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第二三話 昇る朝陽と舞う朱咲
第二三話 一二
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「動静緊縛、急々如律令」
青の輝きとともに式神三体の動きが封じられるも一瞬のことだった。
元は妖だったであろう式神に既に自我はなく、ただただ狂ったように結月に襲い掛かる。
それでもなお結月は見切りをつけることができず、同族を傷つけることに抵抗があった。袂から新たに取り出したのは攻撃用の霊符ではなく、邪気払いのための霊符だ。
ここまで邪気に染まってしまっては所詮気休め程度の効果にしかならないだろう。真に邪気を祓って救いたいのならば、やはりあかりの反閇に頼るしかないことはわかっていた。
優しいといえば聞こえは良いが、詰めが甘いだけなのかもしれない。あるいは己の弱さだろうか。
(それでも……)
敵国の式神であっても、魂を消滅させることなく元の持ち主に還したい、そのために強くなるのだと四人で交わした約束があるから。
(約束を、守りたい)
「除災与楽、青柳護神、急々如律令」
明るく柔らかな青の光が霊符を中心に溢れ出す。光に触れそうになった式神が怯んだようにびくりと動きを止めるが、すぐにまた動き出す。
(もっと、力が必要、なのに……)
中央御殿に駆けつける前、あかりの反閇を助けていた結月もまた残る体力と霊力はほんの僅かなものだった。霊符の使役を重ねていくうちに、呼吸が苦しくなってくる。
それでも式神があかりの邪魔をしないように、あかりを傷つけないように、結月は間断なく霊符を展開した。
「月光照夜、急々如律令。……っ!」
何枚目かになるかわからない霊符を使役したとき、結月の視界が一瞬白く染まり、突き抜けるような痛みが頭に走った。あまりの痛みに息が詰まり、とっさに頭を押さえる。
(こんなことしてる場合じゃない……! 次の、霊符を……)
しかし意思とは裏腹に腕は痺れて言うことを効かない。
そしてそれは確実に隙となり、敵に好機を与えることになった。
三体の式神のうちの二体は結月に向かってきたが、残る一体は現帝と戦う秋之介のもとへ突っ込んでいった。
(止め、ないと……!)
そう思うのに身体は金縛りにあったようにまるで自由がきかなかった。
結月に向かってきた式神二体の攻撃はかろうじて避けられたが、秋之介を守るための力がうまく使役できない。結月が焦る間にも、式神は容赦なく秋之介に攻撃をしかけていた。
秋之介は現帝の相手をしながら、周囲を飛び回る式神の攻撃もいなしていたが、彼もまた力の消耗が激しかったらしく、いつまで攻撃を回避できるのか胆が冷えるような躱し方だった。
結月が相対する式神もいよいよ異変に気付いたらしい。結月の手が鈍ったことでこの場に二体は必要ないと判断したようで、一体は結月の出方をうかがい、もう一体はくるりと身を翻した。
走って行った先、その狙いは……。
青の輝きとともに式神三体の動きが封じられるも一瞬のことだった。
元は妖だったであろう式神に既に自我はなく、ただただ狂ったように結月に襲い掛かる。
それでもなお結月は見切りをつけることができず、同族を傷つけることに抵抗があった。袂から新たに取り出したのは攻撃用の霊符ではなく、邪気払いのための霊符だ。
ここまで邪気に染まってしまっては所詮気休め程度の効果にしかならないだろう。真に邪気を祓って救いたいのならば、やはりあかりの反閇に頼るしかないことはわかっていた。
優しいといえば聞こえは良いが、詰めが甘いだけなのかもしれない。あるいは己の弱さだろうか。
(それでも……)
敵国の式神であっても、魂を消滅させることなく元の持ち主に還したい、そのために強くなるのだと四人で交わした約束があるから。
(約束を、守りたい)
「除災与楽、青柳護神、急々如律令」
明るく柔らかな青の光が霊符を中心に溢れ出す。光に触れそうになった式神が怯んだようにびくりと動きを止めるが、すぐにまた動き出す。
(もっと、力が必要、なのに……)
中央御殿に駆けつける前、あかりの反閇を助けていた結月もまた残る体力と霊力はほんの僅かなものだった。霊符の使役を重ねていくうちに、呼吸が苦しくなってくる。
それでも式神があかりの邪魔をしないように、あかりを傷つけないように、結月は間断なく霊符を展開した。
「月光照夜、急々如律令。……っ!」
何枚目かになるかわからない霊符を使役したとき、結月の視界が一瞬白く染まり、突き抜けるような痛みが頭に走った。あまりの痛みに息が詰まり、とっさに頭を押さえる。
(こんなことしてる場合じゃない……! 次の、霊符を……)
しかし意思とは裏腹に腕は痺れて言うことを効かない。
そしてそれは確実に隙となり、敵に好機を与えることになった。
三体の式神のうちの二体は結月に向かってきたが、残る一体は現帝と戦う秋之介のもとへ突っ込んでいった。
(止め、ないと……!)
そう思うのに身体は金縛りにあったようにまるで自由がきかなかった。
結月に向かってきた式神二体の攻撃はかろうじて避けられたが、秋之介を守るための力がうまく使役できない。結月が焦る間にも、式神は容赦なく秋之介に攻撃をしかけていた。
秋之介は現帝の相手をしながら、周囲を飛び回る式神の攻撃もいなしていたが、彼もまた力の消耗が激しかったらしく、いつまで攻撃を回避できるのか胆が冷えるような躱し方だった。
結月が相対する式神もいよいよ異変に気付いたらしい。結月の手が鈍ったことでこの場に二体は必要ないと判断したようで、一体は結月の出方をうかがい、もう一体はくるりと身を翻した。
走って行った先、その狙いは……。
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