袖を通しながら、文官長の報告に頷いた。

 馴れているはずの文官長ですら、目をそらしてしまう冴えた美貌に、今日は悲しみがより色香を添えており、明は寝台に座るとため息をつく。

「ああ、頼む」

「明日には武官が全て、こちらに参ります。赤王様は……」

 明は葡萄酒を瓶ごとラッパ飲みをして、

「バックレる。別れはもう済ませた」

と言うと、もう付き合いの長い文官長は、

「バックレる……ああ、逃げるという意味ですな。で、バックれ先は……」

とわざわざ明の言葉を模して返してくる。

 明はふむ……と悩んだ。

「直樹が心配だからな。直樹に付いていこうと思う」

「分かりました。でも、何故森の王と黒王様をガラン様との別れにお連れになりました?」

「一人じゃ抱えきれなくて……だろうなあ」

 それだけではない。直樹はまだいい。直樹にはこちらでの記憶がない。野盗の言う通りならば、王は死から甦るたびに記憶を失うようだ。それに親しい者もいない。

 七十年ほど生きて、瀕死にはなったことがあるが死んだことがない明は、直樹よりシンラに理解して欲しかった。

 シンラは直樹の和合者だ。王と不老を共にし、王が自死すればやっと自らも死ねるのだ。

 しかし王が不慮の事故で死んだ場合、甦ったものの、和合者のことを覚えていない王と再び気持ちを交わし、和合をしていくことになる。長い長い時間をかけることになる。

 直樹を守り、生かし、懐かしい者が自分より先に老いて死を迎えていく現実を、シンラは理解しなければならない。

「レキ殿もご一緒に……あれ、どこにいます?」

「ああ……裏で別れを告げている」

 幕野の明り窓になる薄布から見えるレキは、剣を抜いて暗闇を切り裂いていた。

「美しい動きですな」

 文官長がため息をついた。

 思い起こされるガランの剣技を見ているのやも知れない。

「ガランの一番弟子だからな……」

 美しい流れるような動きだが、そこに型はない。竜を仕留める為の剣技で、見せるためのものではないからだ。

 酒を飲みながら、見惚れていると、

「私は……武官志願者だったんですよ」

と、文官長が話してきた。

「え?」

 柳腰の到底剣など振るえそうもなさそうな文官長の言葉に、明は驚いて葡萄酒瓶を落としそうになった。

「武官指南役のガラン老には笑われましたが、剣を持って王を守るのだと誓っておりました。若い頃ですが」

 過去のことだと笑うには、互いに、今はまだ少し辛かった。

「知らなかった。お前は文官長向きだろう?よくやってくれている。お前がいるから、俺は安心して留守が出来る」

 文官長は咳払いをして、

「ガラン老にも同じことを言われました。だからこそ、文官になったのでございますが」

 文官長が目を細めた。

「……ああ、夜も深まりましたな。では、退出いたします。二点ほど……間者からの噂ではありますが」

 文官長が明に耳打ちの体で、それを話す。明は驚き、そして、頷いた。 





 月は不思議だ。それぞれに月の形がある。人に言わせると、月こそが天帝ではないかと。黄国の月は巨大な満月、青緑国では二つの重なる小さな月、黒国では常に半月。赤国では月は満ち欠ける。森では冴え冴えた丸い月は光の色を変える。地球では月の見え方が若干違うだけだというのに。

 月のない赤国の夜に、竜は生まれるという。

 竜には性別はない。

 繁殖ではなく、新月にどこからともなく現れる小さな竜は、共食いを繰り返しあっという間に大きくなる。

 森にいると今も聞こえてくる生まれの雄叫び。

 血が騒ぐのは、明も一緒かもしれない。その竜を作り出したのは、明の心象だ。竜を狩りたい、竜と戦いたい。まさにハンティングゲームの真髄だ。こちらでは生死を分ける戦いになるが。

「明」

 亡き師匠へ贈る剣技が終わったレキが汗だくのまま、幕屋に入り明をきつく抱き締めた。男のむせ返るような汗の匂いが官能を揺さぶる。  

「葡萄酒、飲むか?」

「いや、他のでいい」

「水なら……」 

 飲み続けている明が酔いそのまま歩いて行こうとすると、寝台の縁に膝をしたたかに打ち、そのまま寝台にひっくり返る。

「おわっ」

「明」

 レキが明の寝間着の裾を割り、明の穂先をぺろ……と舐めると口に含み、舌を裏筋に這わせて扱き始める。

「うあっ……よせっ」

 ぞわぞわと背を走る快楽に、明はレキの頭を叩くが、双珠を掴まれ裏筋を下から上に舐め上げられ、裂け目に舌を入れられてくすぐられるともうだめだった。

 下腹から血流が一気に集まるようなぞわりとした感覚が、明の腰に集まり、きつく吸われると震えたつ。

「うっ、くっ、ああ……出る……くっ……」

 火花が散るようにちりちりとした感覚が沸き上がり、明はレキの口の中に早々と白濁を散らす。

「本当に弱いんだな、裏筋。貴重な物を飲ませて頂いた」

 レキが白濁を飲み下しながらニヤリと笑った。
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