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第五話 朱咲の再来
第五話 一七
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「隠れてるなんて卑怯だよ! 出てきなさい!」
あかりが気配の方向に霊剣を突きつければ、木の後ろから男が一人出てきた。
「……!」
男の顔を見て、あかりは息をのんだ。それは囚われていた二年間で二度だけ顔を見た人物だった。例の強制的に式神に下す符を放ったあの式神使いである。
「あなたは」
「っ、あかり離れてっ!」
あかりの言葉を遮って、結月があかりの腕を引く。やや乱暴な所作に結月の焦りがうかがえた。式神使いを睨む目は鋭く、怒りに燃えていた。
「ゆづ?」
「どうしたの、ゆづくん」
秋之介と昴も呆気に取られている。結月は前方を見据えたまま、硬い声で呟いた。
「南朱湖で見つけた、符の気配。あかりを捕まえたのは、この男……!」
姿を現したことで気配もより強く感じられるようになったからだろう。結月は確信的に言い切った。
しかし、あかりが気になったのは自身の身に起きた事実ではなかった。
「……あなた、あの時あの場にいたの?」
相手は肯定も否定も口にしなかったが、鼻で嗤った。
「しぶとく生き延びたと思えば、こんなところで会うとはな」
「答えて!」
式神使いはにやりといやらしい笑みを浮かべた。
「いたさ。お前を捕らえたのも、湖を溢れさせたのも俺と俺の部下たちだよ」
一瞬かっと頭に血がのぼったが、すぐにひやりとした感覚に見舞われた。いやに思考が研ぎ澄まされる。
「あなただけは、赦さない……」
南の地を全壊に追い込み、愛する家族や家臣、民を奪った。それを嗤って、赦せるはずもない。
あかりはすっと霊剣を片手で構えた。
「結月、離して」
「あか……」
あかりが気配の方向に霊剣を突きつければ、木の後ろから男が一人出てきた。
「……!」
男の顔を見て、あかりは息をのんだ。それは囚われていた二年間で二度だけ顔を見た人物だった。例の強制的に式神に下す符を放ったあの式神使いである。
「あなたは」
「っ、あかり離れてっ!」
あかりの言葉を遮って、結月があかりの腕を引く。やや乱暴な所作に結月の焦りがうかがえた。式神使いを睨む目は鋭く、怒りに燃えていた。
「ゆづ?」
「どうしたの、ゆづくん」
秋之介と昴も呆気に取られている。結月は前方を見据えたまま、硬い声で呟いた。
「南朱湖で見つけた、符の気配。あかりを捕まえたのは、この男……!」
姿を現したことで気配もより強く感じられるようになったからだろう。結月は確信的に言い切った。
しかし、あかりが気になったのは自身の身に起きた事実ではなかった。
「……あなた、あの時あの場にいたの?」
相手は肯定も否定も口にしなかったが、鼻で嗤った。
「しぶとく生き延びたと思えば、こんなところで会うとはな」
「答えて!」
式神使いはにやりといやらしい笑みを浮かべた。
「いたさ。お前を捕らえたのも、湖を溢れさせたのも俺と俺の部下たちだよ」
一瞬かっと頭に血がのぼったが、すぐにひやりとした感覚に見舞われた。いやに思考が研ぎ澄まされる。
「あなただけは、赦さない……」
南の地を全壊に追い込み、愛する家族や家臣、民を奪った。それを嗤って、赦せるはずもない。
あかりはすっと霊剣を片手で構えた。
「結月、離して」
「あか……」
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