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第一六話 救いのかたち
第一六話 一六
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しかし、救おうと決意はしたもののその後妖狐に会うことはなく、二週間が経過しようとしていた。
昴の部屋で政務を片付けていたあかりの表情は晴れず、目の前の書類に集中しようとするもその手はのろい。昴は書類からちらりと目だけを上げてあかりを見た。
「心ここにあらずって感じだね」
「……だって……」
陰の国の式神使いに式神に下される恐怖と苦痛をあかりは体験しかけている。時間が経てば経つほどそれらが長引くことに、あかりは焦りを感じ、胸を痛めていた。
あかりの心中を察して、昴は宥めるように微笑んだ。
「焦りは禁物だよ。大丈夫。もし天翔様を見つけたらすぐに知らせるように周知してあるんだから」
「うん、それはわかってるんだけど……」
あかりが言いかけたとき、にわかに廊下が騒がしくなった。
あかりははっと廊下を振り返り、昴はさっと顔を引き締めた。
開け放たれた外廊下に玄舞家の家臣が現れて、膝をつく。
「至急ご報告申し上げます! 天翔様と思しき妖狐が離の結界付近に現れました!」
昴の部屋で政務を片付けていたあかりの表情は晴れず、目の前の書類に集中しようとするもその手はのろい。昴は書類からちらりと目だけを上げてあかりを見た。
「心ここにあらずって感じだね」
「……だって……」
陰の国の式神使いに式神に下される恐怖と苦痛をあかりは体験しかけている。時間が経てば経つほどそれらが長引くことに、あかりは焦りを感じ、胸を痛めていた。
あかりの心中を察して、昴は宥めるように微笑んだ。
「焦りは禁物だよ。大丈夫。もし天翔様を見つけたらすぐに知らせるように周知してあるんだから」
「うん、それはわかってるんだけど……」
あかりが言いかけたとき、にわかに廊下が騒がしくなった。
あかりははっと廊下を振り返り、昴はさっと顔を引き締めた。
開け放たれた外廊下に玄舞家の家臣が現れて、膝をつく。
「至急ご報告申し上げます! 天翔様と思しき妖狐が離の結界付近に現れました!」
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