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第二〇話 青の光
第二〇話 一一
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「結月、ごめんね……」
引き絞った声はか細く、微かに震えていた。
あかりの体温を宿した雫が一滴、つないだ結月の左手に落ちる。
「なかないで、あかり……」
「え……」
あかりは目を瞠って結月の顔を見た。結月は長いまつ毛を震わせながら薄く目を開いていて、あかりのことを青い瞳に映していた。
「ゆ、づき……?」
「うん」
「結月……。結月、良かった。目が、覚めて……!」
「うん。あかりが、喚んでくれたおかげ」
嗚咽によって言葉を継げないあかりに寄り添うように、結月はつながれた左手に優しく力をこめた。手の大きさこそ違うものの温度はあかりのよく知るもので、安心からか余計に涙が止まらなくなる。
「あかりがね、ごめんねって泣いてるのが、聞こえた。だから、行かなくちゃって思って」
あかりはしゃくりあげながらも必死に言葉を紡ぐ。
「結月が、目覚めないのが、怖くてっ。そしたら、結月も、私が目覚めないとき、こんな思いだったのかなって。私、全然わかって、なくて、ごめんね……!」
結月は「思った通りだった」と呟くと、ゆっくりと身を起こす。そして膝立ちするとあかりを正面から包み込むように抱きしめた。
「おれの方こそ、ごめんね。こんなことしたらあかりを傷つけるかもってわかってたのに、こうすることでしか守れなくて。あかりを、泣かせて」
あかりは言葉もなく、結月の腕の中で激しく首を左右に振った。
結月は幼子をあやすようにあかりの背を撫でさすった。次第にあかりが落ち着いてくるのを腕の中に感じながら、結月は腕の力を緩めるとあかりの顏を覗き込んだ。青い瞳に確かにあかりを映し、優しく柔らかな声であかりの名前を呼ぶ。
「あかり」
あかりはゆるゆると顔を上げた。姿こそ幼いが淡く微笑む結月の表情は大人びていて、年相応の彼の姿が重なって見えるようだった。
「ただいま」
そのたった一言に、あかりは救われるような心地だった。だから、それに見合うだけの想いを乗せて、あかりも応える。
「おかえり、結月」
微笑みに目を細めれば、あかりの眦に残った最後のひとしずくがきらりと弾けて散った。
引き絞った声はか細く、微かに震えていた。
あかりの体温を宿した雫が一滴、つないだ結月の左手に落ちる。
「なかないで、あかり……」
「え……」
あかりは目を瞠って結月の顔を見た。結月は長いまつ毛を震わせながら薄く目を開いていて、あかりのことを青い瞳に映していた。
「ゆ、づき……?」
「うん」
「結月……。結月、良かった。目が、覚めて……!」
「うん。あかりが、喚んでくれたおかげ」
嗚咽によって言葉を継げないあかりに寄り添うように、結月はつながれた左手に優しく力をこめた。手の大きさこそ違うものの温度はあかりのよく知るもので、安心からか余計に涙が止まらなくなる。
「あかりがね、ごめんねって泣いてるのが、聞こえた。だから、行かなくちゃって思って」
あかりはしゃくりあげながらも必死に言葉を紡ぐ。
「結月が、目覚めないのが、怖くてっ。そしたら、結月も、私が目覚めないとき、こんな思いだったのかなって。私、全然わかって、なくて、ごめんね……!」
結月は「思った通りだった」と呟くと、ゆっくりと身を起こす。そして膝立ちするとあかりを正面から包み込むように抱きしめた。
「おれの方こそ、ごめんね。こんなことしたらあかりを傷つけるかもってわかってたのに、こうすることでしか守れなくて。あかりを、泣かせて」
あかりは言葉もなく、結月の腕の中で激しく首を左右に振った。
結月は幼子をあやすようにあかりの背を撫でさすった。次第にあかりが落ち着いてくるのを腕の中に感じながら、結月は腕の力を緩めるとあかりの顏を覗き込んだ。青い瞳に確かにあかりを映し、優しく柔らかな声であかりの名前を呼ぶ。
「あかり」
あかりはゆるゆると顔を上げた。姿こそ幼いが淡く微笑む結月の表情は大人びていて、年相応の彼の姿が重なって見えるようだった。
「ただいま」
そのたった一言に、あかりは救われるような心地だった。だから、それに見合うだけの想いを乗せて、あかりも応える。
「おかえり、結月」
微笑みに目を細めれば、あかりの眦に残った最後のひとしずくがきらりと弾けて散った。
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