【本編完結】朱咲舞う

南 鈴紀

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第一七話 諦めない未来

第一七話 一五

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 いつしかあかりの側には三人分の温かな体温が寄り添っていた。一人ではないと伝わるように結月はあかりの右手を握り、両親を失う辛さを分かち合うように昴はあかりの肩を抱く。秋之介はあかりの背後から普段と変わらない素振りでぽんと頭に手を置いた。
そのどれもがあかりの心を落ち着け、癒してくれる。やがて涙は止まり、瞬きすると最後の雫がぱちりと弾けて散っていった。
「帰ろっか」
 疲れは滲むもののあかりらしい微笑みに三人は安堵の息を吐き、立ち上がった。
 戦いは朝からだったのに、気がつけば見上げた空には夕暮れが迫っていた。長期戦も覚悟していたが、今回の戦いは一日で終わったようだ。
 林の中は薄暗く目が利きにくい代わりに、耳が音を鋭敏に拾う。静かな林に四人分の下草を踏む足音が響いた。耳をすましてみても遠くに戦いの音は聞こえなかった。
「戦い、いつのまにか終わってたんだね」
 あかりの先を歩く昴がちらりと背後にいるあかりに目をやる。
「うん。あかりちゃんが戻ってくる半刻くらい前にね」
「そうだったんだ。結月たちに怪我がなさそうで良かったよ」
「そういうあかりこそ、急に消えるから驚いたぜ。まあ、結果的には目的は達成できたみたいだけどな」
「……みんなには、そう見えてたんだね」
 あの赤の光でできた空間は世界を切り取ったようだと思っていたが、あながち間違いでもなかったようだ。
 あかりはそこであったことを簡単に三人に話した。
癒えきらない心の傷が痛み、涙がこぼれそうになったが、右手に感じる結月の左手の温かさに我に返ると細く息を吐きだして、あかりは落ち着きを取り戻した。そして『もう大丈夫だよ』と伝えるようにぎゅっと手を握り返した。結月は前を向いたままだったが、その横顔には微かにほっとした表情が浮かんでいた。
「お父様は……これで、救われたんだよね」
「うん、きっと」
「……そう。そっか」
 確信が持てなくて本当は不安だったが、結月が肯定してくれたことで現実が少しだけ受け入れられた気がした。
 徐々に深くなっていく目の前の闇色に、あかりは自身の進む道の先を重ね合わせた。運命はどこまで行ってもあかりに残酷な現実を突きつける。先の見えない不安はもちろんある。
(だけど……)
 あかりはそっとまぶたを伏せて側にある三人の気配を感じ取った。
(私は一人じゃないから)
 だから頑張れる。戦える。
(それにお父様とも約束した、諦めないって。希望を信じて、明るい未来で生きることを私は決して諦めない……!)
 林の出口に町灯りがのぞきだす。あかりにはそれが希望の光のように思えた。
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