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第二一話 祈りの言霊
第二一話 一一
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町を巡っているとあっという間に夕方になっていた。夏の日は長いのでまだ空は明るいが、時刻にしたら夜に差し掛かる頃だろうか。日中に比べれば幾分か暑さの和らいだ空気にあかりはほっとしながら、玄舞邸の玄関を潜った。
「ただいまー!」
あかりたちの帰宅の挨拶に玄舞家の家臣が現れ、夕食の準備が整っていることと春朝たちも来訪していることを伝えてくれる。あかりたちは真っ直ぐ夕食会の会場となっている部屋に向かった。
「おじ様、おば様!」
昨日会ったばかりだというのに、まるで久しぶりに再会したかのようなあかりの喜びように春朝と香澄は柔らかに目を細めた。梓に至っては今朝も顔を合わせたが、呆れたようなけれども優しい笑みを浮かべて「おかえり」とあかりたちを出迎えた。
「外は暑かったろう?」
「でも、楽しかったから私は気にならなかったよ」
「あかりちゃんは元気でいいわね。健やかに育ってくれて私も嬉しいわ。ね、梓」
「ま、そうだね」
ひとしきり話してから夕食会が始まる。
終始賑やかなまま時間は過ぎていった。
夕食会はお開きになり、あかりは自室へ戻って興奮を冷まそうと縁側に腰かけていた。虫の合唱に耳を傾けながら、あかりはふと夜空を見上げた。
星々の瞬きが霞むくらいに青白く皓々とした光を地上に落とす月は、満月とまではいかなくてもかなり丸に近い形をしている。
そこに帯留めをかざした。今年の幼なじみからの誕生日の贈り物だった。
帯留めは透き通った赤のガラスでできていて、花の形をしている。月の光を受けたそれはしっとりとした輝きを放っていた。
(前の年もこんな風にもらったかんざしを見ていたっけ)
あのときのささやかな願いは今も変わっていない。
「来年もまた、結月と秋と昴と一緒に誕生日を過ごしたい。……過ごせますように」
言葉に想いを乗せて、言霊に換える。昨年の願いが今日叶ったように、今年の願いも来年に繋がればいいと思う。
あかりから生じた柔らかな赤の光はふわりと空気に溶けていった。
「ただいまー!」
あかりたちの帰宅の挨拶に玄舞家の家臣が現れ、夕食の準備が整っていることと春朝たちも来訪していることを伝えてくれる。あかりたちは真っ直ぐ夕食会の会場となっている部屋に向かった。
「おじ様、おば様!」
昨日会ったばかりだというのに、まるで久しぶりに再会したかのようなあかりの喜びように春朝と香澄は柔らかに目を細めた。梓に至っては今朝も顔を合わせたが、呆れたようなけれども優しい笑みを浮かべて「おかえり」とあかりたちを出迎えた。
「外は暑かったろう?」
「でも、楽しかったから私は気にならなかったよ」
「あかりちゃんは元気でいいわね。健やかに育ってくれて私も嬉しいわ。ね、梓」
「ま、そうだね」
ひとしきり話してから夕食会が始まる。
終始賑やかなまま時間は過ぎていった。
夕食会はお開きになり、あかりは自室へ戻って興奮を冷まそうと縁側に腰かけていた。虫の合唱に耳を傾けながら、あかりはふと夜空を見上げた。
星々の瞬きが霞むくらいに青白く皓々とした光を地上に落とす月は、満月とまではいかなくてもかなり丸に近い形をしている。
そこに帯留めをかざした。今年の幼なじみからの誕生日の贈り物だった。
帯留めは透き通った赤のガラスでできていて、花の形をしている。月の光を受けたそれはしっとりとした輝きを放っていた。
(前の年もこんな風にもらったかんざしを見ていたっけ)
あのときのささやかな願いは今も変わっていない。
「来年もまた、結月と秋と昴と一緒に誕生日を過ごしたい。……過ごせますように」
言葉に想いを乗せて、言霊に換える。昨年の願いが今日叶ったように、今年の願いも来年に繋がればいいと思う。
あかりから生じた柔らかな赤の光はふわりと空気に溶けていった。
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