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第二三話 昇る朝陽と舞う朱咲
第二三話 一一
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昴は呪符の動きを追っては妨げていた。
「青柳、白古、朱咲、玄舞、空陳、南寿、北斗、三体、玉女!」
(絶対にあかりちゃんに近づけさせない!)
呪符はひたすらにあかりを狙って、宙を踊るように舞っている。
昴が結界に閉じ込めようとしても呪符が逃れる方が一瞬早く、捕らえることはできていない。
じりじりと体力と霊力だけが削られていく。今日だけで何十回行使したかわからない結界術を展開させるため、昴は九字を繰り返し切った。次第に息が荒くなり、焦燥が募っていく。
(いくらあかりちゃんのために時間稼ぎをすればいいとはいえ、このままじゃまずいな……!)
あかりの様子をちらりとうかがうも、反閇はまだ始まったばかりだった。この調子で呪符の猛攻を阻止していたら、昴の体力と霊力が限界を迎えるのが先だろう。
(きっと無傷でこの戦いは終わらない。本当は戦った後の治癒術のために力は残しておきたいけど……)
もはや後先を考えてはいられない。目の前のこの戦いを乗り越えなければ未来などないのだから。
昴は残る力を振り絞って結界をつくっては、呪符を弾き返した。
だから呪符の動きだけに集中せざるをえなかった昴の反応が遅れた。
(式神……っ⁉)
三体の内、一体の式神があかりに襲い掛かろうとしていた。
常なら複数の結界を張れる昴であっても現状では厳しく、呪符の動きを抑えることで精一杯だ。
(くそ……っ)
内心で悪態をついたが、それは果たして未だに倒せない敵に対してか、それとも力の足りない自分に対してか。
昴がほとんど反射的に九字を切ろうと口を開いた瞬間、あかりと式神の間に白い影が飛び込んだ。秋之介だった。
そうして目の前の光景に昴は絶句した。
(秋くん……!)
秋之介は現帝の短刀に腹を貫かれていた。そして勢いよく短刀を引き抜かれ、秋之介はその場に膝をついた。白ばかりの秋之介に、赤の染みがじわりじわりと拡がっていく。
本当はすぐにでも駆けつけたい。荒れ狂う感情を、ひとかけら残った理性が押しとどめる。
(ここで秋くんのところへ行ったらあかりちゃんはどうなる? 大丈夫、秋くんはまだ立てているし、憑依させる霊力も残っている。……秋くんを、信じなくちゃ)
自身に言い聞かせて、昴は無理矢理に冷静を装う。
(集中しろ。今はただ、あかりちゃんの反閇が成功するようにしなければ……!)
あかりの反閇の成功がきっとこの戦いにおける終止符となるはずだ。だからそれまでは例え力が尽きようとも倒れるわけにはいかない。
震えそうになる膝と重く痺れそうになる腕に力をこめ、昴は声を張り上げた。
「青柳、白古、朱咲、玄舞、空陳、南寿、北斗、三体、玉女!」
それを何度も繰り返す。
いよいよ呼吸すら苦しくてたまらなくなってきたとき、昴はふとあることに気がついた。
(呪符の動きが遅くなった?)
ほんの僅かにだが、初期ほどの勢いの良さがなくなっているように感じられる。理屈はわからないが、この好機を逃すわけにはいかない。
(この一撃で決める!)
昴は底の尽きかけた力をかき集め、満身創痍で力を放った。
「青柳、白古、朱咲、玄舞、空陳、南寿、北斗、三体、玉女! 玄舞護神、急々如律令‼」
昴の眼前を眩しい黒の光が覆った。
「青柳、白古、朱咲、玄舞、空陳、南寿、北斗、三体、玉女!」
(絶対にあかりちゃんに近づけさせない!)
呪符はひたすらにあかりを狙って、宙を踊るように舞っている。
昴が結界に閉じ込めようとしても呪符が逃れる方が一瞬早く、捕らえることはできていない。
じりじりと体力と霊力だけが削られていく。今日だけで何十回行使したかわからない結界術を展開させるため、昴は九字を繰り返し切った。次第に息が荒くなり、焦燥が募っていく。
(いくらあかりちゃんのために時間稼ぎをすればいいとはいえ、このままじゃまずいな……!)
あかりの様子をちらりとうかがうも、反閇はまだ始まったばかりだった。この調子で呪符の猛攻を阻止していたら、昴の体力と霊力が限界を迎えるのが先だろう。
(きっと無傷でこの戦いは終わらない。本当は戦った後の治癒術のために力は残しておきたいけど……)
もはや後先を考えてはいられない。目の前のこの戦いを乗り越えなければ未来などないのだから。
昴は残る力を振り絞って結界をつくっては、呪符を弾き返した。
だから呪符の動きだけに集中せざるをえなかった昴の反応が遅れた。
(式神……っ⁉)
三体の内、一体の式神があかりに襲い掛かろうとしていた。
常なら複数の結界を張れる昴であっても現状では厳しく、呪符の動きを抑えることで精一杯だ。
(くそ……っ)
内心で悪態をついたが、それは果たして未だに倒せない敵に対してか、それとも力の足りない自分に対してか。
昴がほとんど反射的に九字を切ろうと口を開いた瞬間、あかりと式神の間に白い影が飛び込んだ。秋之介だった。
そうして目の前の光景に昴は絶句した。
(秋くん……!)
秋之介は現帝の短刀に腹を貫かれていた。そして勢いよく短刀を引き抜かれ、秋之介はその場に膝をついた。白ばかりの秋之介に、赤の染みがじわりじわりと拡がっていく。
本当はすぐにでも駆けつけたい。荒れ狂う感情を、ひとかけら残った理性が押しとどめる。
(ここで秋くんのところへ行ったらあかりちゃんはどうなる? 大丈夫、秋くんはまだ立てているし、憑依させる霊力も残っている。……秋くんを、信じなくちゃ)
自身に言い聞かせて、昴は無理矢理に冷静を装う。
(集中しろ。今はただ、あかりちゃんの反閇が成功するようにしなければ……!)
あかりの反閇の成功がきっとこの戦いにおける終止符となるはずだ。だからそれまでは例え力が尽きようとも倒れるわけにはいかない。
震えそうになる膝と重く痺れそうになる腕に力をこめ、昴は声を張り上げた。
「青柳、白古、朱咲、玄舞、空陳、南寿、北斗、三体、玉女!」
それを何度も繰り返す。
いよいよ呼吸すら苦しくてたまらなくなってきたとき、昴はふとあることに気がついた。
(呪符の動きが遅くなった?)
ほんの僅かにだが、初期ほどの勢いの良さがなくなっているように感じられる。理屈はわからないが、この好機を逃すわけにはいかない。
(この一撃で決める!)
昴は底の尽きかけた力をかき集め、満身創痍で力を放った。
「青柳、白古、朱咲、玄舞、空陳、南寿、北斗、三体、玉女! 玄舞護神、急々如律令‼」
昴の眼前を眩しい黒の光が覆った。
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