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第一〇話 夢幻のような
第一〇話 七
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昴の部屋に行くと、すでに私服の着物姿だった結月たちは揃っていて、なにやら談笑していた。入り口の一番近くにいた秋之介がいち早くあかりの登場に気づく。つられたように結月と昴も入り口を見た。結月は静かな微笑を湛えていた。秋之介は目を大きく見開いていて、昴は満足そうに唇に弧を描いた。
秋之介が驚いたまま、呟いた。
「あかり、その着物……」
「うん、私もびっくりしたんだけど。昴が見繕ってくれたの?」
あかりが振り返ると、昴はにこりと結月に顔を向けた。
「提案したのはゆづくんだよ」
「え、そうなの?」
「……うん。もう一度、見たかったから」
穏やかに目を細める結月に「似合っている」と褒められたような気がして、あかりは嬉しくなった。心なしか心臓の動きが速まる。
あかりの側で秋之介がにやりと笑った。
「馬子にも衣裳ってな」
「もうっ!」
あかりは秋之介の肩をぺしんと叩いた。
「ってーな!」
「秋のばーか!」
「……今のは、秋が悪い」
三人のやりとりを笑いを堪えながら眺めていた昴が「それじゃあ、行こうか」と歩き出す。彼に遅れないように、あかりも後に続いた。
秋之介が驚いたまま、呟いた。
「あかり、その着物……」
「うん、私もびっくりしたんだけど。昴が見繕ってくれたの?」
あかりが振り返ると、昴はにこりと結月に顔を向けた。
「提案したのはゆづくんだよ」
「え、そうなの?」
「……うん。もう一度、見たかったから」
穏やかに目を細める結月に「似合っている」と褒められたような気がして、あかりは嬉しくなった。心なしか心臓の動きが速まる。
あかりの側で秋之介がにやりと笑った。
「馬子にも衣裳ってな」
「もうっ!」
あかりは秋之介の肩をぺしんと叩いた。
「ってーな!」
「秋のばーか!」
「……今のは、秋が悪い」
三人のやりとりを笑いを堪えながら眺めていた昴が「それじゃあ、行こうか」と歩き出す。彼に遅れないように、あかりも後に続いた。
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