【本編完結】朱咲舞う

南 鈴紀

文字の大きさ
202 / 390
第一五話 希望の声

第一五話 四

しおりを挟む
 深夜に別れ、早朝に再び顔を合わせた四人はそろって演舞を披露する舞台に向かった。
 昨年同様、司の新年の挨拶の後、入れ替わるようにあかりたちは舞台上で舞と祝詞を披露した。結果は成功と言えるだろう。
 そして中央御殿で開かれる夕食会までの間、初詣がてら町の巡回をすることになった。
 昨日話に聞いたように、町には一年前ほどの活気が感じられない。祭の明るい雰囲気が邪気払いにつながるというが、邪気があるから町に活気がないのか、町に活気がないから邪気を払えないのか、あかりにはよくわからなかった。
 ちらりと空を見上げれば重たい黒雲が垂れこめていて、およそ新年らしくない天気だった。
顔を正面に戻して、人混みに注意しながら道の左右を見る。
 露店の数は減っているような気がしたし、道行く人々の顔はどこか晴れず、笑顔も笑い声も少なくなっているように感じられた。
 あかりの不吉な予感は皮肉にも的中してしまっていた。
隣を見上げると、結月は無表情の中に悲し気な色をにじませ、秋之介は顔をしかめ、昴は厳しい顔をして腕を組んでいた。自身の顔など確かめようもないが、あかりも似たような顔をしていることだろう。
「日に日に酷くなってるね……」
 昴の呟きを耳にしながら、あかりは考える。
(邪気払い……。もし、私が声を失わずに戦えていたら、何か違ったのかな……?)
 五家のなかで最も邪気払いを得意とするのがあかりの生家の朱咲家である。今さら考えても詮無いことだが、それでも気にしてしまう。
(昴は呪詛のせいで声がでないんだって言ってた。つまり、まだ解呪できてないってことよね。昴でも解呪できない呪詛を解くにはどうしたらいいのかな……?)
 各社をめぐりながら、あかりは頭の片隅で解呪について考えていた。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

退屈令嬢のフィクサーな日々

ユウキ
恋愛
完璧と評される公爵令嬢のエレノアは、順風満帆な学園生活を送っていたのだが、自身の婚約者がどこぞの女生徒に夢中で有るなどと、宜しくない噂話を耳にする。 直接関わりがなければと放置していたのだが、ある日件の女生徒と遭遇することになる。

《完結》悪役聖女

ヴァンドール
ファンタジー
聖女になり、王妃となるため十年間も教育を受けて来たのに蓋を開ければ妹が聖女の力を持っていて私はには聖女の力が無かった。そのため祖国を追放されて隣国へと旅立ったがそこで……

竜皇女と呼ばれた娘

Aoi
ファンタジー
この世に生を授かり間もなくして捨てられしまった赤子は洞窟を棲み処にしていた竜イグニスに拾われヴァイオレットと名づけられ育てられた ヴァイオレットはイグニスともう一頭の竜バシリッサの元でスクスクと育ち十六の歳になる その歳まで人間と交流する機会がなかったヴァイオレットは友達を作る為に学校に通うことを望んだ 国で一番のグレディス魔法学校の入学試験を受け無事入学を果たし念願の友達も作れて順風満帆な生活を送っていたが、ある日衝撃の事実を告げられ……

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。

BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。 辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん?? 私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?

生きるために逃げだした。幸せになりたい。

白水緑
ファンタジー
屋敷内に軟禁状態だったリリアは、宝物を取り戻したことをきっかけに屋敷から逃げ出した。幸せになるために。体力も力もない。成り行きに身を任せる結果になっても、自分の道は自分で選びたい。 2020/9/19 第一章終了 続きが書け次第また連載再開します。 2021/2/14 第二章開幕 2021/2/28 完結

私と母のサバイバル

だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。 しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。 希望を諦めず森を進もう。 そう決意するシェリーに異変が起きた。 「私、別世界の前世があるみたい」 前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?

処理中です...