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第一九話 水無月の狂乱
第一九話 一
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皐月最後の一日を終え、あかりは寝支度を整えて、部屋の中から縁側に面した障子の向こうに広がる夜空を眺めていた。
司の卜占の結果を受けてからの二週間ほどの任務は結界巡回くらいのもので、比較的穏やかに日々が過ぎていった。
今夜もまた青白い月の光が静かに地上に降り注いでいる。現実味のない月光は神秘的にも不気味にも思えて、あかりは思わず目を引きつけられてしまう月から無理矢理目を逸らした。
(あの月は、明日も見られるのかな……?)
月から目を滑らせた先に、凶星がちかりと瞬いていた。
あかりは小さくため息をつくと戸を閉めて、床についた。
目を閉じると自身の胸のざわざわとした感覚が音となって聞こえるようだ。皐月が終わりに近づき、水無月が迫るにつれて胸のざわめきはだんだんと大きくなっていくようで、不快でもあった。そして今日はそれが一段とひどかった。
明日、より正確に言えばあと半刻もしないうちに水無月になる。それを意識すればするほどに否が応でも緊張が高まり、なかなか寝つけそうになかった。
それでも何度か寝返りを打っているうちに、気疲れしていたからかうとうととまどろみ始めた。夢と現の境界がわからなくなってきて、やっと眠れるとぼんやり感じたとき、どこからかあかりを呼ぶ声が届いた。
『あかり』
緊張感を孕む厳しく鋭い声に、あかりの眠気は瞬時に飛んだ。意識はすぐに覚醒し、あかりを呼んだのは身の内に宿る朱咲だということを理解した。朱咲は続ける。
『火の気配を感じるぞ。方角は西、これは……大火になるであろうな』
司の卜占の結果を受けてからの二週間ほどの任務は結界巡回くらいのもので、比較的穏やかに日々が過ぎていった。
今夜もまた青白い月の光が静かに地上に降り注いでいる。現実味のない月光は神秘的にも不気味にも思えて、あかりは思わず目を引きつけられてしまう月から無理矢理目を逸らした。
(あの月は、明日も見られるのかな……?)
月から目を滑らせた先に、凶星がちかりと瞬いていた。
あかりは小さくため息をつくと戸を閉めて、床についた。
目を閉じると自身の胸のざわざわとした感覚が音となって聞こえるようだ。皐月が終わりに近づき、水無月が迫るにつれて胸のざわめきはだんだんと大きくなっていくようで、不快でもあった。そして今日はそれが一段とひどかった。
明日、より正確に言えばあと半刻もしないうちに水無月になる。それを意識すればするほどに否が応でも緊張が高まり、なかなか寝つけそうになかった。
それでも何度か寝返りを打っているうちに、気疲れしていたからかうとうととまどろみ始めた。夢と現の境界がわからなくなってきて、やっと眠れるとぼんやり感じたとき、どこからかあかりを呼ぶ声が届いた。
『あかり』
緊張感を孕む厳しく鋭い声に、あかりの眠気は瞬時に飛んだ。意識はすぐに覚醒し、あかりを呼んだのは身の内に宿る朱咲だということを理解した。朱咲は続ける。
『火の気配を感じるぞ。方角は西、これは……大火になるであろうな』
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