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53 カナメの話
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しどけなく眠る直樹を見ていて、シンラは安堵の息を吐く。抱き潰してしまったのではないかと、不安になったのだ。
最後には快楽を享受出来ず繰り返し内壁で達してから、意識を失うように眠りに落ちた直樹の下肢に掛布を掛けようとして、紋様に囲まれた臍に溜まった直樹の白濁を舐め取った。
「ん……ぁ……」
直樹が豊かな髪を乱して、真っ白な肌を晒し寝息を立てている。
胸にはシンラが舐め過ぎて腫れた尖りがぷっくりと立ち上がり、回りの鬱血の跡が夜光玉に淡く照されていた。
ぐったりと、しかし、満足そうに横になる直樹を見ていて、シンラは思わず綺麗な形の額を撫でる。
「ん……」
シンラの尻尾を掴むと丸くなる横に向いた直樹の尻襞から滲み出るシンラの白濁を拭おうかと思ったが、眠りを妨げないように掛布を掛けシンラも横になった。
もうじき夜が明けるのに、頭が冴えて眠れない。思い出すのは、黒国元文官カナメの言葉だ。
夜会の終わり酒も深まった頃、赤王明がシンラに
「直樹が眠そうだぞ」
と声を掛けてきた。
直樹は少し眠そうだが、フルトリとハトリに他国の話をしていてさほどではない。
が、明の含んだ言葉を理解してティーに目配せをする。
こんなときティーの機転が光り、
「直樹様、お湯に入って温まりましょう。僕は掛け流しの湯……温泉を見たことがありません。見せていただけますか」
と声を掛ける。
「いいよ。そうだ、ティーも一緒に入ろうぬ」
「えっ。王の湯には……」
「ティー、直樹を頼む。一緒に入って髪を洗ってやってくれ」
「は、はい」
「ティー、早く。こっちだよ。背中を洗いっこしよう。僕、友達と温泉に入るの初めてなんだ」
「と、友達?友達ではなく、僕は側仕え……。あ、直樹様」
直樹は本当に嬉しそうにティーの手を掴み、一同に挨拶をするとカナメにだけ躊躇った顔を見せて、部屋を後にした。
フルトリとハトリも知恵の館に戻り、酔いが回った風にレキにしなだれかかって、レキに口移しで蒲萄酒を飲ませていた明が
「カナメ、見覚えがある。お前、俺が出してやった直樹の白珠を唯一受け取った若い奴か。えらく老けたな」
と可々に笑う。
「あれから二十年程も経つのです。あの頃は出仕したての十五でございました」
苦い顔をするカナメに明の顔つきが変わり、
「直樹は、多分…一度死んでいるだろう?どこでだ?黒宮か?」
と、静かで厳かに言い放った。
酒に溺れるほど飲んでいないと言うわけだ。
カナメがシンラの方をちらりと見て軽く頭を下げ、おもむろに上衣をまくり上げる。
脇腹に変色した深い刺し傷があり、その傷は歳月が経っていることを告げていた。
「それは……死に至る傷だ……」
シンラがそれを見て呟くと、
「少し長くなりますが、包み隠さずお話しします」
とカナメは前置きをして、目を伏せる。
そこから先は、赤王からも断片的に聞いたものの、聞くに耐えがたいおぞましさすら感じた。
頑なに交合を拒絶する直樹に腹を立てた文官長が、見せしめにカナメに刃を突き立てた瞬間、直樹が庇い刃が心臓を貫きカナメの腹に刺さった。
どれだけの憎しみををはらんでいたのか。そのあと目を抉り出し狂喜にも、絶命した直樹をカナメの前で犯したのだ。
「直樹様は別の形で王であろうとしました。『ガッコウ』『ギョウセイ』『システム』など進言下さいましたが、文官長は耳を貸しませんでした。直樹様は私と同じ歳であったから『友』と呼び、私がお褥に向かい拒絶はされましたが、お話し下さいました」
直樹に以前貰った白珠でなんとか生きながらえ、文官長に投獄されていたカナメが脱獄をし、自ら去勢し欠けたる者になり森の国で直樹を探し回るうちに、『クロ』と言う子供が浮上してきた。
食べ物を探しては傷付いている者に与え、戯れの野合にさ迷う哀れな姿が通った跡に、黒い木が芽吹き実がなったと、森の果ての欠けたる老婆は助けられたと、泣きながら手を合わせたらしい。
それは子供を洗った高い木の泉のほとりで終わっていた。
カナメは再び頭を下げた。
「黒国を見ていただきたいのです。その上で考えて欲しいのです。直樹様の国である黒国を」
直樹が恐れる男を自ら去勢し、直樹を探していたカナメもまた、直樹に真摯な気持ちを持っている。
「直樹……」
黒国で直樹は変わってしまうのだろうか?この手の届かない場所に行ってしまうのではないだろうか。
