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第一〇話 夢幻のような
第一〇話 一二
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甘味処を後にしたあかりたちは、次に駄菓子屋に向かうことにした。
「ちょうど金平糖を切らしそうだったんだよね」
「また甘いもんか」
「いいでしょー」
甘味処から駄菓子屋は近い距離にあったので、すぐに着いた。
「金平糖みーっけ!」
あかりはいそいそとそちらへ向かうと、赤、青、白、黒の四袋を迷わず手に取った。
ここでも駄菓子屋の店主がおまけをしてくれた。
「あかりちゃんの誕生日だからね」
「わあい! ありがとう、源さん」
おまけされたのは黄の金平糖がつまった袋だった。五色揃うと、四家と黄麟家のことが思い起こされる。
(御上様は、金平糖って召し上がったことがあるのかな?)
あかりの約半分の年の司。あんなに小さいのに、その双肩にかかる重みは如何ほどか。今度会う機会があったら失礼にならない程度に訊いて、勧めてみようか。もしかしたら少しだけ疲れが癒えるかもしれない。
「あかり?」
結月に顔を覗き込まれ、あかりは思考の海から意識を浮上させた。
「考え事?」
「ほら、黄色って御上様の色でしょ。御上様は金平糖って知ってるのかなって」
「ふーん……」
結月の反応は大抵淡白なものだが、あかりたち幼なじみにはその僅かな差異がわかる。このときは結月らしくもなく、面白くなさそうな反応だった。
「結月、どうかした?」
「……ううん、なんでもない」
今度の返事はいつもの結月らしいもので、ただ淡々としていた。
「次行こうって、秋が、言ってた」
「あ、うん!」
駄菓子屋の軒先で待つ秋之介と昴のもとへ、あかりは結月と一緒に舞い戻った。
「ちょうど金平糖を切らしそうだったんだよね」
「また甘いもんか」
「いいでしょー」
甘味処から駄菓子屋は近い距離にあったので、すぐに着いた。
「金平糖みーっけ!」
あかりはいそいそとそちらへ向かうと、赤、青、白、黒の四袋を迷わず手に取った。
ここでも駄菓子屋の店主がおまけをしてくれた。
「あかりちゃんの誕生日だからね」
「わあい! ありがとう、源さん」
おまけされたのは黄の金平糖がつまった袋だった。五色揃うと、四家と黄麟家のことが思い起こされる。
(御上様は、金平糖って召し上がったことがあるのかな?)
あかりの約半分の年の司。あんなに小さいのに、その双肩にかかる重みは如何ほどか。今度会う機会があったら失礼にならない程度に訊いて、勧めてみようか。もしかしたら少しだけ疲れが癒えるかもしれない。
「あかり?」
結月に顔を覗き込まれ、あかりは思考の海から意識を浮上させた。
「考え事?」
「ほら、黄色って御上様の色でしょ。御上様は金平糖って知ってるのかなって」
「ふーん……」
結月の反応は大抵淡白なものだが、あかりたち幼なじみにはその僅かな差異がわかる。このときは結月らしくもなく、面白くなさそうな反応だった。
「結月、どうかした?」
「……ううん、なんでもない」
今度の返事はいつもの結月らしいもので、ただ淡々としていた。
「次行こうって、秋が、言ってた」
「あ、うん!」
駄菓子屋の軒先で待つ秋之介と昴のもとへ、あかりは結月と一緒に舞い戻った。
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