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第三話 束の間の平穏
第三話 一一
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翌日は紫苑の仕事が数日ぶりに休みだった。
この三週間ほどはいろいろあったので、紫苑と過ごす休日らしい休日は久しぶりであるような気がする。そんな日常の中の些細なことが美桜にとってはこの上なく幸せなことのように思える。
朝の支度を整え廊下に出ると、ちょうど紫苑も部屋から出てきたところだった。紫苑も美桜が起きてきたことに気づいて、視線が合うとふっと穏やかな微笑みを見せる。
「おはよう、美桜」
「おはよう、紫苑」
それからどちらともなく近寄る。互いの顔がよく見える距離になると、紫苑は少しだけ心配そうに美桜の顔をのぞき込んだ。
「風邪はもう大丈夫?」
「ええ、おかげさまで。紫苑こそ、怪我の方はどう? 私、あの後寝てしまって、紫苑が運んでくれたのよね? 傷口が開いてしまうとか……」
美桜が紫苑以上に心配そうに問うと、紫苑は安心させるように美桜に微笑みかけた。
「一晩休んだら体力と霊力がある程度回復してたから護符を使ったよ」
紫苑は着物の袖をたくし上げると、昨晩傷があったはずの右上腕を見せた。傷は跡形もなくきれいに消えていて、痛みももうないようだった。
「だから大丈夫。心配してくれてありがとう」
「それじゃあ朝食の準備をしようか」と土間へ向かう紫苑の後を美桜もついていく。
「お洗濯物はどうするの?」
いつもなら役割分担して家事をしている。朝食を用意するのは専ら美桜の仕事となっていて、紫苑はその間庭で洗濯物を洗って干している。
美桜が戸惑いながら問えば、紫苑は足を止めてくるりと振り返った。
「しばらく美桜と一緒にいられる時間があんまりなかったから、今日はその分一緒にいたいと思って。……駄目?」
想い人に甘く微笑まれて、美桜の頬は桃色に染まる。元より否やを唱えるつもりではなかったが、こんなお願いの仕方はずるいと思った。
「私も……、紫苑と一緒にいたいわ」
恥ずかしがりながらも精一杯答える美桜に、紫苑は愛おしそうに目を細めた。
この三週間ほどはいろいろあったので、紫苑と過ごす休日らしい休日は久しぶりであるような気がする。そんな日常の中の些細なことが美桜にとってはこの上なく幸せなことのように思える。
朝の支度を整え廊下に出ると、ちょうど紫苑も部屋から出てきたところだった。紫苑も美桜が起きてきたことに気づいて、視線が合うとふっと穏やかな微笑みを見せる。
「おはよう、美桜」
「おはよう、紫苑」
それからどちらともなく近寄る。互いの顔がよく見える距離になると、紫苑は少しだけ心配そうに美桜の顔をのぞき込んだ。
「風邪はもう大丈夫?」
「ええ、おかげさまで。紫苑こそ、怪我の方はどう? 私、あの後寝てしまって、紫苑が運んでくれたのよね? 傷口が開いてしまうとか……」
美桜が紫苑以上に心配そうに問うと、紫苑は安心させるように美桜に微笑みかけた。
「一晩休んだら体力と霊力がある程度回復してたから護符を使ったよ」
紫苑は着物の袖をたくし上げると、昨晩傷があったはずの右上腕を見せた。傷は跡形もなくきれいに消えていて、痛みももうないようだった。
「だから大丈夫。心配してくれてありがとう」
「それじゃあ朝食の準備をしようか」と土間へ向かう紫苑の後を美桜もついていく。
「お洗濯物はどうするの?」
いつもなら役割分担して家事をしている。朝食を用意するのは専ら美桜の仕事となっていて、紫苑はその間庭で洗濯物を洗って干している。
美桜が戸惑いながら問えば、紫苑は足を止めてくるりと振り返った。
「しばらく美桜と一緒にいられる時間があんまりなかったから、今日はその分一緒にいたいと思って。……駄目?」
想い人に甘く微笑まれて、美桜の頬は桃色に染まる。元より否やを唱えるつもりではなかったが、こんなお願いの仕方はずるいと思った。
「私も……、紫苑と一緒にいたいわ」
恥ずかしがりながらも精一杯答える美桜に、紫苑は愛おしそうに目を細めた。
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