シンラはそれが怖かった。
寝息を立てて眠る、愛らしい直樹を見下ろす。
シンラは、眠れない夜を過ごした。
最後には快楽を享受出来ず繰り返し内壁で達してから、意識を失うように眠りに落ちた直樹の下肢に掛布を掛けようとして、紋様に囲まれた臍に溜まった直樹の白濁を舐め取った。
「ん……ぁ……」
直樹が豊かな髪を乱して、真っ白な肌を晒し寝息を立てている。
胸にはシンラが舐め過ぎて腫れた尖りがぷっくりと立ち上がり、回りの鬱血の跡が夜光玉に淡く照されていた。
ぐったりと、しかし、満足そうに横になる直樹を見ていて、シンラは思わず綺麗な形の額を撫でる。
「ん……」
シンラの尻尾を掴むと丸くなる横に向いた直樹の尻襞から滲み出るシンラの白濁を拭おうかと思ったが、眠りを妨げないように掛布を掛けシンラも横になった。
もうじき夜が明けるのに、頭が冴えて眠れない。思い出すのは、黒国元文官カナメの言葉だ。
夜会の終わり酒も深まった頃、赤王明がシンラに
「直樹が眠そうだぞ」
と声を掛けてきた。
直樹は少し眠そうだが、フルトリとハトリに他国の話をしていてさほどではない。
が、明の含んだ言葉を理解してティーに目配せをする。
こんなときティーの機転が光り、
「直樹様、お湯に入って温まりましょう。僕は掛け流しの湯……温泉を見たことがありません。見せていただけますか」
と声を掛ける。
「いいよ。そうだ、ティーも一緒に入ろうぬ」
「えっ。王の湯には……」
「ティー、直樹を頼む。一緒に入って髪を洗ってやってくれ」
「は、はい」
「ティー、早く。こっちだよ。背中を洗いっこしよう。僕、友達と温泉に入るの初めてなんだ」
「と、友達?友達ではなく、僕は側仕え……。あ、直樹様」
直樹は本当に嬉しそうにティーの手を掴み、一同に挨拶をするとカナメにだけ躊躇った顔を見せて、部屋を後にした。
フルトリとハトリも知恵の館に戻り、酔いが回った風にレキにしなだれかかって、レキに口移しで蒲萄酒を飲ませていた明が
「カナメ、見覚えがある。お前、俺が出してやった直樹の白珠を唯一受け取った若い奴か。えらく老けたな」
と可々に笑う。
「あれから二十年程も経つのです。あの頃は出仕したての十五でございました」
苦い顔をするカナメに明の顔つきが変わり、
「直樹は、多分…一度死んでいるだろう?どこでだ?黒宮か?」
と、静かで厳かに言い放った。
酒に溺れるほど飲んでいないと言うわけだ。
カナメがシンラの方をちらりと見て軽く頭を下げ、おもむろに上衣をまくり上げる。
脇腹に変色した深い刺し傷があり、その傷は歳月が経っていることを告げていた。
「それは……死に至る傷だ……」
シンラがそれを見て呟くと、
「少し長くなりますが、包み隠さずお話しします」
とカナメは前置きをして、目を伏せる。
そこから先は、赤王からも断片的に聞いたものの、聞くに耐えがたいおぞましさすら感じた。
頑なに交合を拒絶する直樹に腹を立てた文官長が、見せしめにカナメに刃を突き立てた瞬間、直樹が庇い刃が心臓を貫きカナメの腹に刺さった。
どれだけの憎しみををはらんでいたのか。そのあと目を抉り出し狂喜にも、絶命した直樹をカナメの前で犯したのだ。
「直樹様は別の形で王であろうとしました。『ガッコウ』『ギョウセイ』『システム』など進言下さいましたが、文官長は耳を貸しませんでした。直樹様は私と同じ歳であったから『友』と呼び、私がお褥に向かい拒絶はされましたが、お話し下さいました」
直樹に以前貰った白珠でなんとか生きながらえ、文官長に投獄されていたカナメが脱獄をし、自ら去勢し欠けたる者になり森の国で直樹を探し回るうちに、『クロ』と言う子供が浮上してきた。
食べ物を探しては傷付いている者に与え、戯れの野合にさ迷う哀れな姿が通った跡に、黒い木が芽吹き実がなったと、森の果ての欠けたる老婆は助けられたと、泣きながら手を合わせたらしい。
それは子供を洗った高い木の泉のほとりで終わっていた。
カナメは再び頭を下げた。
「黒国を見ていただきたいのです。その上で考えて欲しいのです。直樹様の国である黒国を」
直樹が恐れる男を自ら去勢し、直樹を探していたカナメもまた、直樹に真摯な気持ちを持っている。
「直樹……」
黒国で直樹は変わってしまうのだろうか?この手の届かない場所に行ってしまうのではないだろうか。
シンラはそれが怖かった。
寝息を立てて眠る、愛らしい直樹を見下ろす。
シンラは、眠れない夜を過ごした。
